シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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哲学2 | 2024 | 秋学期 | 金3 | 法学部 | 谷﨑 秋彦 | タニザキ アキヒコ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-PE3-008L
履修条件・関連科目等
履修科目要件はありませんが、難しいテクストを日本語で読む能力が必要となります。
(哲学または現代思想に興味のある受講者を望みます。)
授業で使用する言語
日本語/その他
授業で使用する言語(その他の言語)
術語としては、哲学に関する各国語として、ドイツ語、フランス語、ギリシア語、ラテン語、アラビア語、ヘブライ語などが出てきます。この授業では難しい文の購読は全てに日本語で。
授業の概要
指定教科書に記載されている「哲学者」および「哲学素(哲学的論題・哲学的用語 など)」を逐次取り上げつつ解説していきます。
基本的に「現代思想(現代哲学・ポストモダンの哲学)」が主たる論題になります。「現代思想」とは、〈近代〔モダン〕〉を批判的に捉えなおす思想 ということができます。このため、必要に応じて「近代〔モダン〕」の思想的内実に関しても取り上げることになります。
後半(哲学2)では、話題の焦点はとりわけ共同体的な問題(国家/政治/倫理/道徳/宗教/法/経済/紛争などに関わる問題)になる予定です。
科目目的
現代哲学ないし現代思想と呼ばれるものに関する一定度の理解を得るとともに、この方面での自己固有の思念を形成すること、これが目標となります。
後半に当たる秋学期では、とりわけ「共同体」のありように関連する諸問題を取り上げます。
ここで「社会」といわずに「共同体」と記したのは、〈個人〉の集合としての〈社会〉は近代固有の発想であって、これをさまざまな他の時代に投射して理解しようとすると、無理が生じるからです。
ここではさまざまな時代のさまざまな思想に基づく、諸々の共同体概念を取り上げながら、近代の〈社会〉の意義を囲い込むようなことを目指します。
扱うの論題はさまざまな方面に渡りますが、そのそれぞれにおいて、上の問題との繋がりで事柄を考えていこうと思います。
到達目標
近代とは区別されたものとしての「現代思想」に関して一定度の理解をもつ。
その現代思想の有力の思想家の思想の内容につき一定度の理解をもつ。
現代思想に則しつつ、現今の諸問題を各自の視点から論じることができるようになる。
これらを目標としています。
授業計画と内容
教科書として指定する図書を手がかりとして、現代思想のキーワードを解明することを基本的な授業形態とします。
包括的な説明と平行して、可能なかぎりの引用を参照することによって、諸思想家の原典に即しつつ議論を進めたいと思います。昨今では、簡便な〈まとめ〉で事柄が理解されうるとの誤解が頻出していますが、哲学的な思想は単純にまとめることができない豊穣さをもっており、これに直に触れて、そのままの形で理解することを試みる必要があります。
この講義では、レポートに向けて各自が一冊の思想書を通読することを求めています。このため、難しい書物を簡単なまとめで理解したつもりになることなく、丹念に時間をかけて読む練習をすることも当授業の内容の一環といえます。その練習が、テクストを読み進める授業の本体であることになります。このため、テクストを所持して授業に臨むこと、また必要に応じて下読みしてくること、これも必須となります。
講義で扱う内容は以下の予定です:
第一回 知と共同体
第二回 共同体に関する諸説
第三回 ギリシア的なポリスについて
第四回 近代の法治国家の意味するもの 主体 理性
第五回 表象と代理 国家と国民
第六回 近代と個人 宗教(プロテスタントとオーソドックス)
第七回 ヘーゲル的歴史観
第八回 物象化 疎外 進歩 生産 技術
第九回 ヘーゲル的意味での国民国家とは
第十回 富 所有 贈与
第十一回 ノマドと寄留 定住
第十二回 戦争と民族
第十三回 ユダヤ思想 イスラーム キリスト教と神の国
第十四回 まとめとして 近代の思想とはいかなるものか
(実際に扱われる現代の問題は「授業の概要」に記された諸項目から、受講者の関心などに応じて選定されることになります。また時事的な問題を主題となり得ます。)
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
テクストの指示された箇所については精読する必要もあります。
テクストの目次を参照して、自ら興味を抱いた項目を自主的に読んでおいて、どのような問題が自分とつながりがあるのか、それをどのような著者がどのように論じているのか、このようなことをテクストから逐次読み取っていれば、レポートにおける図書の選定もスムーズになります。
総じて読書、しかも深読みに全てがかかっています。諸メディアを介した知見も、本体ないし土台が頑強でなければ単なる知識の偏頗な集積でしかありません。読み、聞き、考えることを継続してこそ得られるものがありますから、しばらく集中しましょう。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 60 | 期末に向けてレポート提出が課されます。 |
平常点 | 40 | 各回に関して提出物が課されますので、それに対応する必要があります。manaba上に設定。また形式は、「コースメンバー全員が閲覧・コメント可」になります。 |
成績評価の方法・基準(備考)
前年度の実績では、各回に関して、『思考の用語辞典』(ちくま学芸文庫版)の中から事項を取り上げて、これに関して各自の考えを記すということが毎回の提出課題となりました。本年度もこれに準ずる予定です。
期末のレポートは、現代思想に関わる諸問題から各自の選択した事項に関して、諸研究を参照しつつ論じる、という課題になる予定です。論題は、指定教科書の記載内容、およびそれにするするもの、という範囲になります。(通年で履修する場合には、もちろん、前半と異なる論題で提出のこと〜。)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
各回の提出課題で取り上げた事項に関しては、次回以降に解説、講評、あるいは読解を行うことになる予定
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
各回の提出課題の内実(論題)は、同時に PBL の Project をなすものであると考えれば、レポート提出の場面は「相互に閲覧・コメント可」の仕様にしてあるので、実質的に PBL の取組であると言えるだろう。
授業におけるICTの活用方法
クリッカー
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
responなどで使えるものがあれば、検討しましょう。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
哲学はもっとも実務から遠いものといえる。
実務に類するものとすれば、公開講座の開講のようなものに尽きる。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
ミネルヴァ書房、納富等著、『よくわかる思想・哲学』、を使用予定。
この書は、本講座で語られることを網羅するものであるとは到底いえないが、論題を概観する手引きとはなるので使用したい。また期末レポートでは本書からの出題も予定されている(「哲学史(谷崎担当分)」で使っていた者と同じ書籍)。
手元に用意して臨むこと。
副教材のような位置づけで、中山元『思想の用語辞典』を併用する見込み。
(これを購入する場合には「ちくま学芸文庫」版。〔旧版の単行本版ではなく〔ページ付けなどが異なるため〕〕を勧奨。)
その他特記事項
オンラインの受講に関しては別に規定を定めます。
欠席の連絡等の簡便な問題に関しては、manabaのスレッドを活用してもらいます。〜