シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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外書講読(政治学)A1(西)/外書講読(政治学)B1(西)/外書講読A1(西)/外書講読B1(西) | 2024 | 春学期 | 火3 | 法学部 | 松尾 俊輔 | マツオ シュンスケ | 3年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-OL3-020S,JU-OL4-022S
履修条件・関連科目等
原則として、1・2年次で第二外国語としてスペイン語を履修しひと通りの基礎文法(目安として、「接続法の活用と用法」まで)を学んでいること、ないしはそれと同等のスペイン語学習経験を持つことを必須とします。不明な場合は、事前にメールで(もしくは初回授業の際に)相談してください。
授業で使用する言語
日本語/その他
授業で使用する言語(その他の言語)
スペイン語
授業の概要
この授業は、スペイン語の基礎文法をひと通り学び終えた学生を対象として、それらの文法事項を用いて実際に学術的な水準のスペイン語の文章を講読します。これを通じて、動詞の活用をはじめ2年次までで学んだ基礎的な文法事項を再度確認し定着させるとともに、アカデミックなスペイン語を読解するのに必要な中級〜上級レベルの語彙や文法事項を身につけていきます。また、それらの講読を通じてスペイン語圏諸国(特にラテンアメリカ)の歴史や政治、社会問題等についての理解を深めます。
春学期と秋学期の授業を併せて1年間かけて、スペイン語で書かれた社会科学の学術論文をじっくり読み理解するのに十分なスペイン語力の基盤を養うのがこの授業の目標です。
春学期の授業では、エドゥアルド・ガレアーノEduardo Galeanoの評論文をいくつか読んでいきます。ガレアーノはウルグアイ出身の作家・批評家・ジャーナリストであり、1960~70年代ラテンアメリカ左派の代表的な論者として知られています。その主著Las venas abiertas de América Latina(1971)(邦訳『収奪された大地 ラテンアメリカ500年』新評論、1987年)に代表されるように、広汎な世界史的知識と厳格な批判精神を後ろ盾として、現代ラテンアメリカ政治はもちろんのこと、神話や文学、サッカーにまで至る幅広いテーマをめぐる思索を、詩的表現を交えた1〜3ページ程度の短く機知に富んだ文章の中に凝縮させて語るのがガレアーノの真骨頂であり、2015年に亡くなるまで旺盛な執筆欲を発揮し続けました。
今年度の授業では、以下の著書の中からいくつかの小論を選んで読んでいく予定です。
・El libro de los abrazos (1989)
・El cazador de historias(2016)
・Cerrado por fútbol(2017)
コンパクトでテンポよく、そして含蓄深いガレアーノの論考に取り組むことで、スペイン語の読解力を鍛えながら、ラテンアメリカの政治と社会をめぐる諸問題について考えていきます。
科目目的
1~2年次で学んだスペイン語の基礎文法を用いて実際にスペイン語の文章を読み、社会科学の学術研究の中で用いるに足るスペイン語の読解力の基盤を形成する。併せて、スペイン語圏諸国(特にラテンアメリカ)の政治と社会をめぐる諸問題への関心と理解を深める。
到達目標
・動詞の活用をはじめとするひと通りのスペイン語基礎文法を再確認し、定着させる。
・基礎からさらに一歩進んだより豊かなスペイン語の語彙や文法知識を身に付け、それを自ら駆使して(辞書と参考書の助けがあれば)学術的な水準のスペイン語を読解できるようになる。
・講読内容を通じてラテンアメリカの政治と社会の諸相に対する理解を深め、それによって現代世界が抱える諸課題に対してよりグローバルかつ批判的な立場から挑むための視座を身に付ける。
授業計画と内容
授業は伝統的な輪読方式で行います。すなわち、テクストの指定された範囲について、ひとりずつ当てて「音読」をしてもらった上で、予習の成果(単なる「日本語訳」だけではなく、内容についての理解や解釈等を含みます)を述べてもらいます。その後、言語面と内容面の双方に関して分からない点や解説が必要な点について、教員も含め参加者全員で考えていきます。したがって、毎回の予習と授業への積極的な参加が必須です。
第1回 イントロダクション、基礎文法の確認
第2回 El libro de los abrazos(1)
第3回 El libro de los abrazos(2)
第4回 El libro de los abrazos(3)
第5回 El libro de los abrazos(4)
第6回 El cazador de historias(1)
第7回 El cazador de historias(2)
第8回 El cazador de historias(3)
第9回 El cazador de historias(4)
第10回 Cerrado por fútbol(1)
第11回 Cerrado por fútbol(2)
第12回 Cerrado por fútbol(3)
第13回 Cerrado por fútbol(4)
第14回 まとめ、到達度確認
なお、上記の進度は目安であり、履修者の理解度等に応じて変更する場合があります。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
毎回、テキストの指定された箇所について、辞書とにらめっこしながら読み込み、分からない単語を調べ、文の意味を取ってから授業に臨んでください。文意がうまく取れない場合があれば、辞書や文法書、あるいはインターネットその他の情報等も参照しながら、時間と能力が許す範囲で読み解く努力をしてください。それでも分からないことがあれば、授業の際にみんなで一緒に考えましょう。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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平常点 | 100 | 毎回の授業への積極的な参加、予習の状況、及びテキストとその背後にあるラテンアメリカ社会への理解度が評価の対象となります。 |
成績評価の方法・基準(備考)
言うまでもありませんが、正当な理由なく授業を欠席した場合には、その回の平常点は0点として算入されます。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
<講読テキスト>
授業内で講読するテキストは、コピーしたものを電子データないしは紙媒体で配布しますので、各自で入手しなければならないものは特にありません。
<辞書>
西和辞書を必ず毎回持参してください。紙、電子辞書、スマホアプリなど形態は特に問いません。これまでのスペイン語学習で使っていたもので支障ないと思いますが、簡易的なもの(「トラベル辞書」「ポケット辞書」のようなものなど)では役に立ちません。一応推奨するものとして下記の辞書を挙げておきますが、不明な場合は事前に相談してください。
・高垣敏博ほか『西和中辞典[第2版]』小学館、2007年。(この辞書にはiOSのアプリもあり、そちらの方が安価です)
なお、インターネット上の無料の英西辞書やGoogle翻訳は辞書の代わりにはなりませんので、これらを授業内で用いることは禁止します。
<文法書>
実際のスペイン語を読んでいくと、これまでのスペイン語授業で使った教科書の文法解説だけでは不足する場面が多々出てくるはずです。そのため、下記の文法書を各自で購入し、傍らに携えながら読んでいくことを推奨します。中古で安く入手可能です。
・上田博人『スペイン語文法ハンドブック』研究社、2011年。
その他特記事項
■授業の工夫■
・履修者には、毎回きちんと予習に取り組むことが最低限求められます。学び始めて日が浅い外国語なのですから、一目ではちんぷんかんぷんな文章があっても当然です。これまで身に付けた(限りある)文法知識と辞書を片手に立ち向かい、辞書にいくつも出てくる語義の中からどれが解釈として最も適切かを、統語や文脈、ひいては社会的文化的背景にも鑑みながら判断し、文章全体を合理的に読み解く一本の「糸」を見出していく―このように、生のスペイン語を前にして「悩む」プロセスのみが確かな語学力を育みます。外国語を学ぶ以上、近道はありません。大いに「悩んだ」結果を授業に持ち寄ってください。その結果分からない箇所があれば、みんなで考えましょう。
・スペイン語の「音読」を実践するよう心掛けてください。実際に使われているスペイン語を自らの口で声に出し、それを自身の耳で聞く、というプロセスは、最も原初的かつ効果的な語学学習法です。
・履修者ひとりひとりのスペイン語運用能力を把握し、各々のレベルに併せながら授業を進めていきます。
・「春学期:数ページの短い文章」→「秋学期:20ページ程度の長い論文」と段階を踏みながら学術レベルのスペイン語を読み解く力を涵養する都合上、春学期と秋学期を通して履修することを推奨します。ただし、履修者の事情によってどちらか一方のみの履修であっても、大いに歓迎します。
・ラテンアメリカについての前提知識は一切必要としません(が、少なくとも知らないことを「知ろう」とする態度は備えてください)。それよりも、「スペイン語を読む」というチャレンジに積極的に立ち向かおうという意欲を持って授業に臨んでほしいと思います。