シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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刑法特講 刑法の重要論点の解説1 | 2024 | 春学期 | 金4 | 法学部 | 井田 良 | イダ マコト | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-CR3-009S
履修条件・関連科目等
刑法総論および刑法各論の概論講義科目をすでに履修し、刑法学で用いられる基礎的概念を一通り理解していることが望ましい。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
刑法総論・各論の論点を含む比較的複雑な事例問題を取り上げ、論点の抽出方法や、抽出した論点の検討を通じて登場人物の刑事責任を明らかにする具体的な手順を学ぶことができるような授業としたい。可能な限り履修者との問答を行い、ともに考える(考え込む?)ことを通じて、刑法学の思考方法を身に付けることができるような授業内容とすることに努めたい。
科目目的
履修者が刑法総論および刑法各論の概論講義の履修により習得した刑法学の知識と思考方法を前提とし、これらを事例問題の検討と解決を通じて「使える」知識と思考方法へと発展させることを授業の目的とする。履修者が既存の知識をさらに深め、各論点の相互的な関わりを理解し、はじめて遭遇する問題にも対応する方法を身に付けることを可能とすることにより、刑法学の中級者、さらに上級者へと進化することに役立ちうる授業とするよう心がけたい。
到達目標
本授業科目は,刑法学(刑事実体法)に関する諸科目の中でも,いわば総仕上げの段階における教育に資するための科目であり,この授業を履修し,合格評価を得た者は,少なくとも刑法分野については,本学部の学位授与方針において予定された法的知識,法的思考能力,法的事務処理能力,応用力を十分に備えたものと認められるような授業内容としたい。本科目の履修を通じて,現代社会に生起する法的問題のうち,刑法に関わる問題については,的確に論点を把握し,解決のおおよその方向性を提示しうる能力を修得しうるような授業内容とすることに力を注ぎたい。
授業計画と内容
各回のテーマ(カッコ内は、取り上げるテキスト〔後掲・刑法事例演習教材〕の事例名)
第1回 事例問題へのアプローチとその検討方法(「1 ボンネット上の酔っ払い」)
第2回 因果関係(その1)概説(「8 トランク監禁の悲劇」)
第3回 因果関係(その2)行為後の介在事情の評価(「28 元風俗嬢の憤激」)
第4回 被害者の同意(「10 偽装事故の悲劇」)
第5回 ここまでのまとめと復習
第6回 不作為と共犯(「3 ヒモ生活の果てに」)
第7回 共犯,間接正犯(「6 カネ・カネ・キンコ」)
第8回 過失犯の構造と成立要件(「4 黄色点滅信号」)
第9回 財産犯、特に窃盗罪(その1)占有の意義(「2 D子は見ていた」)
第10回 財産犯、特に窃盗罪(その2)死者の占有等(「7 男の恨みは夜の闇より深く」)
第11回 財産犯、特に強盗罪(「5 ピカソ盗取計画」)
第12回 放火罪(「9 紫の炎」)
第13回 公務執行妨害罪(「11 帳簿の紙吹雪」)
第14回 全体のまとめと復習
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 50 | 事例問題を出題する。六法のみの参照を認める。授業で説明した内容がきちんと理解されているかどうかを基準に採点し、これを最終的な評点決定にあたり考慮する。 |
平常点 | 50 | 毎回の授業への参加の意欲、学習態度、発言内容等を総合的に評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
履修者数と履修者の学修状況にもよるが、全履修者に少なくとも一度は授業中のプレゼンテーションを担当してもらいたいと思う。
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
刑事裁判実務に携わった経験としては、意見書の提出が数回ある程度であるが、法務省・法制審議会委員等として法改正や新規立法に関わっており、そのほか、司法研修所や警察大学校等において,裁判官・司法修習生・警察官の研修と教育に携わったり、種々の委員会において、現行刑法の規定の運用と解釈について見解を述べる委員を務めたりしている。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
上記の経験を通じて、現行刑罰法規の立法論上・運用上・実務上の諸問題を知っているので、折に触れてそれを履修者に伝達することが可能である。それにより、履修者の現行刑法に関する知識を深め、また履修者においてそうした問題意識を喚起することも可能だと考えている。
テキスト・参考文献等
授業で使用するテキストとして、井田良=佐伯仁志=橋爪隆=安田拓人著『刑法事例演習教材・第3版』(有斐閣、2020年12月)を指定する。各回の授業でも、同書の該当ページを指示して説明するので、履修者は必ずこれを教室に持ってきていただきたい。また、随時、教室でレジュメを配布する。
その他特記事項
毎回、あらかじめ予習すべき事柄を指定するので、必ずこれに従い、予習をした上で授業に臨んでいただきたい。担当者に対し質問等があるときは、授業終了後に、担当者に話しかけてほしい。
なお、後期に、佐伯仁志教授担当の『刑法特講 刑法の重要論点の解説2』が開講されるが、これとあわせて履修することを強くお勧めしたい。同じテキストを使い、授業の内容についても相互に調整し、両方を履修することにより、より学習効果が上がるように工夫するつもりである。