シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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美学2 | 2024 | 秋学期 | 金2 | 法学部 | 春木 有亮 | ハルキ トモアキ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-PE3-010L
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
「美学」ときくと、おおげさで、いわば「ガチ」な感じがする、かもしれません。 あるいは逆にむしろ、「ユル」い感じがする、かもしれません。つまり美学は、趣味や生きかたのたぐいであって、そもそも学問なのか、と。いずれにせよ、みなさんがもし「美学」に対してそういう思いをいだくとすれば、それはおそらく、「美」ということばにとらわれているからです。
ところが「美」学というネイミングそのものは、比喩表現です。たとえば、「ひとはパンのみによって生きるにあらず」と言うとき、「パン」は、「食べもの」(ひいては、生命維持のための必要条件)を意味します。パンは食べものの代表であるにすぎません。
それと同様に「美」は、美学があつかうテーマの代表であるにすぎません。美学は、「美」だけにこだわっているわけではない、ということです。では、美が代表するものとは、つまり美学があつかうテーマとは、なんでしょうか。
ふと廊下ですれちがったひとの容姿にひかれ二度見する瞬間、カレーの概念を変えるようなカレーを口にした瞬間、You Tubeで「推し」にはじめて出会った瞬間。どの瞬間にも、ひとは「はっ」とします。つまり衝撃、震撼、当惑があり、さらにほぼ同時に、いつまでもそこに浸っていたいようなここちよさを感じます。
また、ときにそういう瞬間が、人生をおおきく転換することもあります。一見些細で瑣末なものとの出会いが、そのひとの人生全体や、そのひとの世界のありかたを揺るがしてしまう。ただ、なぜそのものにひかれたのか、そもそもなにに、どこにひかれたのか、うまく言うことができない。
そういうできごとにまつわるすべてが、美学のテーマです。ますます美学がなんなのか、わからなくなったかもしれません。しかしそれこそが美学です。つまり美学は、「はっとするほどに魅力的」だが「なんて言えばいいかわからんもの」の学だということです。わからないものをそれでもわかろうとする探究を、かりに「美」学と名づけたということです。
というわけで、テーマの範囲はほぼ無際限に広がりますが、ぼくの授業では、前期は「芸術(アート)」、後期は「かっこいい/かわいい/ふつう」にしぼって、お話しします。みなさんにとっての「はっとするほどに魅力的」だが「なんて言えばいいかわからんもの」が、わからないながらもなんなのか、教えていただくのもたのしみにしています。
科目目的
みなさんがふだんあまり考えないだろうことを考え、感じないだろうことを感じるための講義です。
「とりたてて問題はないが、なんとなくつまらない」と思いながら生きているかたを、歓迎します。
到達目標
生きるとはどういうことか、よく生きるとはどういうことか、世界とはなんであるか、を問うこと
法律、規則、常識は、一定の権力構造のなかでつくられたものであるにすぎないことを知ること
感性が、いかにことばによって駆動され、制御されるかを知ること
感性という考えかたそのものが、いかに「近代」、「現代」という時代のイデオロギーと結託しているかを知ること
講師をはっとさせること
授業計画と内容
第1回:「感性」とは、なにか。
第2回:「かっこいい」は、カックイイ——「流行語の流行」と逸脱
第3回:「かっこ」イズムは、ルッキズムーー「恰好がよい」から「かっこいい」へ
第4回:「かっこい」イズムは、アンルッキズム——イメージと運動
第5回:「かっこいい」は「かっこいわるい」——1970年代の「敗北」
第6回:「かっこいい」と「はずし」——1980年代の差異化のゲイム
第7回:「かっこわるい」は「かっこいい」——『紅の豚』と1990年代のターニング
第8回:「かわいい」、「いつくし」、「うつくし」
第9回:「子ども」から「母」へ——1960年代の子ども雑誌、婦人雑誌
第10回: 全方位からの愛——1970年代の「嫁」と「姑」
第11回:「かわいい」「わたし」——「少女」の世界 前半
第12回:「かわいい」「わたし」——「少女」の世界 後半
第13回:「カワイイは、つくれる」か——「かわいい」vs「美しい」
第14回: エコかっこいい/エコかわいい、エロかっこいい/エロかわいい
第15回:「かっこいい」生きかたと「かわいい」生きかた——類比と類似
授業時間外の学修の内容
その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業中に紹介したものに積極的にアクセスいただければありがたいです。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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その他 | 100 | 評価基準は、到達目標にどれくらい近づいたか(あるいは到達したか、さらには目標を超える目標を見いだしたか)です。 |
成績評価の方法・基準(備考)
リアクションに基づいて評価します。リアクションのしかた、時と場所は(成績評価を下すまでであれば)、問いません。たとえば典型的には、講師に質問していただく、講師を批判していただく、リポートを出していただくなどすれば、そのたびごとに評価します。リアクションのしかた自体をも、ときに評価します。くわしくは授業中に説明いたします。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
授業中に紹介します。