シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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法解釈演習 B | 2024 | 秋学期 | 木1 | 法学部 | 野田 陽一 | ノダ ヨウイチ | 1年次のみ | 2 |
科目ナンバー
JU-AD1-002S
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
第一に、法適用の基本を身につける。条文をきちんと読み、適確に法適用ができる能力を養う。
第二に、こうした技法の先にある価値判断の世界へ学生を誘う。法律学の議論のマナーにしたがいつつ、価値判断ができるようになる素地を養う。そのために、価値判断が分かれている問題について、現在の対立状況を整理した上で(論点整理をした上で)、自らの意見を説得的な形で展開するという体験を得させる。
その素材として、反対意見等がついた最高裁判例をとりあげる。最高裁の裁判官たちの評議の場に乱入し、同じ土俵の上で仮想的に議論を戦わせてみることを目指す。
科目目的
この科目では、実定法学(解釈学)の方法論を学び、実践することを目的とする。
法解釈演習では、まずは、1条文を探し、2これを読んで情報を整理し、3例えば条文の内容をチャート化するなどしてその正確な理解を図り、4あてはめを行うという「文字通りの適用」のプロセスを正確に行うことができるようになることを目的とする。そして、こうした「文字通りの適用」によってでてくる結論について、5総合的な考察によりその妥当性を評価し、妥当ではない場合に6発展的な解釈(拡張解釈・縮小解釈・類推解釈等の解釈技法や、条文の削除や補正や追加といった方法)を駆使し、妥当な結論にいたる法解釈を行うことができるようになることも、さらなる目的とする。
この科目では、1から4のプロセスを確実に進めることができることをまずは学ぶ。その上で、5と6ついて、いわば「いったりきたり」、試行錯誤しながら妥当な結論にいたるより良い解釈が何であるかを考えるという思考ができるようになることも目指す
到達目標
まず第一に、上記の方法論の全体像をつかむこと。そして第二に、適用される条文が示されている状況にあって、その条文を事案にあてはめて結論をだすことができること、つまり、「文字通りの適用」(上の図の1・2・3・4)ができるようになること。第三に、論点について、議論の対立状況を整理できること。第四に、論点について、さしあたり一つの見解を自らの見解として論拠を示して展開できること、すなわち、5と6を体験してみること。もちろんこの最後の段階は、初年次では体験にとどまるのであって、本格的にこれをするのは専門演習が担うべきことといえるが、法学部における法律学教育の目標がどこにあるかを早い段階で具体的に見せておくことが必要であり、初年次の段階で少なくとも体験しておくことは必要であると考える。
授業計画と内容
第 1 回 法の解釈の概要の説明 テキスト第 1 部 第 1 章〜第 3 章
第 2 回 民法の前期試験の振り返り
第 3 回 条文を探す テキスト第 II 部 第 1 章〜第 3 章
第 4 回 条文を読む(1) 条文を要件と効果にわける テキスト第 II 部第 4 章
第 5 回 条文を読む(2) 条文をフローチャート化する テキスト第 II 部第 5 章
第 6 回 条文を読む(3) 定義を明らかにした上で、適用を行い、結論をだす。テキスト第 II 部第 6 章
第 7 回 包摂と文章化(1) テキスト第 II 部第7章
第 8 回 包摂と文章化(2) 第 7 回とは別問題に取り組む
第 9 回 発展的な適用(1) 民法 177 条の「第三者」の縮小解釈 テキスト第 II 部第 8・9章
第 10 回 発展的な適用(2) 民法 94 条 2 項の類推解釈 テキスト第 II 部第 8・9章
第 11 回 実戦形式の練習(1) 国籍法違憲無効判決を読む(1) 一つの論点につき多数意見と反対意見を要約する
第 12 回 実戦形式の練習(2) 国籍法違憲無効判決を読む(2) 一つの論点につき自らの意見を展開する
第 13 回 実戦形式の練習(3) 国籍法違憲無効判決を読む(3) 別の論点につき自らの意見を展開する
第 14 回 実戦形式の練習(4) 国籍法違憲無効判決を読む(4) まとめ(自分が最高裁の裁判官の一員になったつもりで意見を書いてみる)
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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平常点 | 100 | 毎回の課題の取り組み状況 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
2009年3月 中央大学法学部卒業
2011年3月 中央大学法科大学院修了
2012年12月 弁護士登録、三宅坂総合法律事務所入所
2014年 4月 中央大学法科大学院実務講師(2017年3月まで)
2020年 7月 東京国税不服審判所国税審判官(2023年7月まで)
弁護士としては、争訟・紛争解決、事業再生支援・倒産処理及びM&Aを中心に、企業法務を取り扱っています。法科大学院の実務講師としては、民事法の事例演習を担当していました。国税審判官としては、国税に関する審査請求事件の調査・審理を行っていました。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
法解釈演習では、条文を探し、これを正確に理解し、あてはめを行った上で、その結果の妥当性を評価し、より適切な法解釈を検討します。このプロセスは、弁護士や国税審判官の職務を遂行するにあたり、避けては通れないものです。法科大学院での講師の経験も活かしながら、学生が法解釈の基礎を習得し、民法等の勉強に弾みがつくような授業にしたいと考えています。
テキスト・参考文献等
テキスト
森光『法学部生ための法解釈学教室』(中央経済社・2023 年)