シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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倒産処理法 | 2024 | 秋学期複数 | 火1,木4 | 法学部 | 木川 裕一郎 | キガワ ユウイチロウ | 3・4年次配当 | 4 |
科目ナンバー
JU-CI3-010L
履修条件・関連科目等
民法の財産法(総則・物権・債権総論・債権各論)のすべてを履修済みであるか、同時履修しているのが望ましい。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
バブルの崩壊以後、企業倒産および消費者倒産の件数は増加の一途をたどり、倒産処理が社会にとっても、個人にとっても重要性を帯びることになった。バブルの崩壊をきっかけに急激に増加した倒産件数は、平成16年以降少しずつ減少に転じたが、2020年に勃発したコロナ感染症の拡大が国内外の経済活動を危機に貶め、いわゆる「コロナ倒産」が社会問題化している。個人や法人の倒産を予防する役割は財政学や経済学を基礎にした国家政策によるところが大きいが、現に生じた倒産の局面を法的に整序するのが倒産処理法の役割である。
特に、諸君が学修した民法その他の実体法上の権利に関する知識は、それらの倒産法上の取り扱いを勉強することにより完結する。それは、各種実体法上の権利の倒産法上の取り扱いを前提に、倒産に対するリスクヘッジを考えなければならないからである。
本講義では、倒産処理法制のうち最も中心的な役割を果たしている破産法を中心に、皆さんが修得した民法その他の実体法に関する正確な知識を今一度確認しながら、手続とその手続における実体法上の権利の取扱いを説明していきたい。破産法は、民事訴訟法、民事執行法および保全法と並び、民事手続法の一分野を構成しており、手続法が実体法とどのような関係に立つかを勉強するのにも役立つであろう。破産法の学習の難しさと楽しさは、民法や商法などの定める権利や他の民事手続法と密接に関連する点にある。本講義は、民法・商法・民事訴訟法などの学修成果を試し、あるいは知識を正確なものとする良い機会と思うので、少々難しくても勇気をもって挑戦してもらいたい。
科目目的
民商法などの実体法基礎知識を前提として具体的な事象における倒産処理を考察する力を修得することを最終目標にするが、講義自体は、実体法的な知識の確認にも役立つはずである。
到達目標
倒産処理手続の学修により、実体法知識の運用能力を体得してゆくこと。
授業計画と内容
第1回 倒産処理概説(ガイダンス)
第2回 倒産処理手続の選択
第3回 破産法と破産手続
第4回 破産手続の主体と機関
第5回 破産手続開始申立て
第6回 破産手続開始要件
第7回 破産債権
第8回 財団債権・多数債務者関係
第9回 破産財団と自由財産
第10回 破産者をめぐる法律関係(破産手続開始に直接かかわる諸規定)
第11回 破産者をめぐる法律関係(双務契約の処理ー総論)
第12回 破産者をめぐる法律関係(賃貸借契約・リース契約)
第13回 破産者をめぐる法律関係(請負契約・雇用契約)
第14回 破産者をめぐる法律関係(その他の特殊な契約)
第15回 取戻権
第16回 別除権と担保権消滅請求制度
第17回 否認制度(総論)
第18回 否認制度(否認要件と効果)
第19回 否認制度(否認類型の個別的考察)
第20回 否認に関する事例研究(詐害行為)
第21回 否認に関する事例研究(偏頗行為)
第22回 破産法上の相殺(総論)
第23回 破産法上の相殺(破産法71条を中心として)
第24回 破産法上の相殺(破産法72条を中心として)
第25回 消費者倒産
第26回 国際倒産
第27回 総括(講義前半部分の重要問題)
第28回 総括(講義後半部分の重要問題)
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業開始1週間程度前にこのサイトにアップしたレジュメにより予習しておくとよいでしょう。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 100 | 論述式の試験で評価する。試験問題は、3~5問を出題し、1問を選択して回答してもらう。各問題は、一行問題ではなく、複数の小問から構成される。 |
成績評価の方法・基準(備考)
期末試験で出題される小問形式の論点は、授業の進行に応じて、その都度具体的に示す。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
弁護士過誤に関連する保険業務につき、審査業務を担当している。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
破産申立てや債務整理を受任した弁護士や破産管財人が陥りやすいミスについて、具体的に説明する。
テキスト・参考文献等
教科書は指定しないが、講義内容を理解するために、①~③の推薦教科書の1冊を読んでおくことを薦める。また、④は持っていると便利な参考文献である。
①加藤哲夫『破産法〔第6版〕』(弘文堂・2012年)
②山本・中西・笠井・沖野・水元『倒産法概説』(弘文堂・2010年)
③伊藤眞『破産法・民事再生法〔第3版〕』(有斐閣・2014年)
④倒産判例百選〔第5版〕(有斐閣・2013年)
上記のうち、①は学部講義には少々簡単すぎるが、レジュメや判例百選などで十分に補充することを前提に推薦することができる。ロースクールで初学者対象の教科書として一般に用いられるのは、②及び③である。進学予定者には、内容的に充実している③を推薦する。④の百選は、授業において扱う判例につきコピーすることで足りるが、ロースクール進学者は手元に置いて参照してもらいたい。
その他特記事項
アップしたレジュメは、随時改訂される可能性があるので、受講に必要な範囲を超えてプリントアウトしないように注意してください。