シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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法学基礎演習B1 | 2024 | 春学期 | 木4 | 法学部 | 西村 暢史 | ニシムラ ノブフミ | 2年次のみ | 2 |
科目ナンバー
JU-BS2-003S
履修条件・関連科目等
企業に関する様々な情報に興味関心を持ってきた学生、これから持っていきたいと強く考える学生を歓迎する。なお、履修の際は、外国語科目の履修(学修)に加えた英語資料への取り組みが強く求められる場面が多いことを十分に考慮してほしい。
授業で使用する言語
日本語/英語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
基本的には「法律外書購読(英語)」の授業(英語資料の輪読と理解)と理解してください。
その上で、「法学基礎演習B1」では、「法学基礎演習A1・A2」において学修した内容にも考慮しつつ、国内外の企業活動に影響を及ぼす様々な法規制とその課題を熟考することになります。
具体的には、欧米の裁判所判決等を素材にして、欧米の法制と法律分野における専門分野の英語理解を深めていきます。その際、日本語での理解を促すために参考となる日本語文献も並行して紹介・読解していきます。
大きなテーマとしては、「プラットフォームと法規制」を予定しており、これと関係する企業行動の背景やその様々な影響について国内外の比較を含めて調べ、報告することを予定しています。
科目目的
(1)上記英語資料の読解力の養成、
(2)読解に必要な関連する適切な背景資料等の検索・収集する能力の養成、
(3−1)それらのレポート(またはサーベイレポート)作成、報告を行うスキルの定着、
(3−2)グループディスカッションを行うことで、企業行動に興味関心を持続的に持つと同時に、口頭による意見交換の重要性を認識することです。
到達目標
英語文献の読解による以下の能力を涵養します。
(1)上記テーマに関する基礎的知識や基本的な考え方を知り、関連する資料の収集、要約作成、報告、議論に必要な一定のルールと技術を身につけます(レポート作成の倫理、構成と論理一貫性、問い・立論と根拠・検討枠組み、引用方法、脚注等)。
(2)学修の対象となる素材をもとに、何がなぜ問題となっているのか、問題の背景、重要性と解決の必要性等、問題発見と「問い」の設定、結論について理解するためのスキルを身につけます。
(3)文書および口頭によるコミュニケーションの重要性も認識した上で、論理的な発言の技術を身につけます。
授業計画と内容
春学期の素材は、プラットフォームに関する基礎的理解のための米国の裁判所判決の輪読を予定しています。随時、アマゾン、楽天、アップルなどに関する企業活動の最新情報も紹介してもらいます。その際、関連する企業とそのビジネス活動の背景事情と最新状況の理解の促進の観点から、パラグラフリーディングを軸に、英語をどのように日本語訳にすべきかを考えながら取り組みます。
また、随時、関連する企業活動を素材としてグループディスカッションも予定しています。
※以下は予定であり、資料の入手状況等によっては、取り扱う英語資料の変更の可能性があることに留意してください。
1.春学期の説明(素材の入手方法の確認、準備手順等の説明、グループ分け、報告のための諸注意)、グループディスカッション(「市場」の理解など)
2.米国判例の読解と共通基礎知識に関する講義、来週からの報告のための作業日
3.テーマ1:米国連邦最高裁判決(American Express)
4.テーマ1:事実(クレジットカード市場の理解)
5.テーマ1:事実(法的判断枠組みの理解:問題となっている行為とアメリカ法の理解)
6.テーマ1:判決検討(市場を理解する)前半
7.テーマ1:判決検討(市場を理解する)後半
8.テーマ1:反対意見を吟味する 前半
9.テーマ1:反対意見を吟味する 後半
10.テーマ2:Epic判決(米国連邦控訴裁_対Apple)、Epic判決(米国連邦地裁_対Google)、Googleの和解事案(米国連邦地裁)、または、教科書(Paul Belleflamme & Martin Peitz, The Economics of Platforms: Concept and Strategy (Cambridge UP, 2022))輪読
11.テーマ2:検討1;事実確認(Chapter 1.3.2)前半
12.テーマ2:検討2;事実確認(Chapter 1.3.3)後半
13.テーマ2:検討3;判決枠組み(Chapter 1.3.1)前半
14:テーマ2:検討4;判決枠組み(残り)後半、秋学期に向けて夏季休暇中の対応
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 60 | 春学期における複数回の成果物の提出を総合的に評価します。 |
平常点 | 40 | 対面による出席を「原則」とし、演習への参加を前提に、演習の運営(進行、発言、事前事後の連絡報告など)において適切な言動を総合的に評価します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
※以下の情報は予定となりますので、変更等の可能性があることに留意してください。
<利用予定の英語文献>
【前半】
https://www.supremecourt.gov/opinions/17pdf/16-1454_5h26.pdf
【後半プラス秋学期】
https://cand.uscourts.gov/wp-content/uploads/cases-of-interest/epic-games-v-apple/Epic-v.-Apple-20-cv-05640-YGR-Dkt-814-Judgment.pdf ➡連邦地裁判決
https://cdn.ca9.uscourts.gov/datastore/opinions/2023/04/24/21-16506.pdf ➡連邦控訴裁判決(こちらを使用します)
Epic判決(米国連邦地裁判決_対Google:https://www.courtlistener.com/docket/17443962/epic-games-inc-v-google-llc/)については教員が確認の上で、教材とするか判断します。Google和解事案(https://www.doj.nh.gov/news/2023/20231219-google-play-settlement.htm)についても同様です。
Paul Belleflamme & Martin Peitz, The Economics of Platforms: Concept and Strategy (Cambridge UP, 2022), Chapter 1
https://www.cambridge.org/core/books/economics-of-platforms/1465A930513786676D369128B0AF9D21
➡教員側で資料を用意します。
<テーマについての資料等(日本語のみ)>
【必須書籍:時間がある時に必ず読んでください+秋学期B2のための夏季休暇課題にもなります】
・若江雅子『膨張GAFAとの闘いーデジタル敗戦 霞が関は何をしたのか』(中公新書ラクレ、2021年)
・小林泰明『国家は巨大ITに勝てるのか』(新潮新書、2023年)
【参考文献】
・モーリス・E・スタック=アレン・P・グランズ著(佐々木勉訳)『ビッグデータと競争政策』(中央経済社、2022年)
・ティム・ウー著(秋山勝訳)『巨大企業の呪い』(朝日新聞出版、2021年)
・デヴィッド・S・エヴァンス+リチャード・シュマレンジー著(平野敦士カール訳)『最新プラットフォーム戦略:マッチメイカー』(朝日新聞出版、2018年)
・カール・シャピロ+ハル・ヴァリアン著(大野一訳)『情報経済の鉄則:ネットワーク型経済を生き抜くための戦略ガイド』(日経BP社、2018年)
<日本における事例等>
必要に応じて、以下のURLにある事例等を取り扱っていきます。
https://www.jftc.go.jp/dk/digital/index.html
その他、世界各国の様々な企業やITサービスの情報に積極的に触れるよう努めてください。
<担当教員の個人的な推薦>
橋本毅彦『「ものづくり」の科学史―世界を変えた《標準革命》』 (講談社学術文庫、2013年)
その他特記事項
■授業の工夫■
・常に最新の企業情報や法規制情報を取り入れています。履修者は各自で最新情報の入手に努め、また、他の履修者と共に知識と思考の更新を行うことができるようにします。