シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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専門演習A1/専門演習B1 | 2024 | 春学期 | 月5 | 法学部 | 野田 博 | ノダ ヒロシ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-OL3-015S
履修条件・関連科目等
会社法や商法の予備的な知識は必要ないが、ゼミと並行して授業を履修するなどして、
必要な知識を身につけること。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
会社法についての基本判例や最新の判例の検討、および特定のテーマ・領域についての考察または演習問題の検討を課題とする。その際の進め方は、各回の担当者が報告を行い、全員で議論するという形を採用している。その他、各自が興味を持ったテーマについて考察を深めるため、ゼミ論文またはリサーチ・ペーパーを作成する機会を設けている。具体的には、4年次秋学期にその「中間報告」を行い、最終的に論文またはリサーチ・ペーパーの形にまとめる(テーマについては、各自の関心を尊重することとしており、例年多様な論題のペーパーが提出されている)。
科目目的
この科目は、カリキュラム上専門教育科目中の演習科目に位置づけられている。そのため、この科目での学習を通して、学生が、企業の組織や活動、さらには社会に対する認識を深めると同時に、会社法に対する基礎的な知識を習得することを科目目的とする。
到達目標
まずは、会社法についての判例や重要問題の検討を通じて、その基礎的な知識・理解を得ることが重要であるが(その際、自学自習も大事)、最終的には、その基礎に立って、未知の問題に出会った場合も、論理的に考え、さまざまな解決策を模索する力を身につけることを到達目標とする。
授業計画と内容
年間を通じての流れをまず示しておきたい。3年次の秋ごろまでは、会社法全般にわたる基本判例を扱う。その後、3年次の残りの期間は、「コーポレート・ガバナンス」、「M&A法制」等、特定のテーマ・領域を設定しその考察を深めるか、または演習問題により応用力を養う(ゼミ生の希望を尊重して、決定)。
4年次の前期は、会社法の最近の判例や応用判例を扱う。秋学期になると、2年間の締めくくりとして、各自が設定した研究テーマ(会社法に関するテーマのほか、自由論題も可)について発表し(「中間報告」)、論文の形にできるようにしたい。
前期におけるおおよそのゼミの流れは、以下のとおりになる(判例の報告担当は、4回目以降は、3年・4年1人ずつの組み合わせで行う)。判例のリストは一例として掲げたものであり、2024年度のゼミでは、新しい判例の動向等を反映させ、また4年生も新鮮な気持ちで臨めるよう、一部差し替える(2024年度に取り上げる判例のリストは、開講時に示す)。
【前期】
第1回
ガイダンス:自己紹介・進め方の説明・役職決め等
第2回
・4年生:最判昭和40・9・22民集19巻6号1656頁(百選64事件、取締役会決議を経ない取引の効力)
・4年生:最判昭和48・5・22民集27巻5号655頁(百選67事件、取締役の監視義務と対第三者責任)
第3回
・3年生:最判昭和45・6・24民集24巻6号625頁(百選2事件 会社の政治献金)
・3年生:最判昭和44・2・27民集23巻2号511頁(百選3事件、法人格の否認)
第4回
・3年生:最判昭和33・10・24民集12巻14号3228頁(百選4事件、発起人の開業準備行為) *成立後の会社の財産的基盤の確保を重視する判例の立場において、結論の妥当性(相手方保護の要請)との関係で、最判昭和61・9・11判時1215号125頁(百選5事件 財産引受の無効主張と信義則)も参照。
・4年生:最判昭和38・12・6民集17巻12号1633頁(百選7事件 株式の仮装払込みの効力)
第5回
・3年生:最判平成9・1・28判時1599号139頁(百選10事件、共有株式の権利行使者の指定方法)
・4年生:最判平成27・2・19民集69巻1号25頁(百選11事件、106条但書の法意)
第6回
・3年生:最判昭和41・7・28民集20巻6号1251頁(百選13事件、会社の過失による名義書換の未了と株式譲渡人の地位)
・4年生:最判平成19・3・8民集61巻2号479頁(百選14事件、名義書換失念と株式分割)
第7回
・3年生:最判平成7・4・25集民175号91頁(百選18事件、従業員持株制度と退職従業員の株式譲渡義務 *「集民」=「最高裁判所裁判集民事」は図書館には入っていないので、百選その他の参考文献から事実関係等を確認)
・4年生:最判平成18・4・10民集60巻4号1273頁(百選12事件、議決権行使阻止工作と利益供与―蛇の目ミシン株主代表訴訟上告審判決)
第8回
・3年生:最判昭和40・11・16民集19巻8号1970頁(百選23事件、株券の発行)
・4年生:最判平成22・12・7民集64巻8号2003頁(百選15事件、個別株主通知と少数株主権等の行使)
第9回
・3年生:最判平成5・9・9民集47巻7号4814頁(百選19事件、100%子会社による親会社株式の取得と親会社取締役の責任)
・4年生:東京高決平成27・5・19金判1473号26頁(百選28事件、株主提案権の濫用)
第10回
・3年生:最判昭和43・11・1民集22巻12号2402頁(百選29事件、議決権行使の代理人資格の制限)
・4年生:最判平成2・4・17民集44巻3号526頁(百選39事件 取締役選任決議の不存在とその後の取締役選任決議の効力)
第11回
・3年生:最判平成22・7・15判時2091号90頁(百選48事件 取締役の注意義務と経営判断原則)
・4年生:最判平成21・3・10民集63巻3号361頁(百選64事件、株主代表訴訟の対象となる取締役の責任)
第12回
・3年生:最判平成21・7・9判時2055号147頁(百選50事件 内部統制システム)
・4年生:東京高判平成25・4・17判時2190号96頁(百選52事件 MBOに関する取締役の責任)
第13回
・3年生:東京地判昭和56・3・26判時1015-27(百選55事件 取締役の競業避止義務、山崎製パン事件)
・4年生:最判昭和49・9・26民集28巻6号1306頁(百選54事件 株主全員の合意と利益相反取引)
第14回
・3年生:最判昭和44・11・26民集23巻11号2150頁(百選66事件 取締役の第三者に対する責任の法意)
・4年生:最判昭和62・4・16判時1248号127頁(百選68事件 登記簿上の取締役の対第三者責任)
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 60 | 報告を担当する際における準備の周到さ、わかりやすく伝えようとする工夫、質疑への真摯な応答等に着眼する |
平常点 | 40 | 議論への参加度合い、議論の深化への貢献に着眼する |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
扱う判例については、ゼミ開講時に判例リストを配布する。
その他特記事項
夏休みの合宿については、学生の希望や外部的な状況を勘案しつつ、実施の有無を決定します。実施する場合、いくつかの最新判例を模擬裁判形式(3年生対4年生)で検討するなどを内容としてこれまで行ってきました。また、ゼミ卒業生(前任校での卒業生も含む)に来ていただき、特別授業を行うこともゼミの行事になっています(2019年には最高裁判所調査官の卒業生に教室にて実施していただき、2020年は銀行勤務の卒業生、2021年は監査法人パートナーの卒業生、2022年は弁護士の卒業生にそれぞれオンライン講演をしていただき、さらに2023年は弁護士の卒業生にふたたび教室で実施していただきました)。その他、課外活動としては、毎年OBOG会を実施しており、ゼミの現役生と卒業生との交流の場となっています。ゼミ活動の交流の場として定着したこれらの諸行事が、2024年度以降も継続されることを願っています。