シラバス
| 授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 日本政治史料講読A1 | 2026 | 春学期 | 水4 | 法学部 | 山田 博雄 | ヤマダ ヒロオ | 3年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-PS3-027S
履修条件・関連科目等
(水曜4時限)
日本近現代史や日本思想史などを学んでいるに越したことはありませんが、学んでいない場合でもそれらを学ぶ意欲があれば結構です。また、いま生きている社会を知りたいという知的好奇心をもつ人が好ましいことはいうまでもありません。公務員、教師、ジャーナリストなどを志望する人や、大学院進学を考えている人などが履修するのに向いているだろうと思います。
本講座は通年で1冊の本を読むよう計画されていますので(ただし『文明論之概略』全編を読み切ることはできませんが)、できるかぎり秋学期の「A2」も受講することが望ましいです。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
近代日本最大の啓蒙思想家、福沢諭吉(1835-1901)の主著『文明論之概略』(1875)を講読します。
21世紀に入り、殊にここ数年の日本および世界の状況は、さまざまな事柄を根本から考え直していかなければならぬ時代に至っています。危機的状況は、変革の好機と捉えることもできます。
日本についていえば、この150年の間に2度、そのような状況を経験しています。幕末維新とアジア太平洋戦争です。
本講座では、最初の危機的状況(福沢のいう「マインドの騒動」)である幕末維新期に書かれた、『文明論之概略』を読みます。この本は、福沢の主著というだけでなく、日本近現代150年余りの歴史の中でも最も重要な思想的著作のひとつといっても過言ではありません。なぜ?「文明」とは何か、歴史の発展とは何か、日本人の思考そして日本社会の欠点は何か、などを根本的に解き明かすような本だからです。(ただし、この本は文庫本で300ページ以上あり、かつ内容は豊富なので、全部は講読できません。あらかじめお断りしておきます)
(方針)①履修者にテキストを朗読してもらいます。②内容の意味を説明します。③およそ毎回、授業内容についての要点などを書いてもらうことにします(翌週に寸評をつけて返却する予定です)。
科目目的
①漢文崩しの日本語解読力を身につけること。
②それによって日本の過去の著作と、現在との「対話」を容易におこない得るようになること。
③そして、つまるところは私たちが生きている「世界」という書物を、自分なりに広く、深く、(なおかつ、できれば楽しく)読み解けるようになること。
また以上のすべてを貫いて、
④「事実」の尊重とそれに基づく「合理的推論」を基本とし、その精神と技術を修得することがこの講読の目的です。
もう一つ。学問は「問い」と切り離せません。何を、いかに「問う」か。それは各受講者それぞれの課題です。「問い」は学問における出発点でもあり、最も重要なことの一つでもあるでしょう。
そこで到達目標は、自ら問いを立て、その問いを自ら答えようとすることができるようになることです。授業で扱う古典はそれを手助けしてくれるはずです。
到達目標
漢文崩しの日本語の解読力を、ある程度読めるようになり(ということは、近現代日本語で書かれた文章はおおよそ読めるようになるということです)、古典との対話を通して、近現代150年の日本のなかの、現在のわたしたちの置かれている状況を客観的に分析できるようになること、そしてその分析をとおして、これからいかに行動すべきか、自問自答できるようになることです。
授業計画と内容
第1回 講読に関連したガイダンス
第2回 教科書(9-11頁)講読および配布プリント解説
第3回 教科書(11-13頁)講読および配布プリント解説
第4回 教科書(15-18頁)講読および配布プリント解説
第5回 教科書(18-21頁)講読および配布プリント解説
第6回 教科書(22-25頁)講読および配布プリント解説
第7回 教科書(25-28頁)講読および配布プリント解説
第8回 教科書(28-30頁)講読および配布プリント解説
第9回 教科書(30-32頁)講読および配布プリント解説
第10回 教科書(32-36頁)講読および配布プリント解説
第11回 教科書(36-38頁)講読および配布プリント解説
第12回 教科書(38-40頁)講読および配布プリント解説
第13回 教科書(40-43頁)講読および配布プリント解説
第14回 教科書(43-47頁)講読および配布プリント解説
・授業の終わりにほぼ毎回、講読箇所、および配布プリントについて、考えたことなどを書いてもらいます。翌週、その文章に対して寸評をつけて返却します。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
ほとんどの受講生にとって母語である日本語を音読することは、稀でしょう。しかし学習する時に、古典は「声に出して」読むようにするといいと思います。ことに明治期の古典は。
なぜなら、そのころの文章は読者に音読されることを想定して書かれいましたから。文章は声に出してこそ、面白さ、力強さを感じることができ、内容に集中するのにも有効です。
漢文崩しの日本語は、意味だけでなく「音」としてもそれ自体興味深いものです。いや、そもそも「ことば」は「音」で出来ているものですから。
また、授業で配布するプリントに掲げられた参考文献なども自分で、できるかぎり積極的に読むようにしてください。プリントは、できるかぎり異なった視野がひらけて、思いがけない発見があるものを提示したいと考えています。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
| 種別 | 割合(%) | 評価基準 |
|---|---|---|
| レポート | 50 | ①毎回の授業で学んだことを、文章によってできるかぎり正確に客観的に表現できるか確認するためと、②授業内では読めない書籍を読んでもらうための課題図書を指定し読んでもらいます。 以上①②をレポートとして提出してもらいます。 |
| 平常点 | 50 | 授業で受講生に音読してもらい、よく読めるか、意味は正確にとらえられているかを見ます。この授業の性質上(演習科目に準ずる少人数の科目ですから)、言うまでもなく毎回の出席は大切です。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
■テキスト
福沢諭吉著/松沢弘陽 校注『文明論之概略』(岩波文庫、1995)
■参考書
福澤諭吉著/伊藤正雄訳『現代語訳 文明論之概略』(慶応義塾大学出版会、2010)
丸山真男『「文明論之概略」を読む』上・中・下(岩波新書、1986)
伊藤正雄編『明治人の観た福沢諭吉』(慶応義塾大学出版会、2009)
『福翁自伝 福沢全集緒言』(慶応義塾大学出版会、2009)
寺崎修編『福沢諭吉の思想と近代化構想』(慶応義塾大学出版会、2008)
その他多数
電子辞書をもっている人は持参してください。
その他特記事項
■授業の工夫■
「科目目的・到達目標」にあるとおり、ちょっと大げさのようですが「世界」という書物を自分なりに読み解けるようになることが目標です。何のために? 古典というテキストを使って今現在の社会の価値観を相対化し、よりよい見通しを与えて、自分がどう考え、行動すべきかを考えていくために、です。
「いま・ここ」だけしか目に入らないと、自分の立ち位置がわかり難いものだからです。そのためにテキスト以外にも、様々なプリントも配布して理解を深めたいと思います。
■授業の工夫■
いま、本をあまり(または全然?!)読まない学生がいるようです(全体の半数以上が)。ですが、そういう人も、社会人になると(学生の本分であるはずのいま現在においてはなおさら)、読書の、というよりは知識の必要性を全く感じない人はほとんどいないでしょう。しかしそれだけではありません。そもそも本を読むこと自体が、他をもってしては代えがたい、大変楽しい行為、ということがあるわけです。それを知らないとは。
学校の「勉強」と日々の暮らしでの「学び」をいかにつなぐか、一緒に考えてみませんか。