シラバス
| 授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 西洋史演習(2)A(6)A/西洋史演習(2)(5)(前期) | 2026 | 前期 | 金4 | 文学部 | 白川 耕一 | シラカワ コウイチ | 3年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-WH3-H823,LE-WH4-H923
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
題目「ホロコーストを「見える化」する―アメリカ合衆国ホロコースト記念博物館の建設をめぐって(1)」
概要
ホロコースト(Holocaust)とは、第2次世界大戦中に発生したナチス・ドイツによるユダヤ人殺害を示す言葉です。本演習は、アメリカがホロコーストの歴史にどのように取り組んだのかを検討します。第2次世界大戦中のヨーロッパ大陸で発生したユダヤ人殺害は、アメリカに直接かかわる事件ではありません。そのため、戦後のアメリカ社会においてユダヤ人殺害にほとんど忘れ去られました。しかし、約半世紀後の1993年には首都ワシントンDCにアメリカ合衆国ホロコースト記念館が開館し、現在アウシュヴィッツ収容所が解放された1月27日には全米各地で記念式典が開催されています。それは、なぜでしょうか。
これまで演習では、D・リップシュタットらの研究書を用いながら第2次世界大戦後、他者の歴史であったはずのホロコーストがアメリカ史の一部にはめ込まれる過程をたどりました。今年度は、リンネンタール『記憶を保存する』を用いながら、1970年から90年代にホロコースト記念博物館建設までの道のり、アメリカ人にとってホロコーストの歴史が「見える化」されるまでの途をたどります。前期の演習では、序章、第1章、最2章、第3章(一部)を扱います。
科目目的
(1)第2次世界大戦後、ホロコーストとは無関係のアメリカにおいて、ホロコーストはあたかも自らの存在に大きく関わる事件のように考える現象が発生しました。それは自然発生的なものではありません。本演習では、アメリカにおけるホロコーストの歴史の形成を政治、社会、文化関連づけながら学びます。
(2)演習後半においては、受講者に5頁程度を割り当て、レジュメを作成してもらい、テキストの内容を報告していただきます。いかに英語文献を正確に読み、それをわかりやすく報告するかを学びます。
到達目標
(1)英語専門文献を正しく読み、理解し、口頭で報告することができる。
(2)未知の概念を調査する手法を身につけ、正しく調査することができる。
(3)アメリカ社会が、ホロコーストをどのように自国史の一部として受容したのかを説明することができる。
授業計画と内容
(1)演習の進め方
最初の5回程度は、英語専門文献の読解に慣れ、専門知識の共有のために、序章は輪読形式で1人2~3文ずつ逐語的に翻訳していただきます。1回あたり3頁程度読み進む予定です。テキストの講読に合わせて、適宜、教員が専門用語を解説したり、研究状況を紹介したりします。
第6回目以降は、演習参加者にテキストの5頁程度の報告を担当していただきます。内容を10~15分程度で口頭報告をしていただき、それに基づいて質疑応答をおこないます。1回の演習(100分間)で3人程度が報告します。
(2)講義計画
第1回 演習の進め方
第2回 輪読 序章(1)「ホロコーストがアメリカの歴史の一部となった」
第3回 輪読 序章(2)アメリカ文化のなかのホロコーストの記憶
第4回 輪読 序章(3)アメリカ・ユダヤ人にとってのホロコーストの歴史
第5回 輪読 序章(4)アメリカ社会の中のホロコースト・イメージ
第6回 テキスト内容報告 第1章(1)ホロコースト博物館設立決定
第7回 テキスト内容報告 第1章(2)アウシュヴィッツへの視察旅行
第8回 テキスト内容報告 第1章(3)博物館設立委員会と連邦政府との確執
第9回 テキスト内容報告 第2章(1)博物館はどこにあるべきなのか?―ワシントンのどこに?―
第10回 テキスト内容報告 第2章(2)「外観は展示以上の意味がある」―博物館の外観はどうあるべきか?
第11回 テキスト内容報告 第2章(3)アメリカ合衆国の博物館の隣に―他の施設との調和―
第12回 テキスト内容報告 第2章(4)博物館内部の構成
第13回 テキスト内容報告 第3章(1)エリ・ヴィーゼル等の博物館構想
第14回 前期内容のまとめ
*受講者数によって授業計画が変更になる場合があります。ご了承ください。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
十分に予習した上で演習に参加してください。英文を直訳しただけでは、内容理解にまで至らない場合が多いように思います。翻訳が難しい語句については、できる限り「参考文献」欄の書籍を参照して、定まった訳語(機関名、人名)を使ってください。
演習で扱うテーマに関しては、マラス『 ホロコーストに教訓はあるか』を読んだうえで演習に臨めば、理解が深まります。博物館建設の中心人物であるヴィーゼルの回顧録や彼の思想に関わる研究書(リトナー『ホロコーストの記憶』)も、演習の内容理解のためにご参照ください。
歴史的事件としての、第2次世界大戦中のユダヤ人迫害と殺害については、芝健介『ホロコースト』をご覧ください。石田勇治、橋本伸也らの文献は、現在におけるホロコーストの記憶に対する向き合い方(「過去の克服」)についての概観を得るために、きわめて有益です。現在の社会において歴史が果たしている役割については、吉田『アフター・リベラル』をご参照ください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
| 種別 | 割合(%) | 評価基準 |
|---|---|---|
| 平常点 | 50 | 予習の度合いや演習中の発言などによって決定する。 |
| その他 | 50 | 課題の報告の準備状況や報告の内容によって決定する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキストは以下の英語文献を使います。テキストは教員が準備します。
Edward T. Linenthal, Preserving Memory. The Struggle to create America’s Holocaust Museum, Viking: New York 1995.
文献目録
有賀貞他編『世界歴史大系 アメリカ史2』(山川出版社 1993年)
石田勇治他編『想起の文化とグローバル市民社会』(勉誠社 2016年)
芝健介『ホロコースト』(中公新書 2008年)
橋本伸也『記憶の政治―ヨーロッパの歴史認識紛争』(岩波書店 2016年)
松本彰『記念碑に刻まれたドイツ史』(東京大学出版会 2012年)
吉田徹『アフター・リベラル―怒りと憎悪の政治』(講談社現代新書 2020年)
ハンナ・アーレント『エルサレムのアイヒマン(新版)』(みすず書房 2017年)
エリ・ヴィーゼル(村上光彦訳)『そしてすべての川は海へ』(朝日新聞社 1995年)
エリ・ヴィーゼル(村上光彦他訳)『しかし海は満ちることなく』(朝日新聞社 1999年)
ハワード・モーリー・サッカー(滝川義人訳)『アメリカに生きるユダヤ人の歴史(下巻)』(明石書店 2020年)
ノーマン・G. フィンケルスタイン (立木 勝 訳)『ホロコースト産業―同胞の苦しみを「売り物」にするユダヤ人エリートたち』(三交社 2004)
リチャード・ブライトマン『封印されたホロコースト』(大月書店 2000年)
マイケル・R・マラス『 ホロコーストに教訓はあるか』(えにし書房 2017年)
キャロル・リトナー編(滝川義人訳)『ホロコーストの記憶―エリ・ヴィーゼルが問うもの』(サイマル出版社 1990年)
Flanzbaum, Helene (ed.), Americanization of the Holocaust, The John Hopkins UP 1999.
Lipstadt, Deborah E., Holocaust. An American Understanding, Rutgers UP 2016.
Novick, Peter, The Holocaust in American Life, Mariner Books 1999.
Trachtenberg, Barry, The United States and the Nazi Holocaust, Bloomsbury 2018.
その他特記事項
取り上げる研究者は開講後に変更する可能性があります。