シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
社会政策2 | 2024 | 秋学期 | 火5 | 法学部 | 小尾 晴美 | オビ ハルミ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-OG3-002L
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
社会政策とは、資本主義社会において私たちが働き、生活していく中で直面するリスクに対応できるよう、政府が整備してきた諸政策のことを指します。私達が生きる資本主義社会では、自分で働いて賃金を得て生活を成り立たせるのが基本です。しかし、働く中でハラスメントや解雇など、様々なトラブルに遭遇することがあります。また、疾病、怪我、加齢、妊娠・出産、失業等により働いて賃金を得られない事態にしばしば見舞われます。そのような時に、私達の雇用・生活を支えるのが労働者保護法制や社会保障制度などの、様々なセーフティネットであり、本講義では日本におけるこれらの現状と歴史について取り扱います。
科目目的
本講議は、春学期開講の社会政策1と合わせて3つのパートに分かれて構成されています。
春学期は第1部で、労働パートとなります。第1部では、現代日本における人々の働き方の特徴や、社会政策が対象としている労働にかかわる諸問題について取り扱います。
秋学期配当の社会政策2では、第2部(社会保障パート)と第3部(歴史パート)です。第2部では、社会政策が対象としている、生活を営むなかで直面する問題(育児・疾病・介護などとそれに伴う生活困難・貧困)について、日本の現状を理解することを目指します。また、上記の問題に対して、セーフティネットがどのように構築されているのかについて、考察します。第3部では、社会政策の理念を歴史的・理論的に検討します。日本における社会政策がどのような歴史を経て現代に至っているか、労働市場や産業構造のあり方との関係を踏まえて、歴史的に検討します。
到達目標
1.社会政策という学問の基本的枠組みを理解し、労働政策と社会保障政策の大まかなシステムを理解すること。
2.日本の雇用と労働市場の特徴、現代日本経済についての構造的特質と問題点を理解し、生活・福祉に関わる問題と、経済的背景との関連性について理解を深めること。
3.私たちの人生のそれぞれの局面(育児・疾病・介護)や、福祉を必要とする人々に関わる問題の現状を知り基礎的な知識をつけること。また、社会の中で自分と異なる境遇におかれた人間の多様な生き方や価値観(世代・ジェンダー・障がいなど)に対する理解と共感を持つこと。
授業計画と内容
以下の14回の内容で実施します。
1イントロダクションー社会保障制度のしくみと見取り図―
2少子高齢化と社会政策―社会福祉制度のしくみと課題―
3子育てと社会政策①―子どもを産み育てる条件の変化と労働政策―
4子育てと社会政策②―子育てをめぐる社会福祉制度―
5高齢者と社会政策①―介護保険と関連サービス―
6高齢者と社会政策②―公的年金制度と社会政策―
7医療保障と社会政策
8生活困窮者を支える社会政策
9【中間まとめ】質疑応答および後半の説明
10社会政策の理論と歴史―資本主義の生成と社会政策―
11日本的雇用システムと日本の社会政策の形成①―欧米の両戦間・戦時期の福祉国家体制・日本国憲法と社会政策―
12日本的雇用システムと日本の社会政策の変容①―新自由主義と労働・福祉政策の転換―
13日本的雇用システムと日本の社会政策の変容②―労働政策の転換と「日本的経営」の崩壊―
14【講義のまとめ】まとめ&質疑応答
【参考:春学期社会政策1】
1イントロダクションー社会政策とはどんな学問か―
2日本の社会政策をめぐる現状―働き方の変化と社会政策の課題―
3日本の雇用システムと労働市場の特徴
4日本の賃金決定のしくみと基準
5日本の雇用システムと労働市場の特徴まとめ
6日本の職場と労働時間問題①―日本の長時間労働と過労死の背景―
7日本の職場と労働時間問題②―24時間週7日経済と働き方改革―
8【中間まとめ】前半のポイントまとめ&質疑応答
9日本の職場と女性労働―キャリア形成とワーク・ライフ・バランス―
10「多様な働き方」と非正規雇用労働①―雇用システムの変化と処遇格差―
11「多様な働き方」と非正規雇用労働②―ワーキングプアと最低賃金政策―
12雇用・失業と社会政策
13労働組合と労使関係
14【講義のまとめ】まとめ&質疑応答
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
本講義は、パワーポイントに表示されるキーワードをレジュメの空欄に穴埋めしてもらうという形式をとっています。受講者の方々には、あらかじめレジュメをワード形式でmanabaにアップしたものをダウンロードしてもらいます。
また、みなさんの理解度を把握するために、小レポートを実施する回があります(前期中6回を予定。提出は1週間後)。その際は、期末試験に加算して総合的に判断します(1回5点満点)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
---|---|---|
期末試験(到達度確認) | 70 | 集合型試験(記述式試験)ないしは期末レポート(記述式試験に近い形式のレポート) |
レポート | 30 | 記述式試験と近い形式のレポートです。採点基準は、期末試験のものと同様です。 |
成績評価の方法・基準(備考)
・キーワードを理解したうえで、それが論理的に組み立てられて問に答えられているかどうかが論述のポイントです。
・レジュメに書いてある内容・キーワードを基礎にして、いくつかの箇所(回をまたぐことも当然ある)の内容を論理的につなぎ合わせ、ストーリーを作成している文章には高い評価をつけます。
※レジュメ1回分、一か所だけをコピペすれば書けるような問題にはなっていません。
⇒適切なキーワードを使用し、論理的なつながりを持った文章で問に対する答えを構成できているかを採点のポイントとします。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
日常的な授業内容やレポート提出などの質問については、manabaの個別指導コレクションの利用や、小レポート内で受け付けます。レポートの解説や質問の多かった内容については、初回・中間・最終まとめの回で、お答えする機会も設けたいと思います。
アクティブ・ラーニングの実施内容
その他/実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
面接授業、リアルタイムでのオンライン授業の際には、フォームを活用したアンケート等を実施することがあります。
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
・オンライン授業をリアルタイムで実施する場合、質問を受け付ける際にはチャット機能を利用します。
・面接授業、リアルタイムでのオンライン授業の際には、フォームを活用したアンケート等を実施することがあります。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキストは用いず、各時限ごとに配布するレジュメ・資料に基づいて講義を進める。
参考文献は、以下の通りだが、授業中に適宜紹介する。
・西村豁通・荒又重雄(1999)『新社会政策を学ぶ 第2版』有斐閣
・濱口桂一郎(2013)『若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす』中公新書ラクレ
・武田晴人(2019)『日本経済史』有斐閣
・石畑良太郎・牧野富男・伍賀一道(2019)『よくわかる社会政策 第3版』ミネルヴァ書房
・永田瞬ほか(2023)『働く人のための人事労務管理』八千代出版
・春田吉備彦ほか(2023)『生きのびるための社会保障入門』堀之内出版