シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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構造化学特論 | 2024 | 後期 | 水2 | 理工学研究科博士課程前期課程 | 岡島 元 | オカジマ ハジメ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
SG-BC5-6C15
履修条件・関連科目等
学部での物理化学系科目、とくに『構造化学』『量子化学』の基礎的内容を学修していること。また、行列の掛け算(学部での『線形代数1』『線形代数2』に相当)も学修していること。前年度(あるいは翌年度)開講の『分子分光学特論』と併せて受講すると、より理解を深めることができる。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
分子の構造における対称性は、分子分光法を用いて得られる結果の解釈において非常に重要である。分子の振動モードの数や縮重度、赤外・ラマンスペクトルに観測される振動バンド、振動電子遷移の選択律などは分子の対称性と密接に関係している。また、対称性の低下は、遷移選択律の破れや縮重信号の分裂など、実測スペクトルの具体的な変化として現れる。この講義では、"対称性の数学"とも呼ばれる群論を基礎から学ぶ。まず、点群を例に群論の基本概念を理解し、その後、これらの概念を分子分光法へ応用する方法について詳細に学ぶ。
科目目的
学部で学んだ『構造化学』の内容を深め、分子分光法に対する対称性の利用について理解を深める。群の定義と群論が物理化学でどのように応用されているかを理解し、分子分光法で得られる結果に対称性の考察をどのように当てはめられるのかを理解する。これらによって、学生自身が取り組んでいる研究にも役立てることを目的とする。
到達目標
分子構造の対称性およびそれを扱う群論の基礎を理解する。分子振動や分子軌道の分類に群論を具体的に当てはめられるようになり、遷移選択律を対称性に基づいて説明できるようになる。
授業計画と内容
第1回 イントロダクション、対称性と群
第2回 群の定義と実際
第3回 表現とその性質(1)表現
第4回 表現とその性質(2)既約表現
第5回 表現とその性質(3)指標表
第6回 表現とその性質(4)射影演算子
第7回 群の具体例(1)点群
第8回 群の具体例(2)空間群・回転群
第9回 群論と分子分光法(1)基準振動と既約表現
第10回 群論と分子分光法(2)分子変形の対称座標系
第11回 群論と分子分光法(3)分子軌道と既約表現
第12回 表現とその性質(5)積表現
第13回 群論と分子分光法(4)振動・電子遷移の選択律
第14回 総括
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
テキスト・参考文献等で指定する書籍[2][3][5]をもとにした講義資料スライドを授業前に配布する。それを読んで予習・復習すること。授業後にほぼ毎回演習問題を課すので、それに取り組むことで授業内容の理解を深めること。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 80 | 演習問題の解答内容で評価する。講義内容に関する事項を具体的な例にあてはめ、自分の言葉で説明できるかどうかを評価する。 |
平常点 | 20 | 講義中にRespon等を使ってアンケートやクイズ、コメントシートを課す。それらに答え、積極的に講義に参加しているかを評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
レポートと平常点を総合し、60 %以上の正解により合格とする。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う/その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
ほぼ毎回出題する演習問題に対して、その解答解説を講義資料として公開する(PDFおよび動画にて)。
講義に関する質問は、manabaの掲示板機能を用いて受講生全員が見えるよう公開する。
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
クリッカー/その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
manabaを活用して講義内容に関する質問に答える。
webexで、講義に関する動画を配信する。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト:
[1] 講義資料としてスライドPDFを配布する
[2] 小野寺 嘉孝 著『群論入門』 裳華房,ISBN:9784785328061
参考文献:
[3] 犬井 鉄郎, 田辺 行人, 小野寺 嘉孝 著『応用群論 [増補版]:群表現と物理学』裳華房,ISBN:9784785328016
[4] M. Weller, T. Overton, J. Rourke, F. Armstrong 著, 田中 勝久, 髙橋 雅英, 安部 武志, 平尾 一之, 北川 進 訳「シュライバー・アトキンス無機化学(上)」東京化学同人, ISBN:9784807908981(*第6章のみ)
[5] 中川一朗 著『振動分光学』学会出版センター, ISBN 9784762205354(*第5章のみ)