シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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専門演習A1/専門演習B1 | 2024 | 春学期 | 木3 | 法学部 | 遠藤 研一郎 | エンドウ ケンイチロウ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-OL3-015S
履修条件・関連科目等
1~2年次に民法科目を履修し、相当程度、民法に関する基礎知識が定着しているこ
と。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
取り上げる事例・テーマは、ゼミ生の関心を尊重するが、一応、教員の方でも2年間を通じてゼミに参加すれば民法総則から債権各論まで包括的に検討できるような素材を準備している。
<研究予定テーマ例>
【民法総則分野】権利外観法理、詐欺・強迫の守備範囲と消費者保護、法人の「目的の範囲」、動機の錯誤、代理権の権限濫用、表見代理、無効の相対化、時効制度の存在理由、時効完成後の債務承認、信義則の適用場面、事情変更の原則
【物権法分野】登記の機能、民法177 条の「第三者」、無効・取消・解除と登記、取得時効と登記、相続と登記、登記請求権、占有の機能、占有訴権の存在意義、留置権が成立する範囲、第三者による抵当権侵害、物上代位における「差押」の意義、法定地上権の成立の可否、譲渡担保・所有権留保の法的性質とその効力、動産担保の競合
【債権総論分野】強制履行における間接強制の有用性、第三者による債権侵害、債務不履行責任と不法行為責任、損害賠償の範囲、相殺の担保的機能、履行補助者の過失、債権者代位権の転用、債権譲渡の対抗要件具備の衝突、民法478 条の適用範囲、種類債権の特定・受領遅滞・弁済の提供の位置関係、弁済による代位
【債権各論分野】継続的契約関係の解除・解約、危険負担における債権者主義、売主の契約不適合責任、利息の制限、賃借権の物権化、敷金の法的性質、サブリース契約、信頼関係破壊の法理、安全配慮義務、請負契約と建築建物の所有権の帰属、転用物訴権、不当利得類型論、709 条の「過失」、因果関係の証明、企業責任、使用者責任における外形理論、共同不法行為の立法趣旨、受忍限度論、違法行為に対する差止請求、過失相殺の要件と機能
科目目的
事例研究・判例研究などを通じて、財産法上の基礎的論点を横断的に分析することにより、具体的紛争における問題発見能力・分析能力・解決能力の向上を図ることを目標とする。
到達目標
民法を「知っている」というレベルから「使いこなせる」というレベルに引き上げる。
授業計画と内容
およそ、1週間に1つの事例や判例に取り組むことを予定している。なお、以下では「一応の」授業計画を記載する。これは、文部科学省との関係で必要性があるため、担当教員としては、やむをえず記載する「極めて不確定」なものであることに注意してもらいたい。実際には、このような内容にとらわれず(単なる例示と捉えてもらって構わない)、第1 回目授業(および授業開講以前の打ち合わせ)の中で、ゼミ試験に合格した者との話し合いを経て、最も適切と思われる教材(遠藤オリジナルの事例も含む)を選定のうえ、決定する。
また、事例・判例が難解であったりした場合には、複数週にまたがることもある。いずれにせよ、先を急ぐよりもじっくりと議論し、ゼミ生が各テーマについてしっかりと理解・納得することを優先する。うわべだけではなく、汎用性のある「民法の原理・原則」「民法の考え方」まで徹底的に理解することを求める。ゼミ生の理解が不十分なままゼミを終えて、次週には次の事例に取り組むという類の運用はしない。
【春学期】
(1)ガイダンス
(2)事例研究① 契約の締結と合意の瑕疵
(3)事例研究② 代理による契約の締結
(4)事例研究③ 契約当事者の確定
(5)事例研究④ 契約の履行と受領障害
(6)事例研究⑤ 契約の履行不能と危険負担
(7)事例研究⑥ 契約不履行による損害賠償責任
(8)事例研究⑦ 売主の契約不適合責任
(9)事例研究⑧ 請負人の契約不適合責任
(10)事例研究⑨ 賃貸借契約の解除と終了
(11)事例研究⑩ 賃貸借における契約当事者の変動
(12)事例研究⑪ 契約関係と不当利得
(13)事例研究⑫ 不動産の二重譲渡
(14)事例研究⑬ 不動産の譲渡と取得時効
授業時間外の学修の内容
その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
課題として設定された事例について、全員が必要な調査をする。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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平常点 | 100 | 平常時の報告と発言により総合評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)/反転授業(教室の中で行う授業学習と課題などの授業外学習を入れ替えた学習形式)/ディスカッション、ディベート/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
通常授業では、基本的に、民法事例教材を使用する予定である(遠藤が作成したオリジナル事例も併用して用する場合もある)。ゼミ生の希望によりサブゼミを実施する場合には、法律文書の起案や、ここ数年間の重要判例解説等を行う。夏合宿(予定)では、集中的に事例分析に取り組む。来年度は、(今年度までと異なり)私が指定した教材を使用する。
その他特記事項
くれぐれも専門演習は、予備校ではない。予備試験・司法試験や法科大学院進学のためだけに活用し、民法学と向き合うつもりのない学生は、決してゼミを履修(応募)しないでもらいたい。効率的に学修したうえで試験にチャレンジしたい者がいれば、それは自己責任でやればよいことであり、否定はしないが、この専門演習は、そのような場ではない。回り道しても、自分の頭で考えられる力をつける志があったり、大学で学問と向き合う気持ちがある者だけ履修(応募)してもらいたい。