シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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文学B2 | 2024 | 秋学期 | 金2 | 法学部 | 福田 亮雄 | フクダ アキオ | 1・2年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-HO1-016L
履修条件・関連科目等
履修のための条件は特に設けないが、日本の古典文学に関心のある人が望ましい。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
『更級日記』の作者が、やっとの思いで『源氏物語』を手に入れた喜びを、「はしるはしるわづかに見つつ、心も得ず心もとなく思ふ源氏を、一の巻よりして、人も交じらず、几帳のうちに打臥して、引きいでつつ見る心地、后の位も何にかはせん」と記したことは著名である。平安の古より現在にいたるまで『源氏物語』は、『源氏物語』は多様な文化を紡ぎ出し、多くの読者の心に栄養を与え続けてきた。
さて本講座では、光源氏が生涯のうちで、もっとも生活を長く共にし、もっとも愛した女性といわれる「紫の上」の後半生の物語を読み進めていきたい。光源氏は須磨に退去した後、栄華への道を上り続けていくのだが、共に過ごした紫の上はどのような思いを抱いていたのか。印象的な場面を読み進め、紫の上の人生について考えていきたい。
科目目的
古典とは、長い「とき」の批判に耐え、読み継がれてきた作品をいう。古典には強い一時的な刺激はないが、いつもかわらぬ滋味がたたえられている。ゆらぎ燃える火ではないが、懐かしいぬくもりを保つ埋み火のようである。愛する人との別れ、人の世の思うにまかせぬ嘆き、時代の壁はありながら、それを超越する普遍的な世界がそこにはある。とはいえ、古典を「いま」に引き寄せて読んでも、「古人のこころ」を味わうことは出来ない。当代を再現し、登場人物と共に物語空間を生きなければならない。そうすれば、古典は様々なことを我々に語りかけてくるに違いない。
文学2では、まず紫の上に寄り添って物語空間を生きること、共に悲しみ共に喜びことをとりあえずの目的としたい。そのためには、平安時代の貴族階級の生活習慣やものの見方・考え方を学ぶことが必要である。中でも和歌の解釈は登場人物の心情を考える上での手立てとなるものである。歴史的、社会的背景を学びながら、紫の上の精神世界に迫っていきたい。
到達目標
この科目は、カリキュラム上の総合教育科目として位置付けられていることから、この科目での学習を通じて、学生が今まで学習してきた「古典文学」や「日本文化」に対する知識をさらに深め、物語読解のための「語り」「語り手」「典拠」「話型」という方法を学び、自らの「読み」を紡ぎ出す手立てを身につけることを最終的な目標としたい。
授業計画と内容
1.『源氏物語』概説 「須磨」冒頭を読む
2.「朝顔」の巻を読む 藤壺追慕
3.「朝顔」の巻を読む 紫の上の変貌
4.「少女」の巻を読む 六条院完成
5.「少女」の巻を読む 春秋争い
6.「初音」巻を読む 六条院初めての正月
7.「野分」の巻を読む 紫の上垣間見される
8.「梅枝」の巻を読む 六条院薫物合せ
9.「若菜 上」の巻を読む 女三宮 三日夜の餅
10. 「若菜 下」の巻を読む 六条院と女楽
11. 「御法」の巻を読む 紫の上死去
12. 「幻」の巻を読む 紫の上没後の初めての春
13. 「幻」の巻を読む 紫の上の手紙との決別
14. 総括
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 60 | 講義内容を踏まえたテーマを提示し、論述するという形式の試験を実施する。講義内容を理解した上で、自らの観点から説明できたかを重視したい。 |
平常点 | 40 | 授業への参加、受講態度を評価の基準としたい。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
この科目は、講義を中心として行うため、毎時間、質問・感想を記す用紙を配付し、次の授業の冒頭15分程度を使って回答する。
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
〈テキスト〉特に使用しない。毎時授業内容にそって作成したレジュメを配布する。
〈参考文献〉
三田村雅子、『源氏物語』筑摩書房、1997年(ちくま新書)
三谷邦明、『入門 源氏物語』筑摩書房1997年(ちくま学芸文庫)
日向一雅、『源氏物語の世界』岩波書店、2004年(岩波新書)
高木和子、『源氏物語を読む』岩波書店、2021年(岩波新書)
原岡文子、『源氏物語に仕掛けられた謎』角川学芸出版、2008年(角川叢書)