シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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比較法原論 | 2024 | 春学期複数 | 金3,金4 | 法学部 | 吉田 聡宗 | ヨシダ アキムネ | 3・4年次配当 | 4 |
科目ナンバー
JU-CO3-001L
履修条件・関連科目等
履修条件は特にありません。比較法原論は、「法の基礎」を扱う基礎法学に属します。実定法科目で学んだことを相対化し、基礎法科目で学んだ知識を実定法科目の学修内容と結びつけながら、受講してください。また、語学・国際関係・哲学・人類学などの講義で学んだ内容を積極的に活用することを推奨します。日々の生活で感じること、これまでに学んできたこと、今学んでいること、そして、将来学びたいことと、この講義を関連付けると理解が深まります。
授業で使用する言語
日本語/英語/ドイツ語/フランス語
授業で使用する言語(その他の言語)
※講義は日本語で行います。比較法学の重要なテーマのひとつに翻訳があるため、英語、ドイツ語、フランス語の資料も配布します。
授業の概要
法を比較することについて学びます。
各回に共通するテーマは、比較法学の対象(何を「法」だと考えるのか)、比較法学の方法(どのように法を比較するのか)、比較法学の目的(どうして比較するのか)です。
科目目的
法を比較しながら、受講生の視野を広げ、法に対する理解を深めることを本講義の目的とします。
到達目標
①比較法学の基礎知識を理解したうえで、法を比較できるようになること。
②他国や過去の法制度を知り、現行の日本法が唯一絶対のものではない、ということを理解すること。
授業計画と内容
※進度および受講生の数、関心に応じて、各回の内容について変更や追加を行う場合がある。
第1回 ガイダンス
第2回 比較法学という学問
第3回 比較法学の方法①:比較法学の研究成果
第4回 比較法学の方法②:機能主義をめぐる議論
第5回 コモン・ローとシヴィル・ロー①:分類の基準
第6回 コモン・ローとシヴィル・ロー②:二分法への批判
第7回 世界の法体系①:法族論(法系論、法圏論)
第8回 世界の法体系②:法体系のマッピングという難問
第9回 法伝統の伝播①:主要な法伝統とその伝播
第10回 法伝統の伝播②:法伝統を扱う難しさ
第11回 比較法学の新潮流①:ポストモダンと比較法学
第12回 比較法学の新潮流②:様々なアプローチ
第13回 法社会学と比較法学①:訴訟・法曹
第14回 法社会学と比較法学②:社会における法の役割
第15回 定量分析と比較法学①:相似と相違の計測
第16回 定量分析と比較法学②:「法の質」の計測
第17回 比較法学と実験・実証①:仮説検証
第18回 比較法学と実験・実証②:法と「実験」
第19回 法の継受
第20回 法の収斂
第21回 地域法
第22回 国際法
第23回 トランスナショナル・ロー
第24回 グローバル・ロー
第25回 比較法学と経済発展①:法の支配と経済発展
第26回 比較法学と経済発展②:法と経済発展の関係
第27回 他の学問領域と比較法学
第28回 講義の振返り
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
講義資料を読み直し、自分の言葉でその内容を説明できるようにしてください。
講義内容について、他の受講生と話すことも理解を深めるのに有効です。その際に、他の講義で学んでいる内容との関連性についても検討してみるとよいでしょう。
また、日常生活において「何のために」「何と何を」「どんな基準を用いて」比較しているのかを、自分の言葉で説明できるようにする、というのもこの講義にとっては重要な復習です。たとえば、同じような商品が並んでいる中で、どうして特定の商品を選んだ(または選ばなかった)のか、ということを考えてみるのもよいでしょう。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 70 | 比較法学についての基礎知識の理解度を評価します。 |
平常点 | 30 | 毎回の講義で、コメントシートの提出を求めます。講義内容の理解度を評価します。質問や学問的な批判を歓迎します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
コメントシートの受理が18回分以下の場合は、レポートを採点しません。
コメントシートはmanaba上で回収します。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
コメントシートを用いて、受講生との対話を行う。
すぐれたコメント・質問については講義で取り上げる。
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
manabaを用いてコメントシートを回収する。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキストは指定せず、担当教員が作成した資料を配布します。配布資料には、英語、ドイツ語、フランス語の文章や条文を入れる予定です。英語は辞書を用いれば読めるものとしますが、外国語の資料の和訳を必要に応じて掲載します。
⑴比較法学
興味があれば、以下の参考文献を手に取ってみてください。レポートを書くにあたり、何か本を手許に置きたいという方は②~④の書籍の中で気に入ったものを購入しておくことを推奨します。索引を駆使して、語句の確認に用いるのもよいでしょう。英語が得意な方や、英語力を向上させたい方には、⑤に挑戦してみてください。
①青木人志『「大岡裁き」の法意識 ― 西洋法と日本人』(光文社新書、2005)
比較法学のみならず、法を学ぶことの面白さを教えてくれる本です。紙の本としては古本でしか手に入りませんが、電子書籍として購入可能です。
②滝沢正『比較法』(三省堂、2009)
講義に用いるために執筆された本書は、質・量ともに比較法学の入門に最適な一冊です。
③五十嵐清(鈴木賢、曽野裕夫補訂)『比較法ハンドブック』 第3版(勁草書房、2019)
比較法学の基礎理論から、世界の法制度の動向までを扱った本です。定期的に記述がアップデートされているのも、この本の長所のひとつです。
④貝瀬幸雄『比較法学入門』(日本評論社、2019)
古典的な議論と最新の研究動向の双方が、わかりやすい文体でコンパクトにまとめられている本です。
⑤Mathias Siems, Comparative Law (3rd. ed.) (Cambridge University Press, 2022)
この講義が依拠している書籍です。もちろん、講義ではこの書籍に対する批判も展開しますし、スキップする部分もあります。読みやすい英語で書かれているので、比較法学に興味がある方、英語の法学文献を読んでみたい方、海外留学を考えている方は、目次を見て興味のある節だけでも一読することを推奨します。もちろん、購入する必要はありません。
⑵レポート執筆
レポートを執筆する際に参考になる書籍を紹介します。図書館や書店で手に取ってみてください。大学卒業後も文章を執筆することになるので、気に入ったものを購入することを推奨します。
①木下是雄『理科系の作文技術』(中央公論新社、1981)
②大村敦志、道垣内弘人、森田宏樹、山本敬三『民法研究ハンドブック』(有斐閣、2000)
③黒木登志夫『知的文章とプレゼンテーション ― 日本語の場合、英語の場合』 (中央公論新社、2011)
④小熊英二『基礎からわかる 論文の書き方』(講談社、2022)
その他特記事項
■授業の工夫■
コメントシートを配布・回収することによって、双方向の講義を行います。
講義は受講生と教員の間で行うものです。お互いに節度を持って、充実した学びの時間を過ごしましょう。
■注意事項■
ディスカッションや意見を聞く場合を除いて、講義の妨げになるので私語を控えてください。
論争的な議論を検討するだけではなく、講義の中でコメントの紹介もしますし、ディスカッションの時間も設けたいと考えているので、心理的安全性を担保するために、講義の内容をSNSなどのインターネット上に公開することを控えてください。
参考URL
レポートを執筆する際は、中央大学が公表している以下の資料を参考にしてください。
①中央大学アカデミック・サポートセンター ライティング・ラボ「レポートの書き方資料」
https://sites.google.com/view/chuo-writinglab/textbook
②TemiCo「レポート・論文の約束事」及び「不正行為(剽窃)に関する注意」
TemiCoの「試験についてのお知らせ」に掲載されています。