シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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政治史B2 | 2024 | 秋学期 | 火4 | 法学部 | 古賀 光生 | コガ ミツオ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-PS3-021L
履修条件・関連科目等
履修条件は設定しません。ただし、西洋史の基本的な知識前提として講義を進めます。不安のある学生は、総合教育科目の歴史B1・B2と並行して受講するか、別途提示するオンライン教材を活用することをお勧めします。歴史B1・B2が履修済みである学生は不安を感じる必要はありません。政治史B2のみを履修することも可能ですが、理解を深めるためには歴史B1と合わせて履修することを強く推奨いたします。
関連の科目としては、国際政治史、国際政治を履修済みであると講義の理解が円滑になります。未履修の方は並行履修も検討するか、シラバス等を参照して各自で学習することを薦めます。また、政治史A1・A2、政治思想史B1・B2、EU政治論1・2、等と並行して履修するとさらに理解が深まるものと思われます。
この講義は火曜日の4限目に開講されますが、同じ曜日の3限目に、同じ教室で、比較政治論1・2が開講されています。担当者が同じですので、関連する内容がたくさんあります。並行して履修すると理解が深まります。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
この講義では、第二次世界大戦以降の西欧の政治史を中心に扱います。主な関心は、戦後秩序、経済変動への政治的な対応、グローバル化とポピュリズム、等になります。
科目目的
カリキュラム全体において、政治史Bの講義には(1と2を総合して)ふたつの目的があります。
第一に、近代以降の政治における諸概念の基礎となる制度が立ち上がった場面を具体的に想起できるように、実際の出来事を基礎として過程を把握することです。具体的な過程を把握することが概念の内実を精密に理解することに繋がり、より高度な一般的・抽象的な思考を可能にすると想定されます。
このような目的に即して考えると、政治史B2の目的のひとつは、福祉国家の形成や発展、あるいはその成熟の過程において、議会制民主主義がどのような役割を果たしたかを具体的な過程に即して理解することが挙げられます。
第二の目的として、政治学における「(実証的な)理論」形成の具体的な過程を経験することです。
政治学に限らず、多くの学問が具体的な観察事実を基礎としつつそれを包摂する「理論」の形成を試みます。それらは、もちろん、新たな観察事実によって修正される可能性のある「仮説」的なものではあります。しかしながら、「理論」や「分析枠組み」なしには、ばらばらに見える膨大な事実は観測することすら困難になりますので、政治や歴史に限らず、社会的な現象を観察するためには何らかの枠組みが必要になります。
政治学を学ぶ際には、既存の理論を身につけること自体は重要ですが、それだけでは不十分です。多くの場合、政治現象の表象は時代とともに変遷します。そのため、既存の理論を「そのまま」使うことは容易ではありません。そこで、背景にある社会認識や人々の行動原理への理解・想定を踏まえて、理論を修正しつつ活用する必要があります。このような修正には、理論の構造への深い理解が不可欠です。
政治史B2では、国家と社会の関係の分析のために整えられた諸理論を紹介しつつ、それらが具体的にどのような歴史的事象を分析する中で形成されたのかを検討します。
受講生の皆さんは、上記のふたつの目的を意識して講義に参加してください。
到達目標
上記の科目目的に照らして、以下のふたつの目標を提示します。
最初の目標は、具体的な歴史過程について理解することです。20世紀の西欧における具体的な歴史的諸事例を確認して、一定の枠組みに沿って出来事を整理できるようになることが最初の目標です。
次の目標は、これらの諸事例を整理するために用いた枠組を応用する能力を身につけることです。具体的には、21世紀の現在において、グローバル化に伴う人々の生活の条件の変動に政治がどのように対応するのかは極めて差し迫った課題です。こうした課題に取り組むためには、歴史的な展開を踏まえ、現在に至る変化の過程を知ることが不可欠です。講義で得た知見を活かして現状に対応できる能力を安なうことが、高次の到達目標です。
ふたつの目標は段階的なものといえるでしょう。つまり、最初の目標は「単位習得」のハードルであり、この目標に到達できれば(到達の水準を勘案しながら)単位が認められます。次の目標は、やや高い水準の要求ですので、この目標に到達した受講生に最高の評価を付与します。ただし、法学部の「Aコントロール」の要件を遵守するため、一定の水準に到達した受講生が既定の割合を超えた場合には相対評価を採用します。
授業計画と内容
以下のスケジュールで講義を展開します。
01.イントロダクション:戦後西欧政治史と比較政治の諸理論
02.戦後秩序の構築(1)―戦後再建と冷戦の影響
03.戦後秩序の構築(2)―福祉国家と「合意の政治」
04.高度成長期の政治(1)―社会変容と異議申し立て
05.高度成長期の政治(2)―社会変容への対応
06.高度成長期の政治(3)―1968年とその後
07.経済危機と脱工業化(1)―石油危機とそれへの対応
08.経済危機と脱工業化(2)―新自由主義の台頭
09.冷戦終結と欧州統合(1)―冷戦終結のインパクト
10.冷戦終結と欧州統合(2)―マーストリヒト条約をめぐる国内政治
11.冷戦終結と欧州統合(3)―第三の道と構造改革
12.現代の欧州政治(1)―ポピュリズムの西欧史における意義
13.現代の欧州政治(2)―欧州複合危機とそれへの対応
14.講義のまとめ
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
予習と復習を義務とします。
【予習について】1時間程度を想定しています。ただし、個人差もあるでしょう。
① 事前にmanaba上にアップロードされる講義レジュメとテキストの該当箇所を読み、授業内容を予習してください。事前の予習で分からなかったことや疑問に思ったことを整理して、講義に臨んでください。
② 上記の予習内容を踏まえて、manaba上に公開される「予習確認テスト」を受験してください。
【復習について】2時間程度を想定しています。ただし、個人差もあるでしょう。
① 講義の内容について各自で整理してください。合わせて、書評レポートも執筆してください。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 60 | 基礎的な概念を確認する部分と応用的な議論の両方を確認します。 |
平常点 | 40 | 講義に先立って、manaba上で予習テストを実施します。原則として、レジュメを参照しつつ、歴史の基本的な知識を確認する(身に着ける)ためのテストです。結果を集計して学期末試験の成績に加算します。また、講義中にレスポンを用いて質疑応答を行う場合があります。その参加度合いを成績に加味します。 |
成績評価の方法・基準(備考)
原則として、
平常点(予習テストと講義中の質疑応答):40点
学期末試験:60点
の点数配分で成績を決定します。
ただし、予習テストを受験できなかった場合に備えて、書評レポート課題を用意します。課題図書の中から一冊を選び、書評(2000字程度)を執筆して提出してください。
昨年度の書式等については、下記のフォルダにある昨年度講義の第一回のレジュメも参照してください。
https://drive.google.com/drive/folders/1TuitGSZ0_OSb6USqQ_gLG7r9q-vq8cpi?usp=share_link
※ アクセスには、全学アカウントへのログインが必要です。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
リアルタイムの講義であるため、学生からのレスポンスを期待します。
manabaでも質問を受け付けます。
アクティブ・ラーニングの実施内容
反転授業(教室の中で行う授業学習と課題などの授業外学習を入れ替えた学習形式)
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
リアルタイムの質疑応答は、反転授業の一環として活用します。
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
リアルタイムのオンライン講義はwebexを活用します。
webexにアクセスできる端末を各自でご用意ください。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
下記のテキストと参考文献以外にも、講義の概要を記したレジュメをmanaba上で公開します。
【参考文献-講義の準拠】
講義は下記の文献に沿って展開するものではなく、また、下記の3冊の本のすべてを政治史B2で扱うものではありません(B1で扱う時代も含まれています)。しかし、この講義で話される内容の基礎は下記の二冊で展開される議論に大きく依拠しています。予習と復習に活用してください。
① 中山洋平・水島治郎『ヨーロッパ政治史』放送大学教育振興会、2020年(出版予定)
… 講義で紹介する議論の多くが、上記文献に依拠します。ただし、講義で扱う時代よりも、本書のカバーする時代の方が広いという事情があり、この本に全面的に依拠して講義を展開することはできません。受講生の皆さんは本書を手元において予習と復習に臨みつつ、講義で話される内容をフォローして学習してください。
② 篠原一『ヨーロッパの政治』、東京大学出版会、1986年、¥2,800+税
… 前期の政治史B1で扱われる時代をカバーしています。政治史B1を履修していない学生は、本書で自習したうえで講義に臨んでください。
③平島健司・飯田芳弘『改訂新版 ヨーロッパ政治史』放送大学教育振興会、2010年、¥2,900+税
… この本は、①のテキストと同様に、政治史B1とB2で扱う時代の両方をカバーしています。主要な参考文献としていつでも参照できると便利です。
これら以外の主要な参考文献については、講義の中で紹介いたします。
その他特記事項
初回の講義で、講義の進め方や評価について改めて説明します。また、講義で説明した内容は、講義担当者のウェブサイト(http://www.mituokoga.com)に掲示することがあります。