シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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生命科学特殊論文研修Ⅳ | 2024 | 後期 | 他 | 理工学研究科博士課程後期課程 | 上村 慎治 | カミムラ シンジ | 2年次配当 | 2 |
科目ナンバー
SG-BI6-9A05
履修条件・関連科目等
博士課程後期課程の3年間に開講される関連する6科目、「生命科学特殊論文研修Ⅰ」~「生命科学特殊論文研修Ⅵ」のすべてを一貫して履修することを前提とする。原則、これらの6科目は同じ研究室で履修する。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
ただし,配付資料の大半が英文記載のものである。
授業の概要
真核生物の示す運動機構、および、その分子機構、および、高次の制御機構と構造の理解を目指す。特に、研究手法上では、運動機構をうまく説明するモデル仮説を構築し、その仮説の是非を生物物理学的な手法で、実験的に確かめることに重点をおく。生体の運動機構の力学的な効率やその進化上の意味づけを深く理解できるようにすることが目標である。また、運動機構理解の応用的な側面への展開も行う。研究を通して、基本的な光学顕微鏡技術を学習し深く理解した上で、高度の画像記録技術、画像処理法、顕微操作法、顕微鏡を使った精密計測技術など先端的な技術を習得する。
上記すべて対面授業(+オンラインハイブリッド)を実施します。コロナ感染状況に応じて、オンラインでの実施とします。詳細は、manaba上の案内を見るようにしてください。
科目目的
新規性のある成果を得ることを目標にする。新規な成果が得られた場合、学術集会および学術雑誌上で公表する。これも学生が主体となって実施し、指導教員はそれを全面的に援助する。
ステップ(4):得られた研究成果と,すでに発表のある文献との比較・検討を行い,学術論文としての完成を目指す。新知見をもとに新しい説明モデルや理論の構築を行うことが望ましい。
到達目標
・最新の論文から得られる専門的知識と、研究遂行の過程で得られる実践的な知識とを融合させ、自立した研究者と高度の専門職業人の養成を目的とする。
・解決策に基づく実行結果を正しく評価し、本当に問題点の解決になっているか、また従来の方法や成果に比べて新しい知見を加えることができたのかどうかを判断することができることを目標とする。
授業計画と内容
以下の三つの内容について、それぞれ5回程度にわたって授業を行う。(全14回)
1. 教員による論文紹介:論文を、読み方のポイントなどについて解説を加えつつ、最新の知識を紹介する。
2. 学生による論文紹介:注目に値する論文をサーベーし、それを読み、その内容を理解するとともに、それを紹介する。
3. 研究進捗紹介:自分の研究成果をまとめ、その得られた結果の解釈と、以降の研究の進め方を発表する。
12月末日に「研究経過報告書」を提出する。
1) 前期に学習した原著論文について、より批判的な評価を行い、欠落している部分は何かについて考察する
2) 参考文献とした原著論文について、その後の独自の発展的な展開の可能性について考察する
3) 研究課題について、独自の新しい展開を行い、新規の事実発見に結びつくための仮説を立てる
4) 立てた仮説に沿って、そこから予測される実現性の高い実験はどのようなものか複数考案する
5) 考案した実験プランを実現するための具体的な実施計画を作成する
6) 具体的な実験実施計画のための装置手法・解析手段を考案する
7) 具体的な実験実施計画のための装置手法・解析手段について習得する
8) 具体的な実験を複数繰り返し再現性が得られることを確認する
9) 再現性の高い実験が確認できたら、可能な限り複数回の実験を繰り返し、複数のデータを収集する
10) 収集したデータを用いて、統計学的な処理を行う
11) 実験条件(独立変数)を複数変えることで、得られる結果の変動(従属変数)を調べる
12) 得られた独立変数と従属変数の相関を解析する
13) 解析した相関をもとに、研究課題の内容に沿った数理モデルを考案する
14) 得られた相関から始めに提案した仮説との整合性を調べる
(注:上の項目は理想的な研究の流れを示しただけである。一般に研究は順序よく進行することはほとんどない点はじゅうぶん理解した上で、この課題に臨んで欲しい。)
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
研究課題に沿った文献上の検索を頻繁に行い、関連する内容の論文の要旨、および多くは全文を詳細に通読して十分に理解する作業が求められる。また、取得したデータは迅速にとりまとめられる必要がある。その解釈も含め、相当の時間を要することが研究では往々にしてあり、学生諸君にはそのための時間を確保してもらいたい。指導教員の指示のもとに、関連する研究会や学会への見学や積極的な参加を推奨することもある。
<重要なポイント>
特殊論文研修で取り扱うテーマは、常に新しい斬新な課題や手法である。そのために、教科書にはもちろんのこと、専門書や他の学術論文には答えは見つからないことが、むしろ当然のことと理解すべきである。研究テーマの答えは、実験で調べるしかないが、その答えは、もちろん、無数にある可能性もあるし、見当違いの仮説を立てると誤った答えとなるかも知れない。単に実験技術上の難しさや条件設定の誤りで失敗することもある。実験者にとって都合の良い結果を得ることよりも、そのような研究プロセスを経験することも、本研修で学ぶべき重要なポイントである。その経験の上で、他の研究者が到達していない新しい発見へと繋がる斬新な成果を積み重ね、新分野への開拓へと展開できることを祈っている。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・学位論文の作成等に対して専門分野に関する必要な研究指導を行うことを基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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その他 | 100 | 基準は本科目で学生に課された上記の項目に対して、学生が取り組んだ様態の全般を総合的な評価の基礎とする。具体的には、教員が課した課題と方法等に対する理解、研究に関わる諸技術の習得への積極性、その習熟度、課題や結果を予断なく理解できるか、討論における積極性と主体性、セミナーでのプレゼンテーションの技量と討議の妥当性、研究全般での論理性の高さ、研究室内での積極的なコミュニケーション、倫理感の高さなどが含まれる。 指定された日に研究発表を行い、最終的に修士論文を提出する。修士論文について1名の主査と2名の副査による審査を受け、合格点を得ることで修士学位を授与する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
<具体的な評価対象は以下の項目である>
学問上規範とする点
・コントロール実験がどうあるべきかの具体的な理解ができている
・データ解析の手法を複数種類、習得して活用している
・統計学的な手法の意味を理解し、実験データの処理に応用する習慣がある
・実験ノートを正確に残す習慣ができている
・データを収集する時の手順とそ意味を理解している
・対照実験のデザインが正しく行われている
・テーマの解決後の展開について構想を持っている
・得られた実験データの解釈が客観的である
・独自の発想能力を有する
・他者・学外の研究との関連性について考慮している
・実験結果の自己評価が正確である
研究課題の歴史的な背景についての理解度
・研究成果についてクリティカルな評価が可能である
・国内学会での発表経験がある
・実験を失敗したときに、より多くのことを学ぶ用意がある
・実験データの統計的な処理について正しく理解している
・国際学会での発表経験がある
・独自の研究技術を確立している
・独自の研究手法の発案となっている
・他の研究グループからの高い評価を得ている
研究室内での規範となる行動
・他の研究者・学生の研究技術に興味を持っている
・他の研究者・学生の研究について積極的な質問を行う習慣ができている
・研究上の討論に常に積極的に参加している
・他の研究者・学生へ、自分の研究の面白さを紹介できる
・データ解析の方法を他の学生へも正確に伝えることができる
プレゼンターション等、研究内容の紹介の技術
・学問的な裏付けを正確に理解し紹介できる
・質疑応答に明確な表現で回答できる習慣になっている
・研究成果の学問的な展開を常に意識して実験を進めている
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)/反転授業(教室の中で行う授業学習と課題などの授業外学習を入れ替えた学習形式)/ディスカッション、ディベート/プレゼンテーション/実習、フィールドワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
PC上で解決するタイプのプログラム課題,数値計算課題,シミュレーション課題,考察課題を研究成果の改易に応用する。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
指導担当教員が個別に指示する他に、自らの検索や他の研究者との討論を通じて得た知識も活用することが肝要である。
その他特記事項
留学など、一般的な履修形態と異なる場合、この科目の履修にあたっては、担当の教員と十分に相談すること。