シラバス
| 授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 哲学演習(5)(13) | 2026 | 通年 | 金3 | 文学部 | 平田 裕之 | ヒラタ ヒロユキ | 3年次配当 | 4 |
科目ナンバー
LE-PE3-J805,LE-PE4-J813
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
本年度は、ハイデガーの主著『存在と時間』(1927年)の第31~32節をドイツ語の原文で精読し、「世界内存在」としての「現存在」(=人間)の存在を構成する「理解」という概念の射程を検討することにしたい。
科目目的
ドイツ語で書かれた哲学のテキストをまずは正確に読んで、理解できるようになること。そこから各自が問題点を取り出し、ねばり強い思考によって、自分なりにそれに解答を与えられるようになることが、この演習の最終的な目標である。
到達目標
正確なテキスト読解にもとづいて、学生諸君が自分なりの批判的な視点からレポートをきちんと書けるようになったならば、この授業の目標は果たされたことになる。
授業計画と内容
まず一回ごとの演習で読むテキストの範囲を区切り、訳読担当者にあらかじめ割り当てる。
訳読担当者は自分に割り当てられた範囲の訳文のファイル(自分で訳せない場合には邦訳の引き写しでも構わない)を演習の一週間前までにmanabaに提出する。
演習に参加する者全員がその訳文を見ながら予習をおこない、授業開始前までに自分なりの疑問点などをまとめておく。
授業では、一週間前に提出してもらった訳文を全員で見ながら、ドイツ語の読み方を確認し、内容(ハイデガーの主張)についての検討をおこなう。
なお、授業では毎回原文の1ページ弱(全集版で1ページ弱)程度ずつ進む予定。
一年間の授業計画は以下のとおりである(テキストを実際に読みはじめるのは第5回からである。第4回までは講義となる)。
〔前期〕
第 1回 ガイダンス(邦訳、入門書、解説書の紹介、授業形式や成績評価についての説明など)
第 2回 講義(『存在と時間』の問題設定と方法、ハイデガーが使う基本的概念についての説明)
第 3回 講義(『存在と時間』でハイデガーが使う基本的概念についての説明)
第 4回 講義(『存在と時間』でハイデガーが使う基本的概念についての説明)
第 5回 理解はつねに気分づけられた理解である
第 6回 理解のうちには、実存を構成するようなかたちで、存在可能〔=存在しうること〕としての現存在の在り方が含まれている
第 7回 現存在は、本質的に情態的なものとして、そのつどすでに特定の諸可能性のうちへと入り込んでしまっている
第 8回 現存在は、おのれ自身にゆだねられた可能存在〔=できるという在り方〕であり、徹頭徹尾被投的な可能性である
第 9回 理解は、開示することとして、つねに世界内存在という根本構造全体に関わっている
第10回 理解はそれ自体において、企投とでも呼ぶべき、実存を構成する構造をもっている
第11回 理解は、企投することとして、現存在が自分の諸可能性を諸可能性として存在するような、現存在の在り方である
第12回 企投はつねに世界内存在の全開示性に関わっている
第13回 理解は、その企投性格において、実存を構成するようなかたちで、現存在の見晴らしとでも呼ぶべきものを形成する
第14回 見晴らしは、現の開示性の特徴としての、明るくされている状態に対応している
〔後期〕
第15回 現存在の存在は、有意義性(世界)を着眼点にして企投されるのと同時に、気にかけられている当のものを着眼点にして企投されているのだが、この企投されている状態のうちには、存在一般の開示性が含まれている
第16回 情態性と理解は、実存を規定する概念として、世界内存在の根源的開示性を性格づけている
第17回 理解を完成することが解釈である
第18回 表立って理解されたものは、しかじかのものとしての何かという構造をもつ
第19回 「しかじかのものとしての何か」を手引きとして存在者を近づけながら解釈するときの、理解されているものの分節化は、この存在者についての主題的な言明に先立っている
第20回 「〔何かをしかじかのもの〕として」から免れた状態で把握することは、素直に理解しながら見ることの一つの欠如態であり、これよりも根源的なものではなく、むしろこれから派生したものである
第21回 解釈はそのつど予持、予視、予握に基づいている
第22回 何かを何かとして解釈する解釈は本質上、予持、予視、予握によって基礎づけられており、解釈は決してあらかじめ与えられたものを前提なしに把握することではない
第23回 現存在が存在することで世界内部的な存在者が発見されているとき、すなわち理解されているとき、「その存在者には意味がある」とわれわれは言う。
第24回 意味とは予持、予視、予握によって構造づけられた企投の着眼点であり、この着眼点のほうから何かがしかじかのものとして理解可能になる
第25回 すべての解釈は予‐構造のうちで動いている
第26回 解釈がそのつどすでに理解されたもののうちで動いていなければならず、理解されたものによって養われていなければならないとするならば、解釈はいかにして、或る循環のうちで動くことなしに、学問的成果をもたらすというのか
第27回 決定的なことは、循環から脱け出すことではなく、むしろ正しい仕方で循環のうちへ入り込むことである
第28回 理解することにおける「循環」は意味の構造に属しており、意味という現象は、現存在の実存を構成する構造のうちに、つまり解釈しつつ理解することのうちに根差している
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
予習は必須である。予習してこなければ、演習に参加したことにならない。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
| 種別 | 割合(%) | 評価基準 |
|---|---|---|
| レポート | 30 | 期末にレポートを提出してもらう。内容の出来不出来が成績に反映される。 |
| 平常点 | 70 | (1)出席率、(2)授業内での積極的な発言、(3)訳読担当を果たすこと、またその出来不出来、を平常点として評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
レポートを提出しない者には、単位は認められない。
出席率が70%に満たない場合には、単位は認められない。
訳読担当を果たさない者にも、単位は認められない。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
演習中はもちろん、manabaの「スレッド」でも、学生諸君からの質問を受け付ける。
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
演習中は、内容について活発に議論したい(そのためには各自が予習をしてくることが必要である。そうでないと、積極的な発言はできないだろう)。manabaの「スレッド」では、学生相互のディスカッションも奨励する。
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
開講時にドイツ語のテキストのコピー(紙)とファイル(PDF)を配布する。
『存在と時間』の邦訳はこれまでに10種類ほども出ているが、細谷貞雄訳(二分冊、ちくま学芸文庫)、原佑・渡邊二郎訳(三分冊、中公クラシックス)、高田珠樹訳(作品社)を一応推薦しておく。
その他に、入手しやすい訳としては、熊野純彦訳(四分冊、岩波文庫)、中山元訳(八分冊、光文社古典新訳文庫)がある。
解説書や参考書については、開講時に指示する。
その他特記事項
演習というものは、演習参加者の事前の準備しだいで、面白くもなれば、つまらなくもなる。そのことを肝に銘じておいてもらいたい。