シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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特殊講義(社会政策と福祉政策) | 2024 | 後期 | 月4 | 総合政策学部 | 山田 雅穂 | ヤマダ ミホ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
PS-IF1-0003
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語/英語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
【授業概要】
初回で社会政策および福祉政策とは何かを概説した後、第2回以降で日本での福祉をめぐる社会問題を事例として取り上げ、それらに関わる現状の政策や制度について学ぶ。具体的には介護保険制度や、日本政府が2014年に批准した「国連障害者の権利条約」とそれを具現化した障害者に関わる政策・制度を取り上げながら、福祉政策の基礎概念である「必要(ニーズ)」とは何かを講義する。
次に、これらが人々のニーズを充足する政策として機能しているかどうかを中心に、政策・制度としての利点と問題点を取り上げながら、解決策を導くための視点や理論を講義する。障害者雇用政策についても取り上げ、ニーズの観点からどのように分析できるか、またCSR(企業の社会的責任)およびそれを含んだ経営倫理学(Business Ethics)の観点から講義する。
そして授業全体を通して、社会政策および福祉政策の国際的な潮流となっているソーシャル・インクルージョン(Social Inclusion:社会的包摂)について学び、人々のWell-beingを実現できる社会政策、福祉政策の在り方を考える。その際の重要な国際動向として、SDGs(持続可能な開発目標)と「ビジネスと人権」の観点から、人々のニーズを充足するためのシステムおよび社会の在り方を考察する。
科目目的
福祉とは、あらゆる人々のウェルビーイング(Well-being:健康で幸福な暮らし)のことであり、社会政策(Social Policy)および福祉政策は、人々のウェルビーイングとは何かを追求し、実現するための政策である。この授業では、福祉をめぐる現実の社会問題を取り上げながら、それらを解決するために必要な福祉政策とは何かを学ぶことが目的である。
到達目標
本科目の目的を踏まえた上での到達目標は、次の3点である。
①福祉をめぐる問題は特定の人々だけのものではなく、社会全体ひいては自分の身近な問題であるという視点を理解する。
②「福祉に関わる社会問題」とは何かを理解し、その当事者、問題に関わる人々の多様な視点を踏まえた上で、複眼的な思考と分析に基づいて解決策を自分で導ける力を身に付ける。
③福祉政策においては、現場の実態と政策・制度とを結びつけることが不可欠であることを、授業全体を通じて理解する。
授業計画と内容
第1回 オリエンテーション授業(社会政策、福祉政策とは何か・受講の際の心構え)
第2回 社会政策と福祉政策とは何か
第3回 介護保険制度の目的、社会的背景と実態について
第4回 福祉政策と「必要」(ニーズ)(1):介護保険制度と関連する社会問題
第5回 必要(ニーズ)とは何か―必要判定の基準と主体
第6回 ニーズ充足の方法と原理
第7回 福祉政策と「必要」(ニーズ)(2):障害者差別解消法を中心に
第8回 「障害」とは何か―WHOのICF(国際生活機能分類)と障害の社会モデル
第9回 国連障害者の権利条約と合理的配慮
第10回 障害者の雇用政策と障害への配慮(合理的配慮)
第11回 経営倫理、CSR(企業の社会的責任)と障害者雇用
第12回 福祉国家の形成と展開
第13回 ソーシャル・インクルージョン(social inclusion)とは何か
第14回 総括:グローバルイシューとしての福祉政策ーSDGs、「ビジネスと人権」の観点からー
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
・事前に指示または配布された論文・文献・資料等は必ず読んだ上で出席すること。それを前提に毎回の授業を進める。
・授業の最後に提示する課題に必ず取り組み、復習も行うこと。
・授業で配布したレジュメ・資料に加え、授業で扱う事例以外に各自授業のテーマに関する論文・文献・資料や事例等を収集し、学修しておくこと。それらを有効に活用して、授業への出席とレポートの執筆に臨むこと。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 60 | ・レポートとして求められる様式や字数を満たしていること ・本、論文、報告書、データなどをきちんと自分で調べ、読んだ上で執筆すること(ネット上の「学術資料以外のもの(筆者が不明なサイト、ツイッターなど)のみの引用」は不可) ・授業以外に自分で調べ、蓄積した事例なども用いていること ・授業で学修した内容を生かし、自らの考察に基づいて論理を展開できているかどうか |
平常点 | 40 | ・授業への出席数 ・リアクションペーパーの提出(不定期に実施) ・授業への参加姿勢(積極的な意見の表明、他の履修生との相互尊重や多様性の尊重に基づいたディスカッションへの積極的な参加、授業全体への貢献など) |
成績評価の方法・基準(備考)
【評価の前提条件】
・出席率が70%に満たない人、レポート課題を提出しない人は、E判定とします。
・成績評価は、平常点とレポート(期末)を総合的に評価して判定します。よって、例えば「授業への出席およびリアクションペーパーの提出のみ」または「レポートの提出のみ」だけでは成績評価はされず、単位が認定されません。授業への出席もレポートも、両方努力して下さい。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
・授業に関する質問などは、授業時間内のほか、manabaの個別機能コレクションでも随時受け付けています。
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)/反転授業(教室の中で行う授業学習と課題などの授業外学習を入れ替えた学習形式)/ディスカッション、ディベート
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
・本授業は、オンラインによるライブの双方向型授業である。
・出席はmanabaのresponを使用して確認する。
・双方向授業中にはチャット機能も用いて、履修生の意見や質問に随時答えたり対話しているほか、授業中にネット環境等の不具合でアクセスができない場合や、マイクが使えない場合でも出席が可能になるよう、チャット機能、manaba、メールなどあらゆる手段を利用している。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
【テキスト】
毎回の授業で、manabaにアップするレジュメ、文献や資料等に基づいて講義を進める。またオンラインでアクセスできる論文、研究報告書などの資料、各省庁等のデータや報告書をより多く紹介し、それらを使って履修生がスムーズに学修を進められるようにしている。下記の参考文献も用いるので、入手できる文献については、受講者は一読することをお薦めする。文献が入手できるかどうかについても、授業中に随時お知らせする。
【参考文献】
1. ポール・スピッカー著、武川正吾・上村泰裕・森川絵美訳(2001)『社会政策講義―福祉のテーマとアプローチ』有斐閣
2. Spicker, Paul. 2014. Social Policy: Theory and Practice. 3rd ed. Bristol: Policy Press.
3. 平岡公一・杉野昭博・所 道彦・鎮目真人(2011)『社会福祉学 Social Welfare Studies:Social Policy and Social Work』有斐閣
4. 武川正吾(2011)『福祉社会〔新版〕ー包摂の社会政策』有斐閣
5. 佐藤久夫・小澤 温(2016)『障害者福祉の世界〔第5版〕』有斐閣
6. 河野哲也(2018)『レポート・論文の書き方〔第4版〕』慶應義塾大学出版会
その他特記事項
・授業への出席は、「皆勤」を原則とする。初回は履修上の注意事項を説明するので、初回も必ず出席すること。
この科目はライブ型オンライン授業として実施します。