シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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国際法総論2 | 2024 | 秋学期 | 火3 | 法学部 | 宮野 洋一 | ミヤノ ヒロカズ | 2年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-IL2-002L
履修条件・関連科目等
▼履修するかどうかを決定する前に本講義要項全体を熟読のこと。(途中で読むのがいやになるようならあなたはこの講義には向いていません。また、共通テキストは判例集・条約集も参照しながら各自でどんどん自習してください。講義では、それ以外の素材(レジュメはありません)を提供しつつ、骨太な理解ができるような内容をめざしたいと思います。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
本科目はみなさんが今後、国際法・国際関係の様々な科目(国際法と○○や、○○国際法、国際関係論等々)を履修し、また自分で国際問題を法的に考えていく際の基礎、前提となる基本科目です。
この講義では、国際法が、基本的には国際社会という「分権的な社会」の法であるという見方を柱にすえ、集権的な国内社会の法である国内法との違いを考えながら全体を俯瞰してゆきます。現実の具体的な種々の国際問題の国際法的検討を、新聞・雑誌の記事やドキュメンタリー・ビデオなども利用しながらすすめたいと思います。後掲の共通テキストを一応のベースにしますが、必ずしもその通りをなぞるのではなく、テキストは読んであることを前提に、口頭での説明を中心にすすめてゆきます。
また、2015年度以来、毎回の授業終了後にmanaba(Respon)による感想・疑問点の提出を求め、ファイルにまとめたものをmanabaでシェアしています。
科目目的
本科目はみなさんが今後、国際法・国際関係の様々な科目(国際法と○○や、○○国際法、国際関係論等々)を履修し、また自分で国際問題を法的に考えていく際の基礎、前提となる基本科目です。
到達目標
国際法が対象とする国際社会は、集権的な国内社会と異なり依然として分権的な性格を色濃くもっています。それに応じて国際法も自ずと国内法とは異なった常識と作法・工夫が働く世界となっています。この講義では、そのような「分権的社会の法」としての国際法の特質、限界と可能性に関する基本的な理解を取得することを目指しています。
授業計画と内容
1 イントロ1 国際法の世界に出会う
核兵器は国際法上あらゆる場合に違法か~核兵器はこうして裁かれた
2 イントロ2 国際法研究の広がり 国際法と紛争解決・国際法と正義論
3.武力紛争法(国際人道法ほか)
4 武力行使の規制~国際法における戦争の位置づけ
5 平和と安全の維持(伝統的安全保障)PKO-1
6 個別的自衛権・集団的自衛権
7. 平和構築 PKOと国際的平和活動
8 国際紛争の処理と解決
9 国際司法裁判
10 国際経済法①(貿易・通商)WTOを中心に
11 国際経済法②(国際投資)
12 国際環境法(前半)
13 国際環境法(後半)
14 総括
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 50 | 分権的国際法の特色の理解度による。※manabaの表記の形式上50%となっていますが、下記「平常点」に言う毎回のmanaba回答が8割(=9回提出)以下の場合は採点対象としないので、その場合は実質0%=不合格ということになります |
平常点 | 50 | 毎回の授業後のResponによるリアクション(感想・疑問点)提出。出席確認を兼ねる(そのため、内容のない回答はカウントしない)。回答が8割(9回)以下の場合は成績評価の対象としない。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
▼テキスト参考文献等
▼◆(テキスト)以下3点は皆さんの手元にあるものとして授業をすすめます。
①柳原・森川・兼原(編)『プラクティス国際法講義(第4版)』(信山社、2023年) 共通テキスト
各章冒頭の導入と、各章末の確認問題を手掛かりに各自で読み進めてください。
②判例集 別冊ジュリスト『国際法判例百選(第3版)』(有斐閣2021年)
テキストにでてくる判例について、その判旨と論点を確認するために。
③条約集 『ベーシック条約集』(東信堂)か『国際条約集』(有斐閣) のいずれかを手元において常に参照して下さい。この両者は、おおむね毎年新しいその年の版(ex.2024年版等)が出版されていますが、古書店で年度おち(せいぜい数年前くらいまでのもの)を安く入手するのもひとつの手でしょう。
◆(サイド・リーディング)
・森川幸一ほか(編)『国際法で世界がわかる:ニュースで読み解く32講』(岩波書店,2016)
「固有の領土ってあるの?」「日本は難民鎖国?」「日本のサラリーマンが国際カルテル容疑で米国に処罰される?」「大陸棚の延伸で領土が拡大する?」「領空侵犯は正しく領海侵犯は謝り?」といった、国際ニュースに含まれる国際法に関する疑問に則して、専門的な立場から項目毎に鋭い解説がなされており、教科書の体系的な説明の間隙を埋めるものとして、併読を強くおすすめします。
・同種のものとして森・岩槻(編)『サブテクスト国際法:教科書の一歩先へ』(日本評論社、2020)も出た。
また、国際法学会のHPの「エキスパート・コメント」欄の解説では、随時、類似の時事的なテーマ(國際私法も含む)についての国際法の専門的な解説を読むことができます。(ex.「PKOと駆けつけ警護」「ドローンの国際的規制」「パリ協定の発効」など)
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◆(参考書)
▼共通テキストでは難しいと感じたひとがまず読むのに手頃なものとして
・松井芳郎ほか『国際法(第5版)(Sシリーズ)』(有斐閣,2007)スタイルは教科書的ですが、自決権・途上国からの挑戦などの視点に特徴あり。
・大沼保昭『国際法』(ちくま新書,2018)単独の著作でありまた著者の絶筆となった本なので個性が色濃く表れていて興味深い。
・加藤信行ほか(著)『ビジュアルテキスト国際法(第3版 )』(有斐閣2022)視覚的な資料が豊富
▼より詳細な説明が欲しい、あるいは複数読み比べたい場合の教科書類として
・浅田正彦(編著)『国際法(第5版)』(東信堂,2022)複数著者による標準的構成の良書。
・酒井・寺谷・西村・濱本『国際法』(有斐閣,2011年12月)フランスの国際法の教科書によくみられるタイプに近い構成をとっており、他の日本の標準的なテキストとはかなりイメージが異なる。上級段階になって取り組めば得るところも多いだろう。
・.山本草二『国際法(新版)』(有斐閣1996):現在、依然として最も本格的な単独執筆による体系書
・岩沢雄司『国際法(第2版)』(東大出版会,2023)著者は2018年から国際司法裁判所裁判官(前職は東大教授)
・杉原高嶺ほか『現代国際法講義(第5版)』(有斐閣2012):標準的なテキスト。複数著者の共著。国際経済法の章はない。
・杉原高嶺『国際法学講義(第2版)』(有斐閣2013):上掲書の代表者による単独執筆のテキスト
・小寺・岩沢・森田(編)『講義国際法(第2版)』(有斐閣2010):複数著者の共著
▼少し違ったテイストの参考書として
・奥脇・小寺(編)『国際法キーワード(第2版)』(有斐閣2006):2008年度テキストとして使用した本です。こぶりだが現代国際法の最先端の大きな動きを概観する高度な内容になっています。
・メリルス(長谷川訳)『国際法の解剖-現代世界で果たす国際法の役割-』敬文堂1984 :かなり古くなりまた入手も困難だが、分権的社会の法という観点のユニークな副読本。図書館等で参照を
・松井芳郎『国際法から世界を見る:市民のための国際法入門(第3版)』東信堂2011.
・小寺彰『パラダイム国際法』有斐閣2004
:この2冊は、いずれもひとりの著者によるユニークな構成(包括的ではない)の最近の好著です。
・大沼保昭『国際法:はじめて学ぶ人のために』東信堂2005
:本当に『はじめて』の人が通読するのは骨が折れるハズ。ただし従来の国際法学のあり方に対して随所で問題提起をしており、進んだ段階で挑戦するにはおもしろい。
・大沼保昭(編)『21世紀の国際法:多極化する世界の法と力』(日本評論社2011) テーマ毎にその分野に強い学者との対話という形式で、国際法と国際法学の最先端の課題を論じている。進んだ段階で刺激を受けるのにいいでしょう。
・小松一郎『実践国際法(第3版)』(信山社2022) 現役の外交官の手になるテキスト。章によって記述の厚みがいろいろであるが、特に日本外交にかかわる国際法上の問題の実例への言及は参考になる。
・黒崎将広(編)『防衛実務国際法』(弘文堂,2021)防衛省や海上保安庁など日本の防衛委実務に必要な知識という観点から編まれたものであるが、第1部の総論部分は、国際法総論の該当部分としても、資料も詳細でよくできていて参考になる。
▼(条約集)有斐閣、東信堂等各種あり各々の特徴は講義の際に説明します
・携帯に便利なコンパクトなものっとして 芹田健太郎(編)『コンパクト学習条約集(第版)』(信山社,2021)や浅田正彦ほか(編)『ハンディ条約集(第2版)』(東信堂2021)もあります。しかしもちろん収録条約数や付録類は限定されますが。
▼(判例集) 前掲のほか 同じ判例について複数のものを比較するのも勉強になります。
前掲有斐閣の『国際法判例百選』は各版毎に同じ判例の執筆者を変えていますので、この旧版(初版、2版)も参照する価値があります。
・杉原・酒井(編)『国際法基本判例50(第2版)』(三省堂2014) 比較的簡潔な解説
・松井(編)『判例国際法(第3版)』(東信堂2019) 他の判例数にないものも含む。
▼(資料集) 大沼保昭編著『資料で読み解く国際法第2版上・下』 東信堂2002-10
西谷元『国際法資料集』(日本評論社サービスセンター/日本評論社2010)
▼(辞典)国際法学会編『国際関係法辞典(第2版)』三省堂2005
筒井編『国際法辞典』有斐閣1998
★このほか、中央大学図書館経由で、英文のMax Planck Encyclopedia of Public International Lawが電子的に利用できます。(CHOISのデータベースリストの8.法律情報の項にあります。自宅からでもVPN接続で利用可)。百科事典という名称ですが、1項目が数頁の分量があり、また代表的な参考文献(英仏独語など)リストも附されているので、さらに研究をすすめる場合のよい出発点となります。また、電子版なので随時改定や新規の項目の追加もあります。//