シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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社会調査論/社会調査論2 | 2024 | 秋学期 | 他 | 法学部 | 大谷 晃 | オオタニ アキラ | 2年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-OG2-003L
履修条件・関連科目等
政治学、社会学関連の各科目の履修を進めていること。社会調査について学ぶ意欲があれば特に履修条件はない。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
この科目では、社会調査の中でもとりわけ質的調査の各手法と、総合的なフィールドワークについて講義を行います。授業前半では質的調査の歴史と各手法の概要を学び、授業後半ではフィールドワークの具体的な実践について学びます。
科目目的
この科目は、法学部での学びの【コース科目】として、現代社会を捉えるための社会調査に関する理論と方法を学びます。とりわけ、質的調査の理論・方法と実践に焦点を当てて、参加者それぞれがこれからの大学の学びや卒業後の進路において、社会調査のデータの活用と分析をすることができる基礎的な力を身につけてもらうことをめざします。
到達目標
この科目の到達目標は以下の通りです。
①社会調査、とりわけ質的調査に関する知識を深め、自らの考えを話せるようになること。
②社会調査、とりわけ質的調査の立案を自ら行い、データを活用・分析する基礎的な力を身につけること。
③調査を通じて新たな問いを立てる/自分の言葉で考える力を身につけること。
授業計画と内容
この授業は2つの部に分かれた構成で進めます。第Ⅰ部で学んだ理論と方法を中間レポートとしてまとめ、第Ⅱ部では質的調査・フィールドワークの実践例を通じて理解を深め、最終レポートでは自らの質的調査・フィールドワークを立案してもらいます。
第Ⅰ部 社会調査・質的調査の理論と方法
第1回 イントロダクション:社会調査とは何か?/社会調査の歴史
第2回 量的調査・質的調査とリサーチ・デザイン:「フィールド」を決めて調査する
第3回 質的調査の方法:インタビュー、参与観察、ドキュメント分析
第4回 質的データの分析手法:データを記録する、コーディングする
第5回 社会調査と調査倫理:社会の内側で考えることの意義と課題
第6回 社会学、政治学と質的調査①コミュニティ権力構造(CPS)論争:権力をどう測定するか?
第7回 社会学、政治学と質的調査②似田貝-中野論争:調査における「セルフ」の変化
➡ 第Ⅰ部の終わりに、中間レポートを提出します。
第Ⅱ部 質的調査・フィールドワークの実践
第8回 質的調査の実践①テキスト第1章 足跡をたどる
第9回 質的調査の実践②テキスト第2章 書庫をフィールドワークする
第10回 質的調査の実践③テキスト第3章 フィールドを往還する
第11回 質的調査の実践④テキスト第4章 他者を知る、自分を知る
第12回 質的調査の実践⑤テキスト序章・終章 日常でフィールドワークする
第13回 質的調査の実践⑥テキスト第8章 地域社会に関わる参与的行為調査へ
第14回 総括――それぞれが自分の学問/調査をはじめる
➡ 第Ⅱ部の終わりに、最終レポートを提出します。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
①授業時間に解説する範囲で、下記テキストの予習を課す場合がある。
新原道信編著『人間と社会のうごきをとらえるフィールドワーク入門』(ミネルヴァ書房,2022年)
②中間および期末レポートの作成と提出。
*各回のコメントペーパーは、原則として各回の授業時間内で作成時間を取る。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 70 | 授業の全体を通じて、2度のレポートの提出を課す。 ①授業の節目で提出を求められる中間レポートにおいて、授業内容をふまえ、論理構成力のある文章を作成する(30%)。 ②個々の事例と調査方法についての組み合わせが持つ意味について考察し、理解を深め、自らの調査研究を立案するかたちで、中間レポートに加筆する形で最終レポートを提出する(40%)。 |
平常点 | 30 | 授業への実質あるコミットメント(出席・聴講、manabaの閲覧など)、授業内容をふまえたコメントペーパーの提出。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
提出された各回のコメントペーパーやレポートの内容を取り上げて、授業時間内またはmanaba上でのリプライを教員より行う。
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)/反転授業(教室の中で行う授業学習と課題などの授業外学習を入れ替えた学習形式)/ディスカッション、ディベート/グループワーク/実習、フィールドワーク/その他
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
この講義では、講義や日常生活というデイリーワーク・フィールドワークのなかで書き(writing in the field, writing while committed)、後に参照して振り返ることができる社会への理解の「基点(reference points/anchor points)」をつくるということを一緒に試みます。
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
PC等の端末を各自が使用し、manabaの掲示板やwebexのチャット機能(オンラインの場合)などを活用する。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
《テキスト》
新原道信編著『人間と社会のうごきをとらえるフィールドワーク入門』(ミネルヴァ書房,2022年)。
《参考文献》
篠原清夫編『社会調査の基礎』(弘文堂,2010年)。
谷富夫・山本努編『よくわかる質的社会調査 プロセス編』(ミネルヴァ書房,2010年)。
谷富夫・山本努編『よくわかる質的社会調査 技法編』(ミネルヴァ書房,2010年)。
佐藤健二『社会調査史のリテラシー――方法を読む社会学的想像力』(新曜社,2010年)。
佐藤郁哉『フィールドワークの技法――問いを育てる、仮説を鍛える』(新曜社,2002年)。
佐藤郁哉『社会調査の考え方 上・下』(東京大学出版会,2015年)。
その他特記事項
■担当教員紹介■
私自身は、都営大山団地を中心とした東京の立川・砂川地域でのプロジェクト型のフィールドワークを長期間行ってきました(一昨年度博士論文を提出したばかりです)。とりわけ、中央大学のゼミの中での他の学生との議論や協業、その後は団地自治会役員の人たちとの地域行事の構想などに1人の担い手として関わる経験をし、地域を基点とした関係を築いてきました。今でも、自治会の人たちは「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」拡大時の影響を受けつつも、活動を組み替えながら継承を続けており、私もまたどのような関りが可能かを考え続けています。
この授業では、人間が住み、つくりだす社会をどのように理解していくことができるのかという観点から、質的調査の歴史と方法を学びます。特に、物理的な「フィールド」に簡単には行けなくなった現代における社会調査の方法を、受講生のみなさんとも一緒に考えていければと思っております。また、授業の中では質的調査の一例として、私が参加している教員・学生有志のプロジェクト型フィールドワーク(「立川プロジェクト」)の実践も紹介できればと思います。
様々な方の授業への参加を歓迎します!
連絡先:aotani341@g.chuo-u.ac.jp
■授業の工夫■
この科目では、各回のコメントペーパーの提出と授業内でのリプライ・manabaでのコメント等を通じて、双方向的なコミュニケーションによって皆さんの学びに寄与することをめざします。