シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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専門演習A1/専門演習B1 | 2024 | 春学期 | 火5 | 法学部 | 柴田 憲司 | シバタ ケンジ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-OL3-015S
履修条件・関連科目等
憲法1(人権)・憲法2(統治)【法律・政治】または憲法【国企】を履修し、単位を取得していること
が望ましい。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
毎週、受講者に報告していただきます。重要な判例・文献を探し、読み込み、報告する、という流れになります。その際、報告者だけでなく、受講者の全員が、該当する判例と文献を読んで来ていることが前提となります。受講者の報告について皆で議論しながら、判例・文献の読み方・理解が正確かどうかをチェックしつつ、思考力・表現力を磨いていきます。
科目目的
この演習は、
(1)憲法に関する裁判例、特に最高裁判例と、
(2)その判例を論評している文献などの専門論文・判例解説の読み方・まとめ方・報告のしかたを身につけること、
(3)そしてこうした判例・文献の熟読・報告と、報告についての討議を通じ、表現力・バランス感覚を取得すること、
を目的とするものです。
(1)最高裁判所の憲法解釈(判例)は、たとえ理論上は「誤った」ものであったとしても、制度上は「正しい」ものとして、実社会を動かしています(憲法81 条)。憲法を学ぶ際には、何よりもまず、条文と並んで、判例に関する知識を正確に身につけることが、出発点としては不可欠です。
そして、判例の論旨を的確に把握するためには、その前提となっている事実関係や当事者の主張、1 審・2審の判断についても正確に理解しておく必要があります。
この演習では、実際の判決文の全文を読み、その趣旨を正確に把握した上で報告する力を身につけることを、第一の目的とします。
(2)もちろんこれは、最高裁判例を無批判に受容しなさいという趣旨ではありません。判例は、学説による批判の対象になることもしばしばあります。最高裁自身が、後に見解を改めることもないわけではありません。また、判例の読み方自体をめぐっても、学説はもとより後の裁判所や訴訟当事者の間でも、見解の対立が生じることもあります。さらに、判例が出ていない分野も多数存在し、そうした局面では、裁判所も我々も、学説上の議論の蓄積や、そこから導かれる思考様式を手掛かりにすることもあります。
また、ある判例がどのような先例や文献などを参考にしたのか、そしてそれらを具体的にどう読みこんで、どういう思考を辿って判決が書かれているのかを知る上では、「調査官解説」を読み込むことも有用です。
こうした専門的な文献を読めるようになることも、大学で、まさに「専門演習」で、法律学を学ぶ重要な目的の一つです。
(3)このような判例・文献の講読と報告を通じ、物事には多様な考え方があることを知ること、その際に判例・学説の原文(一次資料)に触れ、学習用の判例解説書や教科書等では語り尽くされていない判例・学説の真の姿を知ること、その上で、どの見解が妥当なのかを説得力のある論理構成で表現できるようになること、バランスのとれた結論を導く力を身につけること、を目指します。
到達目標
上記の「科目目的」に示した通り、
・一次資料へアクセスする習慣を身につけること(正確な読解力の取得)、
・その際に自分とは異なる見解、多様な見解に積極的に触れる意識をもつこと(バランス感覚の取得)、
・そうした多様な見解に触れ、考察した結果を効果的に文章化・報告し、そしてその内容についてお互いに議論できようになること(表現力の取得)、
・さらにこうした作業を通じ、法と実社会とのつながりを意識できるようになること(未知の問題への応用力、問題発見能力の取得)、
を到達目標といたします。
授業計画と内容
*下記の授業計画は、あくまでも予定です。受講者の希望により、たとえば、
①特定の個別のテーマを設定し、それに関わる判例や文献を重点的に扱う、
②比較的近時の判例を中心にとりあげ、これと先例との関係を検討する中で、アクチュアルな問題に取り組む、
③判例を契機にしつつも、理論的な問題を中心に扱う、
という方向もあり得ます。受講者と相談のうえ、決します。
*毎年、春休み中(2月頃)に、新ゼミ生と現ゼミ生合同のゼミ合宿を開催しています。
【春学期】――重要基本判例の定着
1 報告の仕方(判例・文献のリサーチ方法、報告レジュメの作成方法)、議論の仕方
2 職業の自由:いわゆる三段階審査の妥当性
3 財産権
4 表現の自由:内容規制・内容中立規制、間接的制約、等の概念の妥当性
5 〃 :事前抑制と事後規制
6 集会の自由:制約(自由権)と給付(請求権)
7 思想・良心の自由
8 信教の自由
9 政教分離原則
10 法の下の平等
11 幸福追求権:プライバシー
12 〃 :自己決定権
13 社会権:生存権
14 〃 :教育をめぐる権利
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
大教室等の講義ではどちらかといえば復習のほうが大事ですが、ゼミでは議論の活性化のためにも、お互いのレベルアップのためにも、何より予習が大事です。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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平常点 | 100 | 報告レジュメの内容と、ゼミ中の発言、議論への貢献度を総合的に評価します。 無断欠席者、出席が7割に満たない者、自身の報告会に欠席した者は、E判定といたします。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
自主学習支援として、manabaの掲示板等を利用。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
受講者と相談の上、特定のテキストに準拠しながら判例・学説の読解をするか、テ
キストを指定せずに毎回その都度読むべき文献・判例を設定していくかを決します。