シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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比較政治論1 | 2024 | 春学期 | 火3 | 法学部 | 古賀 光生 | コガ ミツオ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-PS3-012L
履修条件・関連科目等
履修条件はありません。ただし、政治学(政治学科は必修)の知識を前提とします。政治学科以外の学科の学生は、並行して履修することで理解が深まります。そのほか、国際政治学や行政学、現代政治理論、国際政治史の知識があると講義の理解が深まります。政治学科の学生で未履修の方は、並行履修を検討してください。
政治過程論1と政治史B1を並行して履修することも強く推奨いたします。特に、この講義と同じ教室で連続して開講される政治史B1で扱う内容は、既習のものとして特段の説明なしに講義に用います。並行して履修しない場合は、講義レジュメ等を利用して自習することを推奨します。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
比較政治学の基本論点を学習します。具体的には、社会運動、選挙、政党、議会、議院内閣制と大統領制など、政治システム内の入力過程を中心に選好の諸理論を紹介しつつ、その理論形成の背景にある事例を紹介します。
科目目的
カリキュラム全体において比較政治学にはいくつかの役割が期待されています。その役割を大きくまとめるとふたつの系統に分類できるでしょう。
まず、政治学の理論についての理解を深めるための機会という役割です。この講義(比較政治論1)では「新制度論」や「合理的選択理論」などの知見を活用しつつ、様々な政府の政策の体系を実際に存在するいくつもの「パターン」に分類して整理しながら理解することを目指します。理論という言葉を聞くと、多くの方が自然科学にような普遍的法則性の体系化を想像されるかもしれません。政治学においてもそのような理論が形成できる(すべき)という立場の人もいるのかもしれませんが、講義担当者(古賀)はあまりそのようには考えていません。むしろ、一定の条件の下での人々の行動に予見可能な影響を及ぼすであろう制度的な配置を検討するため、人々の行動の傾向を確率的に把握するために置いた一定の前提の下で分析可能な範囲を限定しつつ、その範囲を超えて生じている現状に対して一般化可能な部分とそうでない部分を分けるために理論が必要である、と考えています。
このような観点から、この講義で受講生に求められるのは既存の分類を丸暗記することではありません。先行する諸分類がどのような根拠で形成されたのかを確認しつつ、そのような分類の意義、あるいは分類によって理解できることは何かを掴んでください。そのうえで、現実の問題に取り組む際にそれらを道具として活用できるようになるスキルこそ学生に求められるものです。
第二の役割として、現実を相対化する視点を身につけることがあります。根幹においては前述の理論とも共通しますが、政治学に限らず社会科学においては様々な現実の問題をどのような視点から理解するのかが重要になります。学問を修める意義のひとつには、自分が持っている先入観を相対化して、目の前の現象がなぜ生起したのか、他の可能性は存在しなかったのか、今後は別のやり方で対処することは可能か、可能であるとすればどのような方法があるのか、といったことを検討する能力が身につく(ことが期待される)ことにあります。
比較政治学はこのような能力を、様々な政治体系を比較して「現実に存在している、他のやり方」を検討することで身につけるよう試みます。比較政治論1では、例えば政府間関係や福祉国家などについて検討することで、現在の社会状況に対して政治(あるいは政府)がどのような役割を果たしているのかについての様々なパターンを確認します。こうした学びを通じて、受講生の皆さんが取り組んでいる(あるいは今後取り組むであろう)現実に対してどのような可能性があるのかを考える足掛かりを築くことを目的とします。
到達目標
上記の科目の目的を踏まえて、以下の2つの到達目標を設定します。その2つの到達目標は、この講義の単位を取得するうえで不可欠な要素と、その要素を習得したことを前提としたより高次の目標に分かれます。
まず、必須の到達要素として講義で紹介される様々な比較政治学の理論を習得するを設定します。「理論を習得する」とは、既に述べたように、既存の様々な議論を丸暗記することを意味するものではありません。どのような問題関心に立って、どのような制約の下で、既存の理論が形成されたのかを明らかにすることまで含みます。
次に、発展的な到達目標として、それらの理論を踏まえて自らが取り組む課題について一定の見解を組み立てて説得的に他者に提示できるようになることを設定します。
これらは学期末試験や一部レポートを用いて「(1)講義で身につけた理論を用いて」「(2)比較という手法を採用し」「(3)具体的な問題に自身の見解を」「(4)論理的な根拠を提示しつつ」回答する能力を確認します。
授業計画と内容
以下のスケジュールで講義を進める予定です。
毎年、講義の内容が少しずつ異なります。
比較政治論1
01.イントロダクション:政治システム論、合理的選択論、新制度論
02.社会運動(1):集合行為論と運動の組織化
03.社会運動(2):政治的な機会構造と運動の合理性
04.政党(1):古典的政党類型論の歴史的背景
05.政党(2):現代の政党論
06.政党(3):政党行動論
07.議会と選挙(1):選挙制度と政党の競争
08.議会と選挙(2):政党システム論
09.議会と選挙(3):議会運用のモデル化
10.政党と連立(1):古典的モデルとその限界
11.政党と連立(2):連立研究の現在
12.執政(1):議院内閣制とその変容
13.執政(2):大統領制の類型
14.講義のまとめ
※ 講義タイトルが異なっていても基本的な内容は昨年度(の比較政治論2)と共有する部分がたくさんあります。 昨年度のレジュメは以下のフォルダ内にありますので履修選択の際には参考にしてください。なお、フォルダのアクセスには全学アカウントへのログインが必要です。
https://drive.google.com/drive/folders/1IxoPlOYBK-7nTuFgdhrDZ0Opfv_0mNPn?usp=share_link
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
講義の予習と復習を義務とします。
【予習】1時間程度を想定しています。ただし、個人差もあるでしょう。
manaba上からレジュメを入手して目を通してください。そこで示された内容や参考文献を活用して講義概要を把握しつつ、予習で分からなかった点を明らかにしたうえで講義に臨んでください。
【復習】2時間程度を想定しています。ただし、個人差もあるでしょう。
講義の概要を各自でまとめたうえで講義で示された練習問題に回答してください。
※ 任意の書評レポートは講義内容と密接に関わる課題文献を対象とするものです。加点そのものには強い魅力を感じない学生の方にも講義理解を深めるためにレポートに取り組むことを推奨いたします。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 100 | 2つの到達目標の両方を試験で確認します。そのため、やや分量の多い試験にならざるを得ません。限られた時間内で沢山の文字を書くことを負担に感じる場合には、下記を参考にして、試験以外の加点要素にも挑戦してください。 |
成績評価の方法・基準(備考)
原則として試験で成績を認定しますが、限られた時間内で多くの問題に回答することに負担を感じる受講生や、一回きりの試験ではなく日々の課題への取り組みを評価してほしいと考える受講生の要望に応えるという位置づけで、加点要素を複数設定いたします。
学期末試験は二部構成となっており、前半は比較政治学の理論に関する基本的な理解の確認(用語解説)、後半はその応用の確認(論述試験)となっています。持ち込み一切不可の60分の試験で、すべて論述問題です。
前半部分については平常点や書評レポートの提出によって一部代替することを認めます(全部ではないので気を付けてください)。後半部分については学期末レポートの提出によって全部を代替することを認めます。学期末レポート等の書式については初回の講義で説明します。なお、前掲の講義資料フォルダに昨年度の書式の説明や課題図書の一覧が掲載されていますので履修計画の参考にしてください。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
その他
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
講義では、レスポンを利用して簡単なアンケートを行うなど、学生からの応答を期待した双方向授業を実施します。平常点の一部はこのアンケートの結果を踏まえて加点しますので、レスポンを利用できる環境を整えて講義に出席してください。
授業におけるICTの活用方法
タブレット端末/その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
講義ではレスポンを利用しますので、ICT端末(タブレットでも、スマートフォンでも、PCでも可)の持ち込みを推奨いたします。講義中にリアルタイムでのコメント等を歓迎いたします。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
特定のテキストは使用しません。講義の概要を記したレジュメをmanaba上に公開します。
その他特記事項
講義が始まってからは、質問等はすべてmanabaを通じて受け付けます。
参考URL
講義担当者による対外的な発信のツールは、下記のとおりです。
https://www.mituokoga.com/
https://twitter.com/mituokoga
ただし、いずれも学外を意識したもので、講義に必要な連絡はすべてmanabaを通じて行います。manabaからの通知が届くように設定しておいてください。また、連絡先は前掲のメールアドレスを用います。上記からご連絡いただいても応答できません。