シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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アメリカ経済論 | 2025 | 春学期複数 | 木5,木6 | 商学部 | 塙 武郎 | ハナワ タケオ | 3・4年次配当 | 4 |
科目ナンバー
CM-NE3-22XL
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
本講義の目的は、映画、実際の現地デジカメ画像、ニュース等を活用しながらアメリカ社会独特の普遍的価値、それを体現する制度や政策、軍事、外交、財政、教育、医療、交通、都市政策等の内政課題について詳しく学習する。総じて「超大国」アメリカの経済の豊かさ(強さ)、またその裏側に存在する貧しさ(弱さ)や経済格差という構造的イシューをメディア教材を活用しながらその要因や特質をリアルに学習することに重きを置く。また学期の後半ではニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、デトロイト、シアトル、ポートランド等の大都市の事例考察を通じてリアルな学習を展開する。時期区分は戦後、特に1960年代ケネディ・ジョンソンから2000年以降のブッシュ、オバマ、トランプ、バイデン、そして現トランプ政権の経済政策や課題を網羅的に検討する。
科目目的
この科目は商学部カリキュラム上の分野別専門科目経済・法律系に位置付けられています。
本講義の目的は、現代アメリカ経済の豊かさとその裏側に存在する貧困や格差といった構造的問題の特質や要因について1960年代以降の経済政策を手掛かりとして学習することにある。画像、映画、ニュース等メディア教材を活用しながらリアルに学習することに力点を置く。また後半ではニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、デトロイト、シアトル、ポートランド等の大都市を事例にしながら、州や地方自治体レベルで運営される教育、医療、福祉、交通、都市開発、地方財政ファイナンス等の内政課題について具体的に学習する。
到達目標
・アメリカ経済社会を貫徹する普遍理念「自由」や「自立」の意味を理解し、自分の言葉で説明できる。
・経済格差の構造的な原因を経済学の視点から理解し、説明できる。
・教育や福祉や交通といった内政分野、公共性の強い分野における政府の役割や課題を理解し、自分の考えを論述できる。
授業計画と内容
1.ガイダンス ー「超大国アメリカ」の位置-
・講義ガイダンス
・アメリカ経済社会の豊かさと普遍的価値
2.アメリカの連邦制と国家ガバナンス
・2008年大統領選挙、オバマとマケイン
・連邦政府の法的権力と変遷と補助金
3.自由と自立、「小さな政府」と保守主義
・「小さな政府」の現代的本質
・レーガン演説に学ぶ
4.グローバリゼーションと自由経済(その1)
・「ブレトン・ウッズ体制」
・IMF・GATTからWTOへの移行
5.グローバリゼーションと自由経済(その2)
・金融危機とウォール街・投資銀行の苦悩
・自己勘定と金融工学
6.グローバリゼーションと自由経済(その3)
・金融危機によるデトロイト自動車産業の崩壊
・オバマ政権による救済とUAW
7.グローバリゼーションと自由経済(その4)
・ITバブルと「ウィンテル体制」の覇権
・GAFAとクリエイティブ・インダストリー
8.産業構造と労働政策(その1)
・人種と教育歴・所得格差
・グローバル化と労働編成
9.産業構造と労働政策(その2)
・製造業の雇用と衰退
・デトロイトの事例
10.産業構造と労働政策(その3)
・1997年「福祉改革」と自助努力の強化
・シカゴの就労促進政策と公共交通
11.産業構造と労働政策(その4)
・1970年代以後アメリカ農政の大転換
・トウモロコシ生産の現状
12.産業構造と労働政策(その5)
・軍需産業と戦時経済の価格統制
13.産業構造と労働政策(その6)
・戦後の連邦政府と研究開発・大学・技術移転
14.質疑・総括
15.トランプ政権とアメリカ覇権と価値の変質
・トランプ誕生に学ぶアメリカの本音
・変容する普遍的価値と人種対立
16.3億人「移民国家」の内情(その1)
・縮小する「アメリカン・ドリーム」とヒスパニック
・労働政策か移民政策か
17.3億人「移民国家」の内情(その2)
・アリゾナ州の移民排撃とオバマ政権・最高裁
・州政治の保守化とトランプ政権誕生
18.都市問題と再分配(その1)
・人種のセグリゲーションと地方自治
・市が郡から「独立」する動き
19.都市問題と再分配(その2)
・教育と格差 ―シカゴの事例-
20.都市問題と再分配(その3)
・公共交通と都市政策 ―ニューヨーク、シカゴの事例-
・アメリカ初「渋滞税」の導入と所得再分配
21.都市問題と再分配(その4) ーデンバーの事例ー
・クルマ社会と郊外化、所得格差
・TODとトランジットモール
22.日米経済の関係と再編(その1)
・自動車「ビッグスリー」と生産台数
・自動車産業の南部シフト
23.日米経済の関係と再編(その2)
・ボーイングの挑戦、トヨタとの連携
24.日米経済の関係と再編(その3)
・川崎重工、日本車両のアメリカ進出
25.日米経済の関係と再編(その4)
・トランプ政権の保護貿易と日本経済への影響
26.トランプ政権(第一期)の経済政策
・トランプ勝利とラストベルトの期待
・TPP離脱と保護貿易、USMCA
27.バイデン政権の経済政策(2)
・自由貿易と民主主義
・ウクライナ戦争と武器供与
28.トランプ政権(第二期)の経済政策
・再選の要因とヒスパニック票の変容
・総括・質疑
上記はあくまで計画であり、学生の習熟度やアメリカ経済の時事動向に応じて適宜変更することがある。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 50 | 講義内容に基づいた正確性、論理性の2点を特に評価する。 |
平常点 | 50 | 授業時に配布するコメントペーパー等に基づく理解度・習熟度、主体的な学習態度(出席状況)、専門的な質問等をする積極性を特に評価する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキストは特に使用せずパワーポイント資料を中心に進める。
参考文献は以下の通り。
●参考文献
・坂出健・秋元英一・加藤一誠編著『入門 アメリカ経済Q&A100』中央経済社、2019年。
・渋谷博史・樋口均・塙武郎編著『アメリカ経済とグローバル化』学文社、2013年。
・渋谷博史・塙武郎編著『アメリカ・モデルとグローバル化Ⅱ』昭和堂、2010年。
・地主敏樹・加藤一誠・村山裕三編著『現代アメリカ経済論』ミネルヴァ書房、2012年。
・塙武郎『アメリカの教育財政』日本経済評論社、2012年。
その他特記事項
利用するソフトウェアなし
参考URL
教員の個人ブログ「塙武郎 専修大学アメリカ経済・都市政策研究室」(https://takeo-hanawa.blog.ss-blog.jp/)