シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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FLP演習B(国際協力) | 2024 | 通年 | 月5 | 学部間共通科目 | 山田 恭稔 | ヤマダ ヤストシ | 3年次配当 | 4 |
科目ナンバー
UW-IF3-F02S
履修条件・関連科目等
<履修条件>
①自ら考え、積極的に学ぶ姿勢を求める。
②本ゼミでは、目的達成に向けてメンバー全員が協力し合う姿勢に重きを置く。また、必要に応じて、国際経営学部の山田ゼミメンバーとも協力し、ゼミ運営やゼミ活動を行なうことを求める。
③本ゼミでは、フィールドワークを重視する。研究テーマに即して、3年次には東南アジア域内でのフィールドワークの実施を求める。
④2年次から4年次までの3年間、FLP山田ゼミで学ぶことを原則求める。
授業で使用する言語
日本語/英語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
【テーマ】開発社会学を通して東南アジアを捉える
開発社会学の視点から、東南アジア地域での貧困や格差に関連する多岐に亘る開発課題あるいは社会問題に対する政策や国際協力について、地域社会を軸に研究する。東南アジア諸国で実施されたそれらの開発政策ならびに地域社会へのその影響について学びながら、開発社会学の視点や考え方の基礎を批判的思考を通して習得する。
なお、本演習Bでは、輪読を行ないつつ、東南アジアでの現地調査と合わせて、関心テーマに基づくグループ研究を進め、論文を作成する。
本演習 ABCでは、専門知識だけではなく、発表や討議をも含んだチームワークの経験を積み、協調性、自己管理力を修得し、また、フィールドワークに基づいたレポートや演習論文の作成などを通じ、総合的な学習体験と知的複眼思考力の修得に関わる。
科目目的
・開発社会学に関する基本的な知識や視点を批判的思考を通して身に付け、かつ、日本国内でのフィールド調査を実施・分析することに拠り、開発課題およびそれに対する国際協力について理解を深める。
・東南アジア研究の学際的な地域研究アプローチを学び、「地域社会を見る眼」の基礎を養う。
・開発社会学の視点および「地域社会を見る眼」を通して、東南アジア地域が抱える開発課題や社会問題、それらに対する政策や国際協力、ならびにそれらがもたらす地域社会への影響について、理解を深める。
・フィールド調査を通し、実際の現場を見る姿勢を養い、当該テーマに関する実践知を培う。
・ゼミ活動を通して、組織活動に求められる普遍的で実践的な能力を培う。
到達目標
・開発社会学ならびに東南アジア研究のアプローチの基本を習得して東南アジア地域を複眼的に捉え、かつ、実践知を培うことを通して、東南アジア諸国が抱える開発課題や社会問題、それらに対する政策や試みや国際協力のあり方、さらに、地域社会にもたらされた影響を深く理解する能力を培う。
授業計画と内容
本ゼミではゼミ生が主体となった研究活動を行なう。その研究活動は、①関連文献の分析と討論(輪読)、②グループ研究の企画、準備、情報収集、結果の取りまとめ、論文執筆、という2群に大別される。これら2つの活動群は、グループによるフィールドワークを支え補完する形で同時並行する。
暫定的な授業計画は下記の通りであるが、履修者の希望、ゲストによる特別授業などによって変更され得る。
1.イントロダクション
2.輪読(1):開発アプローチと地域社会①(第1班1回目の発表)
3.輪読(2):開発アプローチと地域社会②(第2班1回目の発表)および3年次グループ研究の研究計画作成(1)(各グループによる計画書に関する総論および作成)
4.輪読(3):開発アプローチと地域社会③(第1班2回目の発表)および3年次グループ研究の研究計画作成(2)(各グループによる計画書に関する各論および作成)
5.輪読(4):開発アプローチと地域社会④(第2班2回目の発表)
6.輪読(5):開発アプローチと地域社会⑤(第1班3回目の発表)
7.3年次グループ研究(研究計画)の発表と議論(1)(各グループによる計画書第1草稿の発表)
8.輪読(6):地域社会開発と東南アジア社会①(第2班3回目の発表)
9.輪読(7):地域社会開発と東南アジア社会②(第1班4回目の発表)
10.3年次グループ研究(研究計画)の発表と議論(2)(各グループによる計画書第2草稿の発表)
11.輪読(8):地域社会開発と東南アジア社会③(第2班4回目の発表)
12.輪読(9):地域社会開発と東南アジア社会④(第1班5回目の発表)および3年次グループ研究(研究計画)の発表と議論(3)(各グループによる計画書第3草稿の発表)
13.輪読(10):地域社会開発と東南アジア社会⑤(第2班5回目の発表)および3年次グループ研究(研究計画)の発表と議論(4)(各グループによる計画書第4草稿の発表)
14.3年次グループ研究(研究計画)の発表と議論(5)(各グループによる計画書最終稿の発表)および前期まとめ
15.3年次グループ研究の現地調査のまとめ・発表と議論
16.輪読(11):持続的開発と東南アジア社会①(第1班6回目の発表)
17.輪読(12):持続的開発と東南アジア社会②(第2班6回目の発表)
18.3年次グループ研究(論文ドラフト)発表と議論(1)(各グループによる論文第1草稿の発表)
19.輪読(13):持続的開発と東南アジア社会③(第1班7回目の発表)
20.3年次グループ研究(論文ドラフト)発表と議論(2)(各グループによる論文第2草稿の発表)
21.輪読(14):持続的開発と東南アジア社会④(第2班7回目の発表)
22.輪読(15):持続的開発と地域社会①(第1班8回目の発表)
23.3年次グループ研究(論文ドラフトファイナル)発表と議論(各グループによる論文ドラフトファイナルの発表)
24.輪読(16):持続的開発と地域社会②(第2班8回目の発表)
25.輪読(17):持続的開発と地域社会③(第1班9回目の発表)
26.3年次グループ研究(ファイナル)発表と議論(1)(グループ1による研究論文最終稿の発表)
27.3年次グループ研究(ファイナル)発表と議論(2)(グループ2による研究論文最終稿の発表)
28.3年次ゼミ活動まとめ
なお、輪読では、国際協力、開発社会学、東南アジア研究などの分野に関する文献を扱う。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
ゼミにおける授業時間は報告と議論を行なう場である。したがって、「授業計画と内容」の箇所で述べた、2つの相互に関連する研究活動群の活動をゼミ生が主体となって進めるため、授業時間外でも相当の学習時間が必要となる。
まず、関連文献の分析と討論に際しては、精読し理解するための予習が各自必要になる。また、フィールドワークの準備、情報収集、結果の取りまとめなどに関しても、報告・発表や討論が繰り返されるため、入念な準備が必要となる。そして、いずれの場合も、報告者には、報告用レジュメの作成が求められる。
さらに、フィールドワークの実施にも、演習授業時間外の時間を充当することが求められる。
これら一連の学習及び作業は、グループワークによって進められるため、準備や打ち合わせなどを必要とする。
【実態調査】
本演習Bでは、グループ研究のテーマに即した国際協力に関連する国内の組織などを対象とした予備的フィールドワークに加えて、参加者が条件を満たした場合、東南アジア地域でのフィールドワークの実施を予定している。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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その他 | 100 | 1. 輪読時における報告の準備・発表:20% 2. 議論への参加度:15% 3. フィールドワークの準備・結果報告への貢献:15% 4. 3年次のグループ論文の執筆・発表への貢献:30% 5. ゼミ活動へのコミットメント・貢献度、ゼミメンバーとの協力等:20% |
成績評価の方法・基準(備考)
なお、出席は評価の前提条件である。配慮すべき理由がなく、以下のいずれかの条件を満たした者はE判定とする:
- 出席率が70%に満たない者
- 報告日に無断で欠席した者
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション/実習、フィールドワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
・財団法人 国際開発センター(IDCJ) 研究員(開発社会学)、在職1991年8月〜1993年3月。
・社会開発国際調査研究センター(IRCSD) 主任研究員(地域社会開発)、在職1993年7月〜2019年3月。
IRCSD在職中に、JICA企画調査員(インドネシア農村貧困軽減)、タイ国チェンマイ大学社会調査研究所 客員研究員、JICA企画調査員(フィリピン地方開発)、UNDPコンサルタント(カンボジア国 高地開発プログラム)、JICA長期専門家(タイ国内務省 地方行政局/自治体振興局派遣;地方開発計画策定・調整)、Diakonia (スウェーデンNGO)コンサルタント(北タイ・プログラム;ロジカル・フレームワーク・アプローチ (LFA) 及びプログラム評価)、FAOコンサルタント(タイ国 持続的森林管理における植林農民の参加プログラム;造林普及)、JICA長期専門家(ラオス国 農林省林野局派遣;森林資源管理)などの任に従事した。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
上述したこれら全ての東南アジアでの国際協力の経験では、フィールドワークを行なう一方、東南アジア研究の学際的アプローチならびに開発社会学の視点が活用された。したがって、輪読ならびにゼミ生たちの研究に関してコメントおよびフィードバックする際に、これらの経験をゼミに還元する。
テキスト・参考文献等
<テキスト>
輪読などに用いる論文・文献は、演習内において適宜配布する。
<参考文献>
授業開始後、適宜紹介するが、日本語文献では以下が含まれる。
【開発学・開発社会学関連】
・R. チェンバース、参加型開発と国際協力、明石書店、2000年
・恩田守雄、開発社会学、ミネルヴァ書房、2001年
・A. セン、貧困の克服、集英社新書、2002年
・斎藤文彦(編著)、参加型開発、日本評論社、2002年
・R. コーエン、P. ケネディ、グローバル・ソシオロジー I・II、平凡社、2003年
・佐藤寛(編)、参加型開発の再検討、アジア経済研究所、2003年
・A.S. バラ、F. ラペール、グローバル化と社会的排除、昭和堂、2005年
・佐藤寛、開発援助の社会学、世界思想社、2005年
・S. ヒッキィ、G. モハン(編著)、変容する参加型開発、明石書店、2008年
・下村恭民、小林誉明(編著)、貧困問題とは何であるか、勁草書房、2009年
・大坪滋 他(編)、国際開発学入門、勁草書房、2009年
・真崎克彦、支援・発想転換・NGO、新評論、2010年
・勝間靖(編著)、テキスト国際開発論、ミネルヴァ書房、2012年
・佐藤寛 他(編著)、開発社会学を学ぶための60冊、明石書店、2015年
・笹岡雄一、[新版]グローバル・ガバナンスにおける開発と政治、明石書店、2016年
・小山田英治、開発と汚職、明石書店、2019年
・重冨真一(編著)、地域社会と開発 第3巻ー住民組織化の地域メカニズムー、古今書院、2021年
【東南アジア研究関連】
・鈴木佑司、新版 東南アジア危機の構造、勁草書房、1988年
・北原淳、共同体の思想、世界思想社、1996年
・西川長夫 他(編)、アジアの多文化社会と国民国家、人文書院、1998年
・山本信人 他(著)、東南アジア政治学[補訂版]、成文堂、1999年
・重冨真一(編著)、アジアの国家とNGO、明石書店、2001年
・佐藤仁、稀少資源のポリティクス、東京大学出版会、2002年
・末廣昭、タイ 中進国の模索、岩波新書、2009年
・清水一史 他(編著)、東南アジア現代政治入門、ミネルヴァ書房、2011年
・中村正志(編)、東南アジアの比較政治学、アジア経済研究所、2012年
・菅谷広宣、ASEAN諸国の社会保障、日本評論社、2013年
・箕曲在弘、フェアトレードの人類学、めこん、2014年
・鳥飼行博、アジア地域コミュニティ経済学、東海大学出版部、2015年
・中野亜里 他(著)、入門 東南アジア現代政治史[改訂版]、福村出版、2016年
・井上真(編著)、東南アジア地域研究入門 1 環境、慶應義塾大学出版会、2017年
・宮原暁(編著)、東南アジア地域研究入門 2 社会、慶應義塾大学出版会、2017年
・山本信人(編著)、東南アジア地域研究入門 3 政治、慶應義塾大学出版会、2017年
・外山文子 他(編著)、21世紀東南アジアの強権政治、明石書店、2018年