シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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専門演習B2(紛争解決と正義論)(持ち上がり) | 2024 | 秋学期 | 木6 | 法学部 | 宮野 洋一 | ミヤノ ヒロカズ | 4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-OL4-018S
履修条件・関連科目等
3年次の「国際法と正義論」ゼミ、「国際法と紛争解決」ゼミ履修者からの持ち上がりゼミ生を対象。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
・宮野国際法W(正義論)ゼミでは、国際法を出発点にしつつも、より広く(そして深く)国際性をもった様々な諸問題に、解決の基礎となる価値に遡って(=正義論的)にせまります。たとえば 以下のような問題に関心をもったあなた。ウェルカム・トゥ・ミヤノゼミです。(a)やせ細り飢餓におびえる子供の写真をみて何かしなきゃという気になるあなた→ 開発援助ODA やアマーティア・センの正義論、あるいはポッゲの『なぜ遠くの貧しい人への義務があるのか~世界的貧困と人権』は如何?(b) パナマ文書で注目されたタックス・ヘイブン。税ってそもそもなぜ払うの?それはどのように使われるのが適切なの?→グローバル・タックス論へ(入門的には『上村(編)『世界の富を再分配する30 の方法』(2016)。(c)従軍慰安婦問題、法的責任論を避け続ける日本政府と、「法的」責任の追及のみにこだわる支援団体、NGO、マスコミ→被害者当人にとってのベストな解決とは?(d)アパルトヘイトや悲惨な内戦のあと、国家を、社会を、人間関係を立て直すために必要なのは裁きか赦しか?→南アの真実和解委員会を勉強してみよう。刑法の修復的司法にも通じる話だ。(e) 「日本核武装論」などというぶっそうな議論もありますが、核攻撃どころか「精密兵器」と称する兵器による「付随的被害」だからしかたない、なんて議論はとんでもないというあなた→国際司法裁判所の核兵器の合法性に関する勧告的意見の検討へ、あるいは反空爆の思想、はたまた、「ソフトパワー」論で知られるJ.ナイの『核戦略と倫理』へ。(f)できあがっている法を解釈適用するだけでなく、もっとあるべき法の形も考えてみたい。→具体的な問題をえらんで「法制度設計」に必要とされること(正義の要請や効率性など)を考えてみよう→出発点として平井宜雄『法政策学』へ。 (g) 人権や、援助、武力の行使といった問題を、単に実定国際法がこうだから、と論じるだけでなく、その基礎
になる価値観や倫理といったレベルでも考えてみたい→井上達夫『世界正義論』や、ホフマン『国境を越える義務』、ラギーの『正しいビジネス』は如何?これらはほんの一例。みなさんの関心に合わせて色々な素材をとりあげたいと思います。
(紛争解決については春学期概要参照)
科目目的
正義論と紛争解決どちらにより関心があるかによって、さまざまな国際問題の中で、正義・国際倫理の要素をもちうるものについて理解を深め、あるいは、紛争の背景と様々な原因およびそれらに対する基本的な解決方法の理解を深める。
到達目標
最終的にゼミ論で自分なりに問題を設定しそれに対する説得力ある解決案を提示で
きるようになることをめざす。2年目であるので、3年次のゼミ論をさらに発展的にブラッシュアップする。
授業計画と内容
1.イントロダクション
2.ゼミ論構想発表 Aグループ
3.ゼミ論構想発表 Bグループ
4.ゼミ論構想発表 Cグループ
5.ゼミ論構想発表 Dグループ
6.ゼミ論中間発表と議論 Aグループ
7.ゼミ論中間発表と議論 Bグループ
8.ゼミ論中間発表と議論 Cグループ
9.ゼミ路中間発表と議論 Dグループ
10.ゼミ論最終発表 Aグループ
11.ゼミ論最終発表 Bグループ
12.ゼミ論最終発表 Cグループ
13.ゼミ論最終発表 Dグループ
14.ゼミ論集編集
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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平常点 | 30 | 毎回のゼミへの参加・貢献(レジュメ・報告担当、司会、記録、議論) |
その他 | 70 | ゼミ論(2万字)の評価による |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)/ディスカッション、ディベート/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
秋学期は各自のゼミ論(構想・中間・最終ver)が共通検討対象となります。
(正義論関係:参考・発展文献:一例です)
押村高『国際正義の論理』(講談社現代新書#1961、2008)
宇佐見誠(編)『グローバルな正義』(勁草書房、2014)
伊藤恭彦『貧困の放置は罪なのか:グローバルな正義とコスモポリタニズム』(人文
書院2010)
伊藤康彦『タックス・ジャスティスー税の政治哲学』(風行社、2017)
ラギー(東澤訳)『正しいビジネス―世界が取り組む多国籍企業と人権の課題』(岩波)
(紛争解決関係:参考・発展文献:一例です)
トーピー『歴史的賠償と「記憶」の解剖』(法政大学出版局,2013)
西谷真規子編『国際規範はどう実現されるか』(ミネルヴァ書房,2017)
福永有夏『貿易紛争とWTO:ルールに基づく紛争解決の事例研究』(法律文化社,2022年)
瀬・荒木編『WTO紛争解決手続における履行制度』(三省堂、2005年)
竹内真一『現代アフリカの紛争と国家』(明石書店、2009年)