シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
企業財務論2 | 2024 | 秋学期 | 火3 | 法学部 | 石島 博 | イシジマ ヒロシ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-SO3-021L
履修条件・関連科目等
企業財務論(コーポレート・ファイナンス)に興味を持って授業に取り組めることを条件とします。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
本授業「企業財務論2」では、初学者向けに、企業財務論(コーポレート・ファイナンス)の「実践編」を学びます。
本授業「企業財務論2」と授業「企業財務論1」は互いに関連しています。「企業財務論1」ではコーポレート・ファイナンスの基礎を学びます。一方、本授業「企業財務論2」ではコーポレート・ファイナンスを応用して、「企業分析」と「企業価値評価」を実践します。
どちらの授業も独立して履修することが可能です。
どちらの授業も初学者の履修を想定した内容としており、基本からスタートして実際に使えるレベルまで、短期間で修得します。
科目目的
企業財務論(コーポレート・ファイナンス)の基礎的な理解は、企業財務や金融に携わる者をはじめとして、「リスク」を伴う判断・意思決定・評価を行なう者にとって重要なリテラシーと位置づけられます。ファイナンス理論・計量的手法・コンピューターを駆使して求める具体的な数値により、リスクを考慮した判断・意思決定・評価を可能にし得るからです。
このような観点より、本講義「企業財務論2」では、初学者向けにコーポレート・ファイナンスの「実践編」を、Excelを利用して修得することを目的とします。
到達目標
毎回の授業終了時に、本日のまとめをします。全授業14回分のまとめを、完全に修得することを到達目標とします。
授業計画と内容
【導入】
第1回 イントロダクション~財務分析の概要、レポート一覧
企業が行うビジネスに対応付けた財務分析の概要を学ぶ。また、レポート課題一覧を示して説明する。
第2回 サンプル・レポートとDCF法(Discounted Cash Flow)の原理
(前半) ターゲット企業と競合企業の選定を行う。その上で、サンプル・レポートに沿って、定性分析(ファイブ・フォース・モデル等の産業分析、差別化戦略等の競争戦略分析)、定量分析(DCF法による企業価値評価と関連分析)の全体像を説明する。この全体像をブレークダウンした一つひとつの要素が、本授業で修得する内容となる。
(後半) DCF法の原理となる「キャッシュフロー、リターン、現在価値」の考え方を解説する。
【基礎】
第3回 財務分析 - 基礎編
財務諸表の構成、貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)の要約、フリーキャッシュフロー(FCF)への集約について理解する。
第4回 財務分析 - 応用編
日経NEEDS-FinancialQUESTを利用した財務データの取得方法を学び、ターゲット企業と競合企業の要約B/SとP/Lを作成する。
第5回 見積財務諸表モデルと財務比率
(前半) 見積財務諸表モデル、クリーンサープラス会計について理解する。
(後半) 見積財務諸表モデルのパラメータとして機能する財務比率を学ぶ。
第6回 FCFの予測とDCF法の実装
売上高成長率の予測を出発点としてFCF予測を行う。また、DCF法を構成する3つのステップを学んだうえでDCF法を実装し、企業価値を評価し理論株価を算定する一連の流れを学ぶ。
【応用】
第7回 市場データを分析するための確率・統計の基礎
リターンを計測する平均(期待値)、リスクを計測する標準偏差(分散)、および相関係数(共分散)を学ぶ。
第8回 株主資本コストとCAPM
(前半) 株主資本コストの考え方を学ぶ。
(後半) 株主資本コストの推定に利用されるCAPM(資本資産価格モデル)を学ぶ。
第9回 CAPMによる株主資本コストの推定、およびWACCの算定
(前半) 日経NEEDS-FinancialQUESTを利用した市場データの取得方法を学ぶ。
(後半) CAPMによる株主資本コストの推定方法、およびWACC(加重平均資本コスト)の算定方法を学ぶ。
第10回 ディスカウント・キャッシュフロー法(DCF法)による企業価値評価 - 演習
【発展】
第11回 その他の企業価値評価方法
(前半) 剰余利益モデル(EBOモデル)など、その他の企業価値評価方法をDCF法と比較しつつ学ぶ。
(後半) マルチプルズによる企業価値評価を学ぶ。
第12回 DCF法の発展的利用
Excelの機能を活用したDCF法の5つの発展的利用方法について修得する。特に、感応度分析や企業価値最大化について学ぶ。
第13回 DCF法の発展的利用(つづき)、および過去の優秀レポートのレビュー
(前半) Excelの機能を活用した、DCF法の5つの発展的利用方法について修得する。特に、インプライド財務比率やバリューターゲティングについて学ぶ。
(後半) 過去の優秀レポートをレビューする。
第14回 まとめ
レポートの構成に沿って本授業の内容を復習するとともに、レポート作成についての質疑応答を行う。
授業時間外の学修の内容
その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
本講義では、授業に集中して取り組むことを第一に、分からなかったことを復習してください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
---|---|---|
レポート | 60 | 12月第1週までにレポート課題を掲出します。レポートを作成するステップを具体的に示します。ステップごとの出来栄えに応じて点数を加算してレポート点を評価します。 |
平常点 | 40 | 授業への取組みや参加状況等を総合的に評価します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
平常点として、その回の授業の理解のカギとなる「1行以内のキーワード・コンセプト」を、小テストとして授業時間内に回答してもらいます。次回の講義にて、そのキーワード・コンセプトについて復習します。
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
授業では、Excelを利用して「企業分析」と「企業価値評価」を実践していきます。そのため授業ではPCを利用します。自分のノートPCを持参するか、情報処理教室で借りてきてください。
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
担当教員は、情報処理推進機構(IPA)の未踏クリエータ(2003)です。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
Excelでどのように「企業分析」や「企業価値評価」を実践できるのか、実際にExcelで数字を走らせてみます。初学者を想定して、ファイナンスでのExcelの基本的な使い方も学びます。
テキスト・参考文献等
【テキスト (電子書籍)】
石島博 『バリュエーション・マップ 企業価値評価の科学と演習』東洋経済新報社、2008年
※授業が少し進んでから、より深く学びたいと思ったときに購入してください。
【参考書 (電子書籍)】
石島博 『ファイナンスの理論と応用1 資産運用と価格評価の要素』 日科技連出版、2015年
石島博 『ファイナンスの理論と応用2 正規分布で解く資産の動的評価』 日科技連出版、2016年
石島博 『ファイナンスの理論と応用3 資産価格モデルの展開』日科技連出版、2017年
※上記以外の参考書は適宜、推薦します。
その他特記事項
■授業の工夫■
コーポレート・ファイナンスは、リスクを伴う投資を具体的な数値によって評価し、投資する/投資しないという企業や投資家の意思決定に役立つ学問体系となっています。Excelを利用したケーススタディを多く取り上げ、理論がどのように応用・実践されるのかという観点を重視した授業を行う予定です。
参考URL
担当教員ホームページ
HP1: https://researchmap.jp/hiroshi.ishijima
HP2: https://ilabfe.jp