シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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電磁理論特論第一 | 2024 | 前期 | 金4 | 理工学研究科博士課程前期課程 | 小林 一哉 | コバヤシ カズヤ | 1年次配当 | 2 |
科目ナンバー
SG-EL5-5C47
履修条件・関連科目等
「電磁理論特論第二」(後期開講科目)を履修する場合は、本科目を必ず履修すること。また、「電磁気学特論」(前期開講科目)、「電磁波工学特論」(後期開講科目)を併せて履修することが強く望まれる。
授業で使用する言語
日本語/英語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
波動の散乱・回折理論は、半無限平板による回折問題に関し、1896年に発表されたSommerfeldの先駆的業績を始めとして、数多くの数理物理学者、工学者により広範囲にわたる研究がなされてきた。散乱・回折問題は一般に、Greenの公式を用いて積分方程式に帰着されるため、積分方程式論がこの分野に与えた影響は極めて大きい。実際、1931年、WienerとHopfはある種の特異積分方程式がFourier変換と複素関数論の応用により厳密に解きうることを示し、1946年には彼らの確立した解法理論(Wiener-Hopf法)が初めて波動の散乱・回折問題に応用され、これを契機として散乱・回折理論は輝かしい進歩を遂げ、現在に至っている。本授業科目においては、電磁理論の中で一つの重要な中核をなす散乱・回折理論について、特にWiener-Hopf法を用いた厳密解法理論に焦点を絞り、その理論的基礎を講義する。次いで、Wiener-Hopf法によって厳密に解きうる散乱問題に現れる物体の形状(これをWiener-Hopf形状という)の例として半無限平板、半無限平行平板導波管を取り上げ、平面電磁波の回折問題のWiener-Hopf法による解法理論を詳述する。
科目目的
波動散乱問題の厳密解法として知られるWiener-Hopf法の数学的基礎と規範問題への応用を学習することを目的とする。
到達目標
本授業科目の目的は、電磁波の散乱・回折問題に対する代表的な厳密解法として知られるWiener-Hopf法の基礎を講義し、次いで、Wiener-Hopf法によって厳密に解き得る回折問題を取り上げ、解法理論を詳述することである。これによって、Wiener-Hopf法に基づく解法理論、及びWiener-Hopf法によって厳密に解き得る回折問題のクラスに対する理解を深めてもらうことを到達目標とする。
授業計画と内容
1.散乱・回折理論とウィーナー・ホッフ法(第1回)
第1回 歴史的背景と適用範囲
2.複素フーリエ積分論と関数論からの準備(第2回~第6回)
第2回 複素フーリエ変換
第3回 複素フーリエ積分の漸近的振舞い
第4回 正則関数の分解定理
第5回 多価関数と鞍部点法
第6回 ウィーナー・ホッフ法
3.半無限平板による回折問題(第7回~第10回)
第7回 放射条件と端点条件
第8回 問題の定式化
第9回 ウィーナー・ホッフ方程式の厳密解
第10回 散乱界の表現
4.半無限平行平板導波管による回折問題(第11回~第14回)
第11回 連立ウィーナー・ホッフ方程式
第12回 核関数の分解
第13回 連立ウィーナー・ホッフ方程式の厳密解
第14回 複素フーリエ逆変換
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 60 | レポートを2回程度実施し評価する。 |
平常点 | 10 | 毎回の授業の受講状況を考慮する。 |
その他 | 30 | 担当範囲を予習した内容に関し授業中に行うプレゼンテーションを評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
・小林:"ウィーナー・ホッフ法と変形留数解析法",電磁波問題の基礎解析法,山下監修,第8章,電子情報通信学会,1987.
・小林:"Wiener-Hopf法とその散乱・回折問題への応用",応用数理への道,堀内編著,第9章,コロナ社,1989.
・K. Kobayashi: "Wiener-Hopf and modified residue calculus techniques", Analysis Methods for Electromagnetic Wave Problems, Chap. 8, E. Yamashita, Ed., Artech House, Boston, 1990.
・K. Kobayashi: "Some diffraction problems involving modified Wiener-Hopf geometries", Analytical and Numerical Methods in Electromagnetic Wave Theory, Chap. 4, M. Hashimoto, M. Idemen, and O. A. Tretyakov, Eds., Science House, Tokyo, 1993.
その他特記事項
参考URL
kazuya@tamacc.chuo-u.ac.jp
http://www.elect.chuo-u.ac.jp/kazuya/