シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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演習Ⅱ | 2025 | 秋学期 | 月3 | 商学部 | 山田 哲弘 | ヤマダ アキヒロ | 3年次のみ | 2 |
科目ナンバー
CM-IF3-12XS
履修条件・関連科目等
3年次配当の事前登録科目です。
演習Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・論文はセット履修科目です。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
〔テーマ〕
会計情報を用いた企業・市場・制度の分析
山田ゼミの特色は会計学の一分野である「経営分析論」について専門的に学習・研究できることです。
いろいろな考え方があるので一概には言えませんが、会計学は企業活動を公正なものにするために「経済活動をできるだけ網羅的に正確に記録し、それを利用する、それに関係する事象について分析する、あるいはその仕組みを考える」ことを目指した学問であると思います。山田ゼミでは、主に会計情報を「利用する」あるいは「企業の経済活動に関係する事象について分析する」部分に焦点を当てています。
そもそも会計情報(財務情報)とはどのようなものでしょうか?会計の対象となる経済活動(ビジネス)には、財やサービスを生産し取引(売買)する、財を保有する、お金を貸す・借りる・支払う・調達するなどの様々な活動が含まれます。人々が経済活動を行うとき、それを記録し確認したいと思うことは自然なことでしょう。実際、経済活動を記録するという意味での会計の歴史は非常に古く、例えばメソポタミア文明では人々が農耕生活へ移行したことに伴い穀物や家畜の数量をトークンという粘土製のコマで記録するようになったといわれています(私の専門ではありませんが、会計の歴史に興味がある方はぜひ「会計史」という分野を学んでみてください)。現在では、世界中のほぼすべての企業において、日々、経済活動が記録され、上場企業では年(あるいは四半期)に一度のペースで財務報告資料として一般に公表されています。要するに、公正な経済活動を行うために、企業あるいはそれにかかわる人々の様々な活動が貨幣価値で把握できる範囲において網羅的にほぼ正確に記録されているのです。逆に言えば、私たちは会計情報を分析することで、その背景にある企業や人々の様々な行動やその意図を明らかにできる可能性があると言えます。同時に、会計情報ではとらえきれない企業行動について理解することで、会計情報と非財務情報を組み合わせたより適切な経営分析を行うことができるようになります。
分析の例として、会計情報は様々な契約に利用されているかもしれません。株主や銀行・金融機関は多かれ少なかれ、企業や経営者の評価に会計情報を用いるでしょう。このとき、会計情報を分析することで、表面的にはなかなか観察できない企業内部の活動を読み取ったり、場合によっては情報に織り込まれた「ウソ」を発見できれば、より適切な評価や資金提供が可能となるでしょう。立場を変えて、企業側から考えると、会計情報に「自分は優れた企業・経営者である」という情報をいかに織り込むかは、企業や経営者の評価を左右する重要なポイントとなり得ます。会計情報の内容によって、企業や経営者の評価、資金調達額が変化するかもしれないのです。
もちろん、ウソをつく経営者は信頼を失います。信頼は契約と並んで経済活動を支えていると言われています。株主は信頼できない経営者を雇い続けることはできませんし、信頼がない企業と取引を続けることは困難です。信頼のような貨幣価値で測定できないものは、一般的には会計情報から読み取ることができないため、その現象を丁寧に観察しコンテキストを読み解く姿勢が非常に大切です。ゼミでは会計情報の理解に加え、統計分析にとどまらない検討をしっかりと加えることで、経営分析の基礎を身に着けます。
どんなに馬鹿げたアイディアであっても、「これは会計か?」と思うようなテーマであっても歓迎します(実際のゼミ生の研究テーマはウェブページの「ゼミ生情報」をご覧ください)。
皆さんと一緒に研究ができることを楽しみにしています。
〔授業計画〕
(3年次)
グループでテーマを設定し、演習論文の作成とその報告を通して、論文の読み方、統計的な分析手法、プレゼンテーションの方法など、実証研究の進め方や論理的な議論の進め方の基本を習得します。
(4年次)
個人でテーマを設定し、卒業論文を作成します。
なお、学内外の学生・専門家を交えた研究報告会を予定しています。
科目目的
この科目は、カリキュラム上の「商学部アドヴァンスト科目」であり、商学部スタンダード科目及び商学部分野別専門科目の発展的な科目として位置づけされています。この科目での学習を通じて、主体的学習能力を習得することを目的としています。
実証会計分野の基本的な研究を行い、研究の報告、論文の作成を行います。
到達目標
会計情報の分析を通じて、基本的なレベルでの会計学の知識を習得、データ処理の手法、統計的分析手法等を身につける。加えて、それらの情報を整理し伝えるための基本的な技法についても修得することを目標としています。
授業計画と内容
あくまで予定であり、進捗により変更されます。
3年次
第1回 テーマの決定:関心事項についてまとめます
第2回 テーマの決定:関心事項から先行研究を絞り込みます
第3回 テーマの決定:先行研究を整理します
第4回 テーマの決定:先行研究から分析の論点と著者の立ち位置を明確にします
第5回 仮説の議論:先行研究に従って論点に関する仮説を設定します
第6回 仮説の議論:仮説までのロジックを整理します
第7回 仮説の議論:仮説について再検討しより意味のある仮説を設定します
第8回 仮説の議論:仮説と分析の接続を考えます
第9回 分析:DAGを作成します
第10回 分析:必要な変数を考えます
第11回 分析:データを取得します
第12回 分析:データから必要な変数を作成します
第13回 分析:記述統計等を作成し必要な分析をおこないます
第14回 分析:分析結果を解釈します
第15回 論文作成と研究報告:主張と分析結果を組み合わせエッセイを作成します
第16回 論文作成と研究報告:改めて主張を考えます
第17回 論文作成と研究報告:精緻化された主張をもとに、先行研究と仮説を修正します
第18回 論文作成と研究報告:分析結果をより正確に解釈します
第19回 論文作成と研究報告:報告資料を作成します
第20回 論文作成と研究報告:対外的な報告を行いフィードバックをもらいます
第21回 論文作成と研究報告:フィードバックをもとに報告資料を修正します
第22回 論文作成と研究報告:改めて対外的な報告を行います
第23回 論文作成と研究報告:最終的な論文を執筆するための準備をおこないます
第24回 論文作成と研究報告:論文を執筆します
第25回 論文作成と研究報告:グループでのディスカッションを通じて論文を推敲します
第26回 論文作成と研究報告:図表や参考文献を整え論文を完成させます
第27回 新しい研究計画の作成:卒論の研究計画の下書きを行います
第28回 新しい研究計画の作成:卒論の方向性について打ち合わせを行います
4年次
第1回 先行研究の確認:先行研究を探します
第2回 先行研究の確認:先行研究を整理します
第3回 先行研究の確認:先行研究と自身の主張の接点を考えます
第4回 先行研究の確認:改めて先行研究の見直しを行います
第5回 仮説の議論:主張から仮説を展開します
第6回 仮説の議論:先行研究による仮説の裏付けをおこないます
第7回 仮説の議論:仮説の妥当性について議論します
第8回 仮説の議論:仮説を修正します
第9回 分析:データを取得します
第10回 分析:記述統計などを作成し必要な分析をおこないます
第11回 分析:分析結果について議論します
第12回 分析:分析の修正をおこないます
第13回 分析:分析結果について議論し、妥当な解釈が行われているか確認します
第14回 分析:分析結果をまとめます
第15回 論文作成と研究報告:主張の確認をおこないます
第16回 論文作成と研究報告:主張、先行研究、仮説、分析結果を整理します
第17回 論文作成と研究報告:エッセイを作成します
第18回 論文作成と研究報告:対外的な研究報告をおこないます
第19回 論文作成と研究報告:研究の修正を必要に応じて行います
第20回 論文作成と研究報告:論文作成の準備を行います
第21回 論文作成と研究報告:論文を執筆します
第22回 論文作成と研究報告:図表の整理を行います
第23回 論文作成と研究報告:参考文献の整理を行います
第24回 論文作成と研究報告:論文をもとに議論します
第25回 論文作成と研究報告:文章などの修正を行います
第26回 論文作成と研究報告:論文をもとにグループでのディスカッションを行います
第27回 論文作成と研究報告:最終的な論文の修正を行います
第28回 論文作成と研究報告:論文を完成させます
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
必要な学習・作業・検討・打合せ等は事前に済ませておくこと。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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平常点 | 50 | ゼミでの取り組み、学内外での研究報告 |
その他 | 50 | 論文の提出 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う/その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
授業時間内外を問わず、適宜、必要なサポートを行っています。
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション/実習、フィールドワーク/その他
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
他大学、他ゼミとの合同ゼミを予定しています。
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
データの処理や統計的処理を行う際に、PCを利用します。
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
政府系金融機関での勤務、特に融資業務、コンサルティング業務。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
例年、就職活動前にゼミでの研究・学習内容と実際の経済活動との関係づけを行うことを目的として、政府系金融機関の方をお招きし、実際の業務等について講義していただいています。
テキスト・参考文献等
〔テキスト〕
適宜、紹介します。
その他特記事項
〔募集人数〕
15名
〔募集方法〕
〇レポート(manaba「レポート」利用)
〇面接試験
〔課題図書〕
〔注意事項〕
〔国外実態調査〕
実施しない
〔授業で利用するソフトウェア〕
(多くの場合に利用)
FinancialQUEST
(必要に応じて利用)
S&P Capital IQ Platform
日経ValueSearch
IBM AMOS
IBM SPSS
参考URL
https://sites.google.com/site/akihiroyamadalab/