シラバス
| 授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ギリシャ語(上級) | 2026 | 通年 | 火4 | 文学部 | 伊藤 雅巳 | イトウ マサミ | 2~4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
LE-OW2-SG20
履修条件・関連科目等
「ギリシャ語(初級)」の授業を既に学修しているか,古典ギリシャ語の初等文法を既に習得していることが望ましい.初等文法の未習者は「ギリシャ語(初級)」を併せて履修することが望ましいが,初等文法を独習するなら,その限りではない.
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
プラトン『ゴルギアース』篇を古典ギリシャ語の原文で読む.
『ゴルギアース』篇は,プラトーンの初期対話篇の一つで,無名氏の『プラトン哲学への序説』では,プラトーン哲学への入門として,『アルキビアデース(Ⅰ)』に次いで,2番目に読むべき対話篇として挙げられている.「弁論術について」という副題が付けられているが,議論の主題は,それに留まらず,正しさと幸福をめぐる問題,快楽主義,政治と哲学をめぐる問題など,多岐にわたっている.今年度の授業では,前期にプロローグと第1幕,後期に第2幕を読む予定である.
背景的な説明は,授業担当者〔伊藤〕が補うので,各自の日常的な直感と照らし合わせながら,議論の流れを追って欲しい.
この授業は演習形式で行なう.テキストの文法的な註釈(Grammatical Notes)を作成するので,受講者は,それを参考にしながら,テキストの和訳に取り組んで欲しい.始めのうちは,授業担当者〔伊藤〕がGrammatical Notesに即して文法的な説明を行ない,私訳を示すが,受講者の語学力を考慮しながら,少しずつ,受講者に和訳を担当してもらうようにする.各参加者が担当した和訳については,他の参加者と共に検討し,授業担当者〔伊藤〕が文法的な説明などを補足しながら私訳を示す.その上で,解釈上の問題を提示し,それについて全員で議論する.
科目目的
何より古典ギリシャ語に習熟することが本講の狙いである.古典ギリシャ語の原文を読むことで,翻訳では分からない —— あるいは,分かった気になって,却って気付かない —— 原文の微妙なニュアンスを味わって欲しい.これに加えて,西洋倫理思想の幾つかの重要な概念について理解が深まれば,一石二鳥である.これらは,幅広い教養と学科・専攻に係る専門知識を獲得することに資するところがあると思われる.
長文の読解を通じて,古典ギリシャ語の初等文法を復習しながら,さらに習熟することを第一の目的とするが,欄外校訂註の扱い方など,古典文献学の初歩についても,適宜,指導する.
到達目標
辞書と文法書(「ギリシャ語(初級)」で用いた教科書)さえあれば ―― たとえ首っ引きであっても ――,古典ギリシャ語で書かれた文を曲がりなりにも読める(/訳せる)ようになることを到達目標とする.
まず,(1)辞書を使いこなせるようになること(―― 変化形・活用形から見出し語を特定し,記載された語義・用法の中から読解に必要な情報を読み取ることができるようになること),次いで,(2)文法書が使えるようになること(―― 取り敢えず,「ギリシャ語(初級)」で用いた教科書を文法の手引きとして用い,知りたいと思う事柄がどこに記載されているかを見付けることができ,そこから必要な情報を読み取ることができるようになること),そして,(3)Grammatical Notesを参考にしながら,正しく訳せるようになることが最低限の到達目標となる.その上で,(4)テキスト解釈の要所・問題点を指摘し,自分の解釈を提示することができるようになれば,申し分ない.
授業計画と内容
テキストの内容紹介を兼ね,通年で読了する予定で計画を記しておくが,受講者の習熟度に合わせてペースを調整するので,あくまでも目安である.
【前期】
第1回 テキスト解題/辞書,文法書,註釈,邦訳などの紹介.
《プロローグ》
第2回 ゴルギアースとは何者か? (§§ 1~2)
《第1幕 ソークラテース vs. ゴルギアース》
第3回 演説と対話 (§ 3)
第4回 弁論術の対象について(1): 弁論術は言論に係わる (§ 4)
第5回 弁論術の対象について(2): 言論に係わる他の技術 (§ 5)
第6回 弁論術の対象について(3): 弁論術は人間に係わりのある事柄の中で最も重要で最も善いものに係わる (§ 6)
第7回 人間にとって最も善いものとは何か? (§7)
第8回 弁論術とは言論によって人を説得する能力である (§8)
第9回 〈知識を齎す説得〉と〈知識を伴わず信念だけを齎す説得〉 (§ 9)
第10回 弁論術の〈力〉とは何か? (§ 10)
第11回 弁論家は,何を論ずるにせよ,説得力において他の専門家に引けを取ることはない(§ 11)
第12回 幕間 (§ 12)
第13回 弁論家は,知識をもたない人々の前でなら,専門家より説得力において上回る (§ 13)
第14回 弁論術の不正使用について (§§ 14~15)
【後期】
《第2幕 ソークラテース vs. ポーロス》
第15回 対話相手の交代 (§ 16)
第16回 弁論術とは,或る種の〈熟練〉である (§ 17)
第17回 弁論術は〈迎合〉を事とする (§ 18)
第18回 4種の〈技術〉と〈熟練〉(あるいは迎合)の対応関係 (§§ 19~20)
第19回 〈力がある〉とは,自分の思い通りにすることか? (§§ 21~22)
第20回 〈善いもの〉,〈悪いもの〉,〈善くも悪くもないもの〉: 行為の〈目的〉について (§ 23)
第21回 〈不正を働くこと〉より〈不正を受けること〉の方が善い (§§ 24~25)
第22回 不正を働きながら幸福な生を送ることは可能か? (§§ 26~27)
第23回 不正を働きながら裁きを受けず処罰されないことは,裁きを受けて不正に対する罰を受けるより不幸である (§§ 28~29)
第24回 〈美〉と〈善〉 (§§ 30~31)
第25回 〈すること〉と〈されること〉 (§ 32)
第26回 最大の悪としての〈魂の劣悪さ〉(§ 33)
第27回 幸福な人と不幸な人のランキング (§§ 34~35)
第28回 弁論術の効用 (§ 36)
授業時間外の学修の内容
その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業で扱った箇所について疑問点が残っていないかどうかを確認し,次回で扱う範囲のテキストの和訳をGrammatical Notes等を参考に準備する.
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり1時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
| 種別 | 割合(%) | 評価基準 |
|---|---|---|
| 平常点 | 100 | 担当箇所の和訳を,訳の正確さ,および,Grammatical Notesをどれだけ理解し活用できたかという観点から毎回採点し,前期・後期を通じて理解度・習熟度の進歩具合を見た上で,先に示した「到達目標」を踏まえて,総合的に評価する. |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
《テキスト》
E. R. Dodds (ed.), Plato : Gorgias. A Revised Text with Introduction and Commentary, Oxford UP : Oxford, 1959. (ギリシア語テキストの部分をPDFファイルで公開する)
《邦訳》
三嶋輝夫〔訳〕 『ゴルギアス』,講談社学術文庫,講談社,2023
中澤務〔訳〕 『ゴルギアス』,光文社古典新訳文庫,2022
藤沢令夫〔訳〕 『ゴルギアス』 (田中美知太郎編 『プラトン名著集』 所収),新潮社,1963
藤沢令夫〔訳〕 『ゴルギアス』 (田中美知太郎責任編集 中公バックス 世界の名著 6 『プラトンⅠ』 所収),中央公論社,1978
加来彰俊〔訳〕 『ゴルギアス』 (『プラトン全集9』 所収),岩波書店,1974
加来彰俊〔訳〕 『ゴルギアス』,岩波文庫,岩波書店,1967
《辞書・文法書》
初回の授業でプリントを配布して紹介するが,インターネットで閲覧できるものもあるので,高価な辞書や文法書を買い揃える必要はない.
その他特記事項
受講者は初等文法を既に習得してしていることが望ましいが,古典ギリシャ語で書かれた原典を読んでみたいという意欲があれば,その限りではない.受講者の習熟度に合わせて進めるので,意欲のある学生は,奮って参加して欲しい.