シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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アジア法 | 2024 | 春学期複数 | 火1,木4 | 法学部 | 通山 昭治 | トオリヤマ ショウジ | 3・4年次配当 | 4 |
科目ナンバー
JU-IR3-004L
履修条件・関連科目等
現代中国およびその法現象に関心のある者
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
中華人民共和国(以下、中国)の公法を中心にその概要を講義する。
第1講では、中国の憲法制定史にはじまり、1949年の共同綱領、1954年・1975年・1978年憲法にくわえて、2022 年の12月で40周年をむかえた現行の1982年憲法とその5つの憲法修正案をとりあげる。さらに全国人大組織法・地方組織法や監督法・立法法などにもふれる。
第2講では、監察司法制度をとりあげる。つまり、行政監察制度、国家監察委員会制度(監察法・監察官法・監察法実施条例など)、裁判制度・人民参審員制度・検察制度などをとりあげる。
第3講では、刑事法(刑法と刑事訴訟法)と婚姻法(民法典を含む)を最後にとりあげる。
科目目的
科目の目的
現代「中国にとって法とは何か」、ひいては現代「中国にとって憲法とは何か」 といった難問にたいする初歩的な解明を通じて、わが国を含むアジアにおける「法とは何か」、ひいては「憲法とは何か」という問題について内在的に考えていくことで、受講生の視野をいっそう広げ、とりわけその特殊性が際立っている現代中国公法を中心に、とくに歴史的視点から諸論点を掘り下げて考える視座や感覚をしっかりとつかむこと。
到達目標
到達目標
1中国憲法および中国憲法史については、まず中国政治史を含む中国憲法史の基本的な流れ(そのストーリー性・物語性を含む)を正しく把握することができ、ついで中国のそれぞれの憲法、特に中国1982年現行憲法とその5回にわたる一部改正の内容や人民代表大会およびその常務委員会のいわゆる「4つの機関」(政治機関・国家権力機関・業務機関・代表機関)性などについて一定の内在的な理解を深めることができる。
2中国の監察・司法制度等については、原理的に三権分立が否定されることにより、「政治機関としての監察委員会」の新設、「司法権の独立」や「裁判官の独立」などがそもそも認められていない点などを深く理解できる。また、人民参審員制度について日本の裁判員制度との異同や検察機関の特異性などを正しく理解できる。
3 中国の刑事法については、11の「刑法修正案」を含む刑法における「罪刑法定」主義の中国の現状などを深く理解でき、3回にわたり改正された刑事訴訟法におけるいわゆる「無罪推定」の中国の現状等を深く理解できる。また、建国後の中国婚姻法の変遷(1950年法・1980年法・2001年改正法)にはじまり、最近の「一人っ子政策」の緩和措置(いわば「三人っ子政策」の採用)や2020年民法典婚姻家庭編などの重要な論点までをそれぞれ深く理解できる。
授業計画と内容
第1回 ガイダンス(「中国法の遺伝的体質について」
(第1講 現代中国憲法史ほか)
第2回 現代中国憲法史その1 共同綱領(臨時憲法)
第3回 現代中国憲法史その2 1954年憲法(最初の正式の憲法)
第4回 現代中国憲法史その3 1975年・1978年憲法
(文革・文革修正型憲法)
第5回 1982年現行中国憲法の原点(その6つの原点)
第6回 1982年憲法30周年とその後(「社会主義的憲政肯定」論の4つの特色)
第7回 2018年改正憲法および中国憲法40年のその「憲政」
第8回 中国憲法関連法その1(国家憲法日・憲法週間、憲法への宣誓、国家勲章・栄誉称号法など)
第9回 中国憲法関連法その2(全国人大組織法、地方組織法など)
第10回 中国憲法関連法その3(立法法、監督法など)
(第2講 現代中国の監察司法制度ほか)
第11回 総論その1 林彪・江青反革命集団裁判について
第12回 総論その2 人民法院建設(1978~2005)
第13回 紛争解決制度その1(裁判制度)
第14回 紛争解決制度その2(検察・弁護制度)
第15回 紛争解決制度その3(人民参審員制度)
第16回 国家監察委員会その1(監察法・監察法実施条例など)
第17回 国家監察委員会その2(監察官法・公職要員政務処分法など)
第18回 補足1-中央規律検査委員会による党の規律処分について
第19回 補足2-中国行政監察史論(1986年-2010年)
(第3講 現代中国の刑事法と婚姻法史ほか)
第20回 刑事法その1(類推規定をもつ1979年刑法)
第21回 刑事法その2(類推規定が削除された1997年刑法・11の「刑法修正案」ほか)
第22回 刑事法その3(中国における正当防衛論)
第23回 刑事法その4(1979年刑事訴訟法・1996年刑事訴訟法ほか)
第24回 刑事法その5(2012年および2018年改正現行刑事訴訟法)
第25回 家族法その1(1950年婚姻法・1980年婚姻法)
第26回 家族法その2(2001年改正婚姻法と計画出産と法ほか)
第27回 家族法その3(中国初の2020年民法典の婚姻家庭編などについて)
(まとめ)
第28回 現代中国公法の位相
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
レジュメや参考書などをよく熟読して予習復習してください。事前または講義の当日に配布されるレジュメを反復して熟読し、疑問点があれば、それを講義の時に担当講師に直接ぶつけてください。とくに復習を重視してください!
レポートの課題本として選択した書籍以外にもどしどし挑戦してください。少なくとも、3冊以上は読破してください。レポートは、そのうち、1冊の読書感想文です。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 85 | 1回20点3000字の到達度証明レポート3回と25点の5000字の読書感想文で評価する。とくに3回の到達度証明レポートでは、科目の目的と到達目標に照らして5点刻みで加点する。 |
平常点 | 15 | 28回のうち、2回で1点の平常点で評価し、満点にかぎりさらに1点を加点する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
4回のレポートは、以下の通りです。
Ⅰ 5000字の読書感想文(25点満点)は、こちらで10数冊程度の中国関連の課題本を指定します。そのなかから1冊だけを自由に選んで読書感想文を作成していただきます。
Ⅱ 下記の3回の到達度証明レポート(1回分が20点満点X3=60点満点)を作成し、提出していただきます。
①中国憲法史等の第1講にかんするもの。
②中国監察・司法制度等の第2講にかんするもの。
③中国刑事法・婚姻法史等の第3講にかんするもの。
以上を締め切り期限までにかならずご提出願います。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキストはなし。基本的にレジュメを事前または講義の当日に配布する。
参考書としては、
田中信行編『入門中国法(第2版)』(弘文堂)
髙見澤磨・鈴木賢・宇田川幸則・徐行『現代中国法入門〔第9版〕』(有斐閣)
などがある。
その他特記事項
遅刻や欠席をせずに授業に積極的に参加してください。
参考URL
とくにありません。