シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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専門演習A1/専門演習B1 | 2024 | 春学期 | 月5 | 法学部 | 鈴木 博人 | スズキ ヒロヒト | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-OL3-015S
履修条件・関連科目等
専門科目ですので私の担当する「家族法」を履修してください(指導教授の授業を履修していないということは通常考えられません)。すでに2年次に「家族法」(担当者が誰であれ)を履修済みの人はそれで問題ありません。
憲法の人権条項とも関連することが多い領域です。したがって、履修学生の所属学科がどこであれ、憲法および民法(学科によって科目名称が異なりますが、民法概論、総則に該当する部分)を履修していない、あるいは今後も履修予定がないという学生には、この演習が扱う領域の問題を理解することは困難です。
専門演習A 2と合わせて履修してください。
授業で使用する言語
日本語/ドイツ語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
今年度掲げるゼミテーマは「離婚・再婚(再再婚)と子どもの福祉」です。このテーマは、国際共同研究を進めていることから設定しています。ゼミでは、セミ論文に結実する各ゼミ生の個別研究も進めますが、そうした個別研究報告を行わない日には、上記のテーマに関する文献等を読み解きます。
家族法という術語は、諸外国では、日本民法でいうと第4編親族に該当する部分のみを指します。日本では一般的に第5編の相続(相続法)も含めて家族法と呼ぶことが多いですが(中大法学部の科目構成もそうなっています)、これは世界的には通用しない用語法です。外国法が「家族法」という名称なのに、日本法は「親族法」というのも何かおかしいと感じませんか?
家族法分野では、同性婚、選択的夫婦別姓、児童虐待、離婚後共同親権、生殖補助技術と代理母等々、日本であるいは日本も含む世界で問題になっていて日々耳にすることから専門家でなければ気づかないことまで問題山積です。そしてその問題への日本の対処方法が、必ずしも世界の動向と同じ方向を向いているというわけでもありません。
そうすると日本の家族法上の制度理解とその制度のなかでの法適用としての裁判例分析を行うほかに、そのような日本の法制度・法運用が、世界の他の国々と比較したときにどのような違いがあるのかを確認・検討する必要が生じます(比較法的検討と言います)。今や婚姻の12組に1組は国際結婚である時代に、日本の常識、世界の非常識という事態が生じているかもしれません。そういうことを婚姻、離婚、養子縁組、相続、夫婦の財産関係等々の場面で、当事者(男だったり、女だったり、LGBTQという独立した存在として認識される人だったり、国籍が異なる人だったり、父(夫)だったり、母(妻)だったり)を、法はどのように平等に扱っていくのか(どれほど平等に扱っていないのか)を検証していきます。そして、それらの人々の間にいる子どもの福祉、子どもの権利はどのように確保していくのかも考えていきます。2024年度の全体テーマの一部である離婚についてみると、統計上は3組に1組の夫婦は離婚します。著名な作家には3回離婚して4回結婚した(4回離婚して5階結婚だったかな?)方もいます。離婚のみならず、再婚・再再婚が子どもに及ぼす影響も多角的に分析していきたいと考えています。
科目目的
大人数講義で行う「家族法」について、講義で得た知見を基礎にしつつ、講義では扱えないような(時間的にという意味、外国の制度も詳しく見ていくという意味、少人数の守秘について信頼できるグループ内でのみ扱える資料の利用という意味)事柄をより深く探究していくという位置づけになります。なんといっても「専門」演習ですから。
また、可能な限り「当事者」の話を直接伺うという機会を設けます。当事者に大学に来ていただく場合はそれほど問題はないのですが、こちらが訪問して児童福祉施設等(乳児院、児童養護施設、里親、児童自立支援施設、自立援助ホーム等)を訪問するといったことは、Covid19問題が解決に向かわないとなかなか難しいところがあります。これらは、法が届いている現場に行って、見てくる、話しを聞いてくるという活動です。ジャーナリストの活動とも似ています。関連して、可能な限り、ドキュメンタリーや映画にも接してもらい、問題をつかみとってくるために、それらの情報提供も積極的に行います。
各種国家試験受験予備校のような雰囲気あふれる本学ですが、大学なのですから学問研究を主軸にすることが科目目的になります。
もちろん、少人数のゼミですから、セミ生相互の交流も積極的に図っていきます。「読み、書き、遊ぶ」です。
到達目標
将来法曹として、家裁調査官として、公務員として、研究者として、もちろん市井の市民として、家族法・相続法問題について対処できる知見を獲得すること、日本法の問題を国際比較の中で相対化して考えられる能力を身に付けることが目標となります。
他の欄の記述からもわかると思いますが、法制度の理解、条文の解釈、法律の適用を学ぶには、法律の教科書を読んでいるだけでは駄目で、社会学、心理学、脳科学等々の研究成果も取り入れ、かつ、ジャーナリストのように国内外の現場に出て問題点を感じ取ってくる能力が求められます。
ゼミは、講義を聴くという場ではないので、ゼミ生が自分で調べて報告をして、ディスカッションを仕切るということが目指されます。
このようなゼミ方針のためか、ゼミ生の進路は多様です。法曹になったひとには、はじめから法曹志望(といっても家族法ゼミに参加してくる者はかなり骨のあるひとですが)というひとのほか、一度就職した後司法試験を受けて弁護士になったひとが何人もいます。また、弁護士になって子ども専門弁護士を標ぼうして、子ども食堂をやっているようなひともいます。さすがに検察官になった人はいませんが、裁判官になったひとはいます。合格率の低い家庭裁判所調査官になるひともいます。ゼミ生の多様性という点では、朝日新聞、NHK、読売新聞等でジャーナリストになったひと、本学部では珍しい、小学校・中学校・高校の教員になったひとがそれぞれいます。公務員志望者も比較的多く、厚労省、総務省、東京都庁、東京23区、京都市役所、神戸市役所等各地の公務員として活躍しています。このようなことからもわかるように、ゼミ生の多様性、様々な進路に進むゼミ生相互の関係性をしっかり構築することも、本ゼミの目標です。
授業計画と内容
「授業の概要」欄や「その他特記事項」欄に記した方針にしたがって授業計画を記します。ただし、家族法という領域は、次々と問題が出てきており、また注目される事件判決がしばしば出されるので、本シラバス執筆以後の状況によっては、授業内容に変更が生じることがありえます。
第1回:春学期のガイダンス(方針の確認)
第2回:家族法の原理の確認(主として教員からのレクチャー)
第3回:憲法と家族法:ドイツ法との比較・ドイツ基本法の家族保護条項(主として教員からのレクチャー)
第4回:離婚後親権法制をめぐる改正論議のフォロー(1):歴史的変遷を追う
第5回:離婚後親権法制をめぐる改正論議のフォロー(2):法制審議会での議論を追う(前半)
第6回:離婚後親権法制をめぐる改正論魏のフォロー(3):中間試案の検討
第7回:離婚後親権法制をめぐる改正論議のフォロー(4):現行制度の違憲性を争う裁判例の検証
第8回:映画「クレイマー、クレイマー」
第9回:中間試案以後の議論の把握
第10回:離婚後親権法制に関する改正案の検討
第11回:当事者の話を聞く(ゲストスピーカー)
第12回:ドイツの離婚法制:ドイツ法の仕組み
第13回:ドイツの離婚後共同配慮法制
第14回:春学期の総括と夏休みの課題についてのガイダンス
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 60 | ここでのレポートとは、ゼミでの報告のことを意味します。1年次の導入演習のような入門的演習(学科により名称は異なる)で身に付けたレジュメの書き方やプレゼンテーションの仕方が身についているか、図書館等での資料検索がきちんとできているかに着目します。 |
平常点 | 30 | 報告担当でないときでもきちんと準備をしてきているか、その準備に基づき、的確な質疑応答を行っているかに着目します。 |
その他 | 10 | ゼミ運営への協力度に着目します。例えば、共同作業を行う必要があるときに、協力しないとか、共同作業とは自分の担当部分だけやっておけばあとは知らないというような姿勢がみられるかどうかに着目します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)/ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
開講時に指示します。また部分的利用の文献は配布します。
その他特記事項
学外施設等の見学は、大学の授業実施日でない平日に行います。見学先の都合に合わせて実施します。授業実施日でない平日ということになると、文化祭休みとか夏休みの最初とか最後の時期ということになります。アルバイトやサークル活動で対応できないという方は、このゼミは履修しない方がいいと思います。