シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
物理学特別講義第二 | 2024 | 夏季集中 | 他 | 理工学研究科博士課程前期課程 | 池田 達彦 | イケダ タツヒコ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
SG-MP5-2C33
履修条件・関連科目等
微分積分・線形代数などの基本的な部分がわかっていることを想定しています.
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
本授業のテーマは周期駆動系の物理学である。時間に依存する外力のもとでは一般に、物理系において捉えどころのない複雑な非平衡ダイナミクスが生じる。しかし理想的なレーザーなど、外力に時間的周期性がある場合、フロケ理論と呼ばれる理論を用いた系統的な記述や解析が可能になることがある。さらにこのような記述に基づくと、平衡系では実現が難しい現象を周期駆動によって実効的に作り出すこともできる。このことが発見され、フロケ理論に関連する研究が近年非常に活発になり、光学・物性物理・高エネルギー物理など広範な領域に波及している。本授業ではシンプルな量子系を例に取りながら、フロケ理論の基礎と応用をなるべく分かりやすく解説する。
科目目的
1. 外部から時間周期的に駆動された非平衡系を記述・解析するためのフロケ理論を習得する
2. フロケ理論を用いて様々な具体例モデルを解析し、光学や物性物理の理解を深める
到達目標
1. フロケの定理の主張を数式を用いて書き下し、その物理的意味を説明できる。
2. フロケ・エンジニアリングとは何か説明し、その具体例を1つ挙げられる。
3. 擬エネルギーの計算法を具体的に説明できる。
授業計画と内容
1. 導入: 周期駆動と新奇現象
2. 量子論・固体電子論の基礎事項
3. ラビ振動とフロケ状態
4. フロケの定理
5. 拡張状態空間
6. 非線形光学効果
7. 量子マスター方程式
8. 瞬時フロケ状態
9. 固体電子のエネルギーバンド
10. フロケ・バンドエンジニアリング
11. 高周波展開1:方法論
12. 高周波展開2:バンドエンジニアリングへの応用
13. フロケエンジニアリングの基礎付け
14. 先端研究への招待: 時間結晶, 量子コンピュータなど
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
---|---|---|
レポート | 60 | 講義内容に関連した課題に関する理解度を評価します. |
平常点 | 40 | 授業への参加・貢献度,受講態度(講義内容の疑問点に関する質問等)の状況を基準とします. |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト: 指定なし(配布資料あり)
参考文献
Holthaus, Martin. "Floquet engineering with quasienergy bands of periodically driven optical lattices." Journal of Physics B: Atomic, Molecular and Optical Physics 49.1 (2015): 013001.
Bukov, Marin, Luca D'Alessio, and Anatoli Polkovnikov. "Universal high-frequency behavior of periodically driven systems: from dynamical stabilization to Floquet engineering." Advances in Physics 64.2 (2015): 139-226.
Oka, Takashi, and Sota Kitamura. "Floquet engineering of quantum materials." Annual Review of Condensed Matter Physics 10 (2019): 387-408.
その他特記事項
夏季集中講義のため,学生の理解度や予習の具合によって,どこまで進められるか柔軟に対応します.