シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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社会言語学2 | 2024 | 秋学期 | 木1 | 法学部 | 小田 格 | オダ イタル | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-HO3-008L
履修条件・関連科目等
履修条件は特に設けませんが、春学期に開講している「社会言語学1」を履修していることが望まれます。もしも履修していない場合には、次年度以降可能な限り履修するようにしてください。
本講義は社会と言語をめぐる諸現象を取り扱うことから、やや極端な言い方をすれば本学部の全科目と何らかの接点を有しています。その中でも特に関連性が高い科目としては、「総合講座 グローバル化世界における多言語主義1・2」が挙げられ、この2科目を併せて履修することにより、ことばに関する問題をより深く理解することができるでしょう。
なお、下記の通り、各種ディスカッションや双方向・多方向の質疑応答・意見交換を行う予定ですので、主体的・積極的に授業に参加するよう心掛けてください。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
現在、本邦においては、「社会言語学」という名の下、実に多岐にわたる研究が行われています。「社会言語学」という名称の授業科目を設置している大学も多々存在しており、当該領域の概説書も少なからず出版されていますが、その内容は千差万別であって、ものによっては相互に重なり合う部分がほとんどないという場合すらあります。この要因としては、教育研究の担い手のバックグラウンドの相違、すなわち人文科学・社会科学・自然科学に跨る各分野の専門家がそれぞれの視点・手法により社会と言語を考察していることが挙げられるでしょう。
こうした状況にあって、本講義は社会言語学を「社会と言語をめぐる諸現象に科学的アプローチを試みる領域」とあえて緩やかに解し、その学際性・多様性を肯定的に捉えるものです。ゆえに、混沌とした当該領域の境界線を画定するようなことはせず、むしろ実際に行われている多彩な研究内容に触れることにより、社会と言語の関係について幅広く思考を巡らせることを目指していきます。
秋学期は、各論編ということで、社会と言語をめぐるトピックを取り上げ、それらに関する各種事例の検討を通じて、それぞれの対象や分析手法などについての理解を深めるとともに、身近に存在することばの問題を考察していきます。授業においては、各種方式によるディスカッションを取り入れるとともに、課題として言語使用の実例を探してもらい、それらに対して検討を加えることも予定しています。
科目目的
本講義は、社会と言語をめぐるトピックを取り上げ、その具体的事例を解説・検討し、また併せて身近な実例を調査・分析することを通じて、ことばに関する各種問題について考察していくことを目的とします。
到達目標
上記の目的の下、次の通り到達すべき目標を設定します。
1.社会と言語をめぐるトピックとしていかなるものが存在しているか理解するとともに、その具体的事例を挙げることができる。
2.社会と言語をめぐる諸現象を実際に探し出し、それらを分析・検討することにより、ことばに関する各種問題の解決に向けて思考を巡らせることができる。
授業計画と内容
第1回 ガイダンス
第2回 方言
第3回 少数言語
第4回 手話
第5回 日本語表記
第6回 情報保障
第7回 多言語社会
第8回 英語教育
第9回 女ことば
第10回 若者ことば
第11回 敬語
第12回 司法通訳
第13回 言語をめぐる政策
第14回 秋学期の総括
なお、諸般の事情により、上記の授業計画に変更が生じた場合には、manaba等を通じてすみやかに通知することとします。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
大学の学習の基本は自学自習です。本講義は、社会言語学領域の各種研究に幅広く触れていくこととしますが、それでも時間に限りがありますから、取り扱うことのできない内容も少なくありません。そうした内容に関しては、各自で参考文献等に当たり、更に理解を深めてほしいと思っています。また、実際に社会で使われている言語や、これと関連する問題などに関心を持つことも重要であり、課題として身近な実例を探してもらうことも予定しています。さらに、毎回の授業の振り返りにも相応の時間が必要でしょう。したがって、毎週授業の復習に1時間程度、参考文献等の検索・読解に2時間程度、社会と言語をめぐる問題の発見・検討に1時間程度を要することが想定されます。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 40 | 社会と言語をめぐる問題に関するレポートの提出 |
平常点 | 60 | 授業の振り返り(リフレクション) |
成績評価の方法・基準(備考)
Ⅰ.成績評価方法
①授業の振り返り(リフレクション)(60%)、②レポート(40%)という2つの要素により成績評価を行います。
Ⅱ.成績評価基準
①前提条件:単位の付与には、原則として10回以上の出席を必要とします(遅刻3回につき欠席1回として取扱います)。ただし、やむを得ない事由が認められる場合には、この限りではありません。
②授業の振り返り(リフレクション)(60%):毎回授業内容を振り返り、質問・疑問や自身の見解・感想などを文章に取りまとめ、manabaにアップしてもらいます。
③レポート(40%):授業内容を踏まえ、社会と言語をめぐる問題を見出し、その内容に関する情報を適切に収集・整理したうえで、十分に考察した内容が、学術的ルールを遵守しつつ、わかりやすい構成や適当な分量で取りまとめられているかという観点から評価します。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
毎回のやり取りにおいては,manabaの掲示板を活用する予定です。
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
(公財)大学基準協会事務局における認証評価実務
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
本講義の目的は上記の通りであり、特定の実務に直結する知識・技能を教授するものではありません。しかし、実務で求められる積極性、主体性、批判的思考力、分析力、オリジナリティなどは、本講義における各種のディスカッションや意見交換などを通じて涵養されるものでもあります。こうした取組みが今後実務においてどのように活かされるのか、過去の経験を交えながら適宜コメントしていく予定です。
テキスト・参考文献等
Ⅰ.テキスト
授業において使用する教材等は、基本的に担当教員が作成し、印刷・配付します。
Ⅱ.参考文献等
下記の書籍は、いずれも本講義での学習に役立つものと思われます。なお、毎回テーマごとにこれら以外の参考文献も紹介していきます。
東照二(2009)『社会言語学入門<改訂版>――生きた言葉のおもしろさに迫る』研究社(ISBN:978-4-327-40157-3)
岩田祐子・重光由加・村田泰美(2013)『概説 社会言語学』ひつじ書房(ISBN:978-4-89476-637-2)
加賀野井秀一(1995)『20世紀言語学入門 現代思想の原点』(講談社現代新書)講談社(ISBN:978-4-06-149248-6)
佐野直子(2015)『社会言語学のまなざし』三元社(ISBN:978-4-88303-384-3)
田中春美・田中幸子編(1996)『社会言語学への招待――社会・文化・コミュニケーション』ミネルヴァ書房(ISBN:4-623-02629-9)
中尾俊夫・日比谷潤子・服部範子(1997)『社会言語学概論 日本語と英語の例で学ぶ社会言語学』くろしお出版(ISBN:978-4-87424-135-6)
ましこ・ひでのり(2002)『ことばの政治社会学』三元社(ISBN:978-4-88303-108-5)
その他特記事項
■授業の工夫■
本講義では、上記の通り、各種ディスカッションを取り入れるとともに、双方向・多方向の質疑応答・意見交換を行います。
■その他■
質問や要望、相談、悩みなどがある場合には、遠慮なく担当教員に連絡して下さい。また、学習に際して困難を抱えているような場合には、事前に申し出るようにしてもらえればと思います。
参考URL
以下の記事は私が前職の頃に執筆したものですが、これに目を通せば、担当教員がどのような専門・経歴の者であるかを確認することができるでしょう。
「私の仕事と研究――大学評価と言語政策」(Chuo Online「人―かお」2018年12月20日)
https://yab.yomiuri.co.jp/adv/chuo/people/20181220.html