シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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労働法(集団的労働法) | 2024 | 秋学期複数 | 月4,水1 | 法学部 | 川田 知子 | カワダ トモコ | 3・4年次配当 | 4 |
科目ナンバー
JU-SO3-004L
履修条件・関連科目等
集団的労働法の基礎になっているのは憲法28条の労働基本権である。従って、憲法の基本的人権(憲法1/人権)に関する基礎知識が必要になる。また、労働法(個別的労働法)や社会保障法などの関連科目をあわせて履修することが望ましい。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
本科目では、労働条件の集団的決定・変更の仕組みである労働組合による団体交渉、その成果である労働協約、交渉が妥結せず決裂に至った時の争議行為、また、交渉主体としての労働組合やその活動 ( 組合活動 ) について、現行法上の制度や法解釈をめぐる裁判例、労働委員会命令や学説等の内容を解説、検討する。
科目目的
すべての個人を自由・平等な権利主体とする近代市民法は、労使を対等な存在として取扱い、使用者には生産手段の所有と営業の自由を、労働者には職業選択の自由を保障すれば十分であるとの考えに立つ。しかし、市民法下の労働関係においては、低賃金・長時間労働など劣悪な労働条件が契約自由の名のもとに放置され、貧富の差の拡大や階級による不平等などの問題を生ぜしめてきた。労働法はこれらの問題に対処すべく、私的所有権の保障、契約の自由および過失責任主義を基本原理とする市民法を修正し、労働者・使用者間における実質的な平等を達成することを目的としている。
労働法は、個々の労働者と使用者間の賃金・労働時間等の労働条件や労働関係を規律する「雇用関係法(個別的労働関係法)」、労働力の需給調整をめぐる社会的な仕組みを規律する「雇用保障法(労働市場法)」、労働組合と使用者・使用者団体との間の交渉を通じて集団的な労働条件の決定を支える法システムを「労働団体法(集団的労働関係法)」の3つの法体系によって整備されている。このうち、本講義では、「労働団体法(集団的労働関係法)」を体系的に理解することを目的とする。また、本講義では、既存の学説や判例を理解するのみならず、現実の労働問題に対して自分自身の見解を展開しうるだけの高度な法的能力の習得を目標とする。
到達目標
労働組合と使用者が締結した労働協約が労働条件設定その他労働者の利益保護において果たす役割を理解し、実際に生じうる問題に対し法的解決方法を導く能力を身につける。
授業計画と内容
1.講義概要と方針の説明、総論
2.労働基本権
3.労働組合概説(労働組合法上の労働組合、労働者概念)
4.組合員資格と組織強制
5.労働組合の内部関係
6.組合財産と組織変動
7.労働組合の組合活動1(組合活動の法的性格、組合活動と施設管理権)
8.労働組合の組合活動2(就業時間中の組合活動、使用者批判の言論活動)
9.不当労働行為制度概説(不当労働行為制度の意義と性格、不当労働行為における使用者概念)
10.不当労働行為の類型1(不利益取扱いと黄犬契約)
11.不当労働行為の類型2(団交拒否)
12.不当労働行為の類型3(支配介入と経費援助)
13.不当労働行為の救済
14.団体交渉の主体と対象事項
15.誠実交渉義務と団交拒否
16.団交拒否の救済
17.労働協約概説(意義と実態、法的性格)
18.労働協約の成立
19.労働協約の規範的効力
20.労働協約の債務的効力
21.労働協約の一般的拘束力
22.労働協約の終了
23.争議行為概説(争議行為の意義と争議権保障)
24.争議行為の正当性1(目的)
25.争議行為の正当性2(手段)
26.違法争議の責任
27.使用者の争議行為
28.争議行為と賃金
*以上の授業計画は予定ですので、変更の可能性はあります。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
【事前学習】1時間
テキストの該当箇所及び重要判例を読んでくる。分からないところは参考文献等で調べてくること。授業のポイントについて理解したうえで出席すること
【復習】1時間
授業中に示したポイントを中心にテキストと判例を読み直し、事前学習で不明な点がクリアーになったかどうか確認する。可能であれば、学生同士で議論することにより、理解を深めることが望ましい。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 100 | 労働組合法の基礎知識や学説・判例を理解したうえで、労働法上の問題を自分の頭で考えて解決策を提示することができるかどうかを評価します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
(1)テキスト
・川田知子・長谷川聡『労働法』(弘文堂、2020)
(2)参考文献
・ジュリスト別冊『労働判例百選〔第10版〕』(有斐閣、2022年)
その他特記事項
■授業の工夫■
この科目では、受講生の皆さんに自身の理解度を確認してもらうため、時々、練習問題を授業中に配布し、解答・答え合わせを行います。