シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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極値統計学特論 | 2024 | 夏季集中 | 他 | 理工学研究科博士課程前期課程 | 西郷 達彦 | サイゴウ タツヒコ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
SG-SA5-RC33
履修条件・関連科目等
学部の統計学に関わる授業を履修していることが望ましい。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
極値統計学は諸現象において最大・最小を予測する方法である。1920年代から理論が作られ、材料工学や土木工学に広く応用されてきた。方法自体は汎用性のあるものであり、1990年代頃には気象・環境・金融・保険・医学・生物学・農学など多く分野への応用が見られた。また2000年代からはRパッケージによる推定手法が普及し、様々な場面でリスク管理等のために用いられている。
本講義では1変量の極値統計学について学ぶ。推測を行うにあたり3種類のデータ取得デザインを考える。それぞれでモデルつまり模型となる分布を導くために極限定理が必要であり、これを説明する。
ただしその数学的導出はごく簡単にだけ行い、詳細は後回しとして実際の推定に進む。推定においては分布の母数を最尤法で推定するとともに、推定結果のよしあしを判断する探索的データ解析も必要であり、これについても学ぶ。
データ取得デザインはブロック最大・上位r個・閾値超過の3種類で、それぞれについて個別に検討する。これらは初めに独立性というややきつい仮定を置いた上で進めるが、後で実際のデータに近い従属性を持つ時系列についても扱う。
理論だけでなく実際の解析方法についても説明する。最後に極限定理について再検討する。
科目目的
1変量の極値統計学について、理論的背景から実際の推定まで学ぶことを目的とする。
到達目標
極値統計学を用いるときのデータ取得デザインを説明できる。
極値統計学の基盤となる極限定理を説明できる。
極値統計学の主だった推定法を説明し、使うことができる。
授業計画と内容
第1回 極値統計学でどのようなことをしたいか、確率の準備
第2回 統計学とRの準備
第3回 極値統計学の極限定理
第4回 推定のためのさまざまなモデル
第5回 極値統計の推定法
第6回 現象を表す量と探索的データ解析
第7回 ブロック最大データと上位r個データの解析方法
第8回 ブロックデータのRによる解析
第9回 閾値超過データの解析方法
第10回 閾値超過データのRによる解析
第11回 極値時系列に関する理論
第12回 時系列データの解析
第13回 時系列データのRによる解析
第14回 極値統計学の数理
授業時間外の学修の内容
授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
主な定義や定理は再現できるように紙に書いて復習するとよい。またRのコードを実際に入力して実データで試してほしい。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 100 | 講義に対するリアクションペーパーで内容を理解し説明できているかを見る。定例外のレポートにより講義しきれない部分のギャップを埋めたり、内容の応用が図ることができるかを見る。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
クラス内で他の学生のレポートなどを参照できるようにして、全体的なコメントを行う。
アクティブ・ラーニングの実施内容
その他
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
リアクションペーパーを出してもらい、それをクラス内で閲覧して、学生間の学びあいを進める。
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
manabaを利用して、教材を配信したり、学生からのリアクションを得る。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト:西郷達彦・有本彰雄『Rによる極値統計学』(オーム社・2020)978-4-274-22535-2
参考文献:
1. 高橋倫也・志村隆彰『極値統計学』(近代科学社・2016)978-4764905153
2. レズニック著 『極値現象の統計分析』(朝倉書店・2021) 978-4-254-12256-5
3. S. Coles, "An Introduction to Statistical Modeling of Extreme Values", Springer-Verlag London, 2001.
4. E. Castillo, A. S. Hadi, N. Balakrishnan and J. M. Sarabia, "Extreme Value and Related Models with Applications in Engineering and Science" , John Wiley & Sons, Hoboken, 2004.
5. J. Beirlant, Y. Goegebeur, J. Segers and J. Teugels, "Statistics of Extremes: Theory and Applications", John Wiley & Sons, Chichester,West Sussex, 2004.