シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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教育法 | 2024 | 春学期複数 | 他 | 法学部 | 中川 律 | ナカガワ リツ | 3・4年次配当 | 4 |
科目ナンバー
JU-PU3-006L
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
本科目は、教育法学の基本的な知識や考え方に基づき、現代における教育をめぐる諸課題を法律学の視点から考察します。内容的には、教育裁判、教育制度、教育政策などを素材に、日本の現代的な動向を考察することに重点を置きます(もちろん、比較法的な視点や歴史的な視点からの考察を排除するわけではありません)。
科目目的
日本国憲法の下では、教育に関する制度や政策は、国民、特に子どもの教育を受ける権利の保障を具体化するためのものであるべきです。その意味で、教育に関する制度や政策は、第一次的には個人の成長・発達に資するものと捉えられているように思えます。もっとも、例えば、国家や社会のために有用な人材の育成ということが言われるように、教育に関する制度や政策は必ずしも個人の成長・発達にのみ奉仕することが期待されてきたわけではありません。国家や社会のための人材の育成ということが一概に悪いというわけではないでしょうが、例えば、戦前・戦中の日本のように、公教育を通じて、国家の都合で特定の価値観を子どもたちに教え込むようなことは、もはや子どもの教育を受ける権利を保障するものとは言い得ないでしょうし、憲法において個人の思想・良心の自由などの精神的自由が保障されていることとも矛盾をきたすでしょう。
それゆえ、日本国憲法の下で、教育制度や政策がきちんと国民の教育を受ける権利の保障に資するものとなるためには、国家は、どのように教育制度を整備すべきであり、その運営が法的にどのように統制されるべきなのかを考えておく必要があります。
本科目は、このようなことを考える学問である教育法学の基礎的な知識や考え方を習得することを通じて、現代社会における教育制度や政策の法的統制の意義を理解することを目的にしています。
到達目標
・教育法学の基本的な知識や考え方を修得し、現代社会における教育制度や政策の法的統制の意義について基礎的な理解を獲得すること。
・教育法学の基本的な知識や考え方に基づき、現代社会における教育をめぐる諸課題を法律学の視点から考察できるようになること。
授業計画と内容
*本授業では、火曜日2限をオンデマンド授業で実施し、木曜日5限を面接授業で実施します。
・第1回(火曜日) ガイダンス
・第2回(木曜日) 教育法学の特徴(テキスト第1章)
・第3回(火曜日) 大日本帝国憲法と国家主義教育法制(テキスト第2章)
・第4回(木曜日) 教育基本法の改正(テキスト第5章)
・第5回(火曜日) 日本国憲法と戦後教育改革法制(テキスト第3章)
・第6回(木曜日) 教育を受ける権利(テキスト第6章)
・第7回(火曜日) 教育法学の成立と展開(テキスト第4章)
・第8回(木曜日) 義務教育(テキスト第7章)
・第9回(火曜日) どのような場合に「不当な支配」の禁止条項が持ち出されるべきなのか?(テキスト15章)
・第10回(木曜日)教育条件整備の制度論(テキスト第8章)
・第11回(火曜日)道徳教育の限界はどこなのか?(テキスト第16章)
・第12回(木曜日)教育財政の制度論(テキスト第9章)
・第13回(火曜日)教科書は政府見解を伝達する道具なのか?(テキスト第17章)
・第14回(木曜日)教育の自由(1)ーー教育権の所在論(テキスト第10章)
・第15回(火曜日)教育委員会制度にはどのような意義があるのか?(テキスト第18章)
・第16回(木曜日)教育の自由(2)ーー教師の教育の自由(テキスト第10章)
・第17回(火曜日)政治教育の仕組みはどうあるべきか?(テキスト第19章)
・第18回(木曜日)教育の自由(3)ーー親の教育の自由の意義(テキスト第11章)
・第19回(火曜日)高校生の政治的活動はどの程度自由であるべきか?(テキスト第20章)
・第20回(木曜日)教育の自由(4)ーー親の教育の自由の射程(テキスト第11章)
・第21回(火曜日)子どもの憲法上の権利は、教師による教育評価をどのように限界付けるのか?(テキスト第21章)
・第22回(木曜日)「不当な支配」の禁止(1)ーー国の権限の限界(テキスト第12章)
・第23回(火曜日)新型コロナ危機は、学校教育の仕組みにどのような問題を提起するものであったのか?(テキスト第22章)
・第24回(木曜日)「不当な支配」の禁止(2)ーー教育委員会の権限の限界(テキスト第13章)
・第25回(火曜日)大学の自治とは、どのような考え方なのか?(テキスト第23章)
・第26回(木曜日)「不当な支配」の禁止(3)ーー学校内部における権限配分(テキスト第14章)
・第27回(火曜日)憲法を改正すれば教育はよくなるのか?(テキスト第24章)
・第28回(木曜日) 到達度確認
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
シラバスの授業計画に則してテキストの該当箇所を事前に読んできてください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 100 | ・教育法学の基本的な知識や考え方を十分に理解しているかどうかについて評価します。 ・教育法学の基礎的な知識や考え方に基づき、現代社会における教育に関する諸問題を考察することができるかどうかについて評価します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
課題や試験について講評等が必要な場合には、適宜、問い合わせに応じます。
アクティブ・ラーニングの実施内容
反転授業(教室の中で行う授業学習と課題などの授業外学習を入れ替えた学習形式)/ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業の内容や進度、受講者の様子に応じて、適宜、反転授業、ディスカッション、グループワーク、プレゼンテーションなどの要素を取り入れることがあります。
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト
中川律『教育法』(三省堂、2023年)
参考文献
以下の参考文献が特に有用です。
①日本教育法学会編『コンメンタール 教育基本法』(学陽書房、2021年)
②兼子仁『教育法〔新版〕』(有斐閣、1978年)
③世取山洋介・福祉国家研究会編『公教育の無償性を実現する』(大月書店、2012年)
④日本教育法学会編『教育法の現代的争点』(法律文化社、2014年)