シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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憲法 | 2024 | 春学期複数 | 月5,水2 | 法学部 | 土屋 武 | ツチヤ タケシ | 1年次配当 | 4 |
科目ナンバー
JU-PU1-013L
履修条件・関連科目等
法学基礎演習A1・A2 比較法文化論を履修することが望ましい。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
日本国憲法の施行から75年が過ぎました。このあいだ、日本も世界も大きな変化にさらされ続けています。その変化のなかには、日本国憲法の制定当時には想像もできなかったようなものも少なくありません。たとえば、特に近年議論となっている同性婚が認められるべきか否かという問題もその一つでしょう。
政治課題や社会問題については、少なくとも、ア)多角的観点からの事実の正確な認識を前提に、イ)現状が妥当・適切なものであるかを評価し、イ)不適切であればどのように改善すればよいか、解決策を考えることが求められます。憲法は、これに反していれば、その国家活動は原則として効力を失うことになるという点で、国家の活動を評価する重要な基準です。同性婚についていえば、①立法政策の問題として、認める方が望ましいのかどうかが問われますが、同時に、②日本国憲法の解釈として、同性婚を認めていないこと、あるいは認めることが憲法に違反しないのかも問題となるところです。同性婚を認めないことが違憲であれば、法改正によりこれを認めなければなりません。そのため、政治課題や社会問題を検討していく上で、憲法の正確な理解は不可欠といえるでしょう。
そこで、この科目では、日本国憲法をめぐる具体的事案の検討を行いながら、憲法の正確な理解とそれに基づく事案の解決方法を考える視座を獲得することを目指します。とくに、「現実の憲法理解」を示す最高裁判所が扱った事案を素材に、最高裁判所による解釈と、「あるべき憲法理解」を示そうとする憲法学説の議論を比較しながら検討していきます。
科目目的
本講座では、日本国憲法の基本的人権・統治機構をめぐる具体的事案の検討を通して、憲法の正確な理解とそれに基づいて解決策を考える視座を得ることを目的とします。
到達目標
①基本的人権・統治に関する重要判例の概要について理解し、説明できる。
②基本的人権・統治に関する解釈上の対立点を理解し、説明できる。
③具体的な事例について、憲法を解釈適用し、どのように解決すべきかを述べることができる。
授業計画と内容
第1回 オリエンテーション
第2回 日本国憲法の全体像
第3回 基本権問題の現れ方
第4回 思想・良心の自由① 思想・良心の自由の内容と性格
第5回 思想・良心の自由② 具体的な事例の検討
第6回 信教の自由
第7回 政教分離① 政教分離の内容と性格
第8回 政教分離② 具体的事例の検討
第9回 表現の自由① 表現の自由の内容、事前の規制
第10回 表現の自由② 表現内容に対する規制
第11回 表現の自由③ 表現の時・場所・方法に対する規制
第12回 表現の自由④ 知る権利、報道の自由、取材の自由
第13回 集会・結社の自由
第14回 職業選択の自由
第15回 財産権
第16回 幸福追求権① 幸福追求権の内容と性格
第17回 幸福追求権② 具体的事例の検討
第18回 法の下の平等① 法の下の平等の内容と性格
第19回 法の下の平等② 具体的事例の検討
第20回 生存権
第21回 学問の自由・教育を受ける権利
第22回 基本的人権総論
第23回 憲法論の構成
第24回 選挙権と選挙制度
第25回 国会と立法権
第26回 内閣と行政権
第27回 裁判所と司法権
第28回 違憲審査制
※時事的テーマを扱うなど、内容や順序を変更する場合があります。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/その他
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学習は、次の2点を意識するとよいと思います。
①予習:事前配布資料や教科書をざっと目を通し、どのようなことを学ぶかを確認し、また疑問点などを明らかにしておいてください。(50分程度)
②復習:講義内容を踏まえ、もう一度丁寧に教科書や資料を読んでください。また、前回講義のリアクション・ペーパーも確認してください。できるだけ、復習を重視してください。(100分程度)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 100 | ①判例の内容を理解し、説明できるか。 ②学説の対立を理解し、説明できるか。 ③憲法解釈論上の問題について、自分の見解を述べることができるか。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト
芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法〔第8版〕』(岩波書店、2023年)
安西文雄ほか『憲法学読本〔第3版〕』(有斐閣、2018年)
橋本基弘『日本国憲法を学ぶ〔第3版〕』(中央経済社、2023年)
いずれかを準備してください。
参考文献
長谷部恭男ほか編『憲法判例百選Ⅰ・Ⅱ〔第7版〕』(有斐閣、2020年)
毛利透ほか『憲法Ⅰ・Ⅱ〔第3版〕』(有斐閣、2022年)
渡辺康行ほか『憲法Ⅰ〔第2版〕・Ⅱ』(日本評論社、2023年、2020年)
工藤達朗ほか『憲法〔第5版〕』(不磨書房、2015年)
長尾一紘『はじめて学ぶやさしい憲法』(実務教育出版、1997年)
このほかの参考文献等については、講義内で指示します。