シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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専門演習A2/専門演習B2 | 2024 | 秋学期 | 火5 | 法学部 | 北井 辰弥、宮丸 裕二 | キタイ タツヤ、ミヤマル ユウジ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-OL3-016S
履修条件・関連科目等
法学部指定の公式の募集手続により専門演習学生募集に応募して、審査の結果履修を認められた者。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
日本語を用いて授業を実施します(ただし、英語による文献を資料として用いることがあります)。
授業の概要
「法と文化」について扱ってきた本専門演習では、本年より二年間にわたり「自由と規律─教育から見る法の諸問題」と題し、「教育」の問題を切り口に授業を進めて行きます。
例えば、日本では親となったらその人の資格や能力を度外視してほぼ無条件にその子どもの養育と教育を担当することになりますが、このことは子どもの権利に照らしてどのように正当化することができるでしょうか。あるいは、受験産業は志望校に入れることに失敗しても違約金を支払わないことで成立していますが、いかにしてその例外的商法が説明され得るでしょうか。受験に見るように、学校での勉学の資格は既存の学力を基準にして優秀な順に勉学の権利が与えられることが一般的ですが、これはなぜなのでしょう。学校で読み書きに始まる教育を与えるのは教育を受ける個人のためなのか、社会秩序維持のためなのか、あるいは国家のためなのか。そもそも、人間を教育という営みによって発達させることは果たして機能的に可能なのでしょうか。
教育の問題は以上に留まらず、ざっと挙げると、家庭教育と学校教育と社会教育の領分、しつけと虐待の境界、文部科学省による法令や教科書指定や教員資格制度の必要性の有無、公立学校と私立学校の差、性別による分離教育や別科目教育の必要性と正当性、人に教育として与えられるべき科目の選定の問題、道徳教育の可能性、いじめの防止とその責任の所在、道徳教育の可否、性やITや食育など教育すべき範疇拡大、学校教育と塾との社会的分業について、日本の児童生徒の学力の実態、日本に見られる受験戦争の利点欠点と修正の可能性、少子化と大学全入が教育の質と大学経営に与える影響について、国際的な教育市場における競争力の問題、日本の教育の空洞化の問題、大学教育と企業研修の相互の関係性、実学と実用の学問(虚学)の差、語学教育における理論教育と実践教育の教授法の有効性の比較、性別や年齢や障碍と教育の問題、経済や地域による格差や言語制約による教育の権利の差、教育と政治的イデオロギーの関係性、移民教育や多文化環境での教育と教育責務の問題など、様々な問題があり、これは教育というものが学校の中だけではなく法律や政治と同様でおよそ教育的営みは社会に遍在しているものである以上、無制限に問題を見つけることができる分野であると言えるでしょう。本演習では、そうした諸問題を例えば教職課程で扱われるよりは広く対象範囲を構え、包括的に扱い、かつ各履修者の個別の関心に応じていくつかの問題を深く調査し研究を進めることを期待しています。
なお、内容としては1年完結になっていますが、3年次から加入する学生は4年次も含めた2年間連続での勉学を前提としている学生を想定していますので、3年次の学生で2年間本演習にて勉強を続けるつもりのない方は申し込みを見合わせるようにしてください。
科目目的
本演習では、「教育と法律」の問題を中心に据えて、各学生が共通のテーマの下に論じ合い、やがてそれぞれ独自の研究テーマを設定し、調査・研究をすすめた結果を発表し、互いの研究を批評し合い、結果的におのおのの研究を論文に仕上げることを目標とします。
学生が入学する際に自分の専門とする分野として選び、その知識を蓄積してきた学問である法律学や政治学に類する議論から最初は説き起こして、やがてこの分野には必ずしも収まらない広い問題に目を向けてもらうことを意図しています。そのため、本演習では、専門を異にする2名の教員による共同担当のかたちをとります。他の専門演習に比して、広い視野で諸問題を捉え、深く知り、考える場を提供することが、本演習の一つの大きな特徴となっています。
到達目標
参加する学生の到達目標として設定しているのは、まず、法律についての理解を深めることです。そして、法律以外の分野に関する見識を広げ、この論題についての中立的・複眼的な判断能力と批判能力を養うこと、そして最終的には調査研究に基づいた独自の論を形成することを目標として掲げています。あわせて、将来的に調べ探求したいことを自らの力で研究を実施することができるような研究能力を身につける場とすることも考えています。また、こうした学修を通じて、学部在籍時の勉学の集大成としての自身の生きる指針を固め、卒業後に自らの力で生きていく上での根本理念となるものを構築していただきたいと思っています。
授業計画と内容
学期中の授業の計画は下記の通りです。
第1回 討論/イントロダクション
第2回 討論
第3回 学生による発表第3回(受講生A/質疑応答・討論)
第4回 学生による発表第3回(受講生B/質疑応答・討論)
第5回 学生による発表第3回(受講生C/質疑応答・討論)
第6回 学生による発表第3回(受講生D/質疑応答・討論)
第7回 課題設定による問題解決 前半
第8回 課題設定による問題解決 後半
第9回 論文の執筆方法について(講義)
第10回 学生による発表第4回(受講生A/質疑応答・討論)
第11回 学生による発表第4回(受講生B/質疑応答・討論)
第12回 学生による発表第4回(受講生C/質疑応答・討論)
第13回 学生による発表第4回(受講生D/質疑応答・討論)
第14回 論文の相互編集作業(論文の内容面/形式面)
後期授業では、自ら選んだ研究テーマについての研究発表を行い、最終的にそのテーマのもと進める考察内容を、履修者全員が一本の論文のかたちにまとめ、それを論文集およびホームページに掲載することを目標とします。
随時、以上の作業を補う社会問題についての講義や、資料の調査方法、論文の作成方法、PCやデータベースの利用方法について学ぶ機会も設けたいと思います。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
各回の授業の前後には自身の研究発表の準備および総括のために相当量の時間の課外の学修を行って頂きます。
9月上旬または中旬に合宿を行う予定にしており、履修者は参加を義務づけられます。
過去には明治大学や青山学院大学の専門演習クラスとの合同研究発表会を実施してきましたが、本年度も同様のことを実施することを計画しています。
本演習の履修者は、本学で毎年行われる日蘭交流事業に参加する権利を原則として得ることとなり、関連の学修を授業に織り込む予定です。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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平常点 | 60 | 各回の授業の報告・研究発表(30%)、討論への参加姿勢(30%) |
その他 | 40 | 卒業論文の執筆 |
成績評価の方法・基準(備考)
授業への出席状況(合宿を含む)や論文を提出することそのものは評価以前の前提となるため、それ自体の配点を配していません。特段の理由がない限り欠席を認めません。無断で欠席をした者には単位を認定しません。また、本演習で勉学を続けることができなくなった学生や続ける意志がない学生、あるいはそれと認められる学生、そして事情のいかんは問わず最終的に論文を仕上げて提出するに至らなかった学生にも単位を認定しません。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
授業内で行われる口頭による報告や研究発表については、授業内での学生同士および教員による直接のフィードバックを得ることになります。
また研究発表の成果としての論文は、その下書きの段階で、学生同士による度重なる編集を経つつ、教員による朱入を受け取りさらなる修正の素材として使うことになります。
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/グループワーク/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
毎回の授業そのものがいわゆるアクティヴ・ラーニングの構成になっています。しいてつけ加えると、合同研究発表会によって他学の学生や教員との相互交流の場を得る機会となると共に、日蘭交流事業によって戦争体験者および外務省の官僚との交流機会となるかと思います。
授業におけるICTの活用方法
その他
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
PCの使い方やタイピング、電子データベースの利用方法などについて活用以前にその使用方法を学ぶことがこの専門演習での活動の一部となっています。また、学んだスキルを発表や論文作成、互いの意思疎通のための通信手段としてふんだんに活用して頂く予定です。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
特に予定をしていません。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
特に予定をしていません。
テキスト・参考文献等
こちらで用意するものについては授業中に指定もしくは配布します。また、学生同士で教材を用意してもらう場合もあります。
その他特記事項
・予め担当教員に連絡を取りたい学生は、遠慮なくご相談下さい。ツイッターのゼミのアカウントから質問をして下さっても結構ですし、または教員に直接連絡を取りたい場合には、中央大学のホームページの「教員紹介」の「宮丸裕二」のページ(https://c-research.chuo-u.ac.jp/html/100002899_ja.html)の「お問い合わせフォーム」のボタンから、メールを送信することができます。
・なお、専門演習の授業内容としては1年完結になっていますが、3年次から加入する学生については、4年次も含めた2年間連続での勉学を前提としている学生を想定しています。つまり、2年間の学修を行う前提でのみ本演習への加入が許可されることとなります(履修開始時点で4年次の学生を除く)。
・本演習を履修する学生には、3年次から4年次まで本演習での勉学を他の何よりも最優先において継続して学んでゆく環境を用意することが求められています。そのことが参加する上での重要な資格要件になりますので、申込に際してその点をよくお考えになって下さい。
・ゼミに応募するにあたって何かの特別な知識や技能や成績水準が必要となるということはありませんが、毎回の勉強や課題に真面目に取り組むつもりがある学生、勉学をすることを希望している学生を募っております。恐らく本学部の専門演習の中でも最も厳しい演習ですが、真面目に取りかかればどなたにとっても遂行可能な勉学内容になっていますし、真面目についてくることでそれなりの将来が待っているという仕組みになっています。2名の教員も可能な最大限の努力で臨む所存ですが、学生の側にも相当な労力を注いで頂く必要があります。したがって、真面目に学ぶ気に欠けると自覚されている方は、こちらも難儀ですが当人が誰より一番困ることになりますので応募を再考するようにして下さい。
・ゼミの申込先を選ぶにあたり、こちらに(https://miyamaru.r.chuo-u.ac.jp)過去の本演習での論文が掲載されていますので、どんな題材を扱うゼミであるのかを知るのにご参考になさって下さい。
【重要】
・専門演習の選抜に際して遠隔映像通信によって面接を行います。そこで、提出したレポートにより面接の機会が認められた学生にはこちらから必ず電子メールを送り、通信方法と通信日時を相談いたします(届かない場合は上記の方法でご連絡下さい)。そのため、レポートには必ず、電子メールのアドレスを2つ記載し、あわせて、面接のための通信が可能なように予めLINEのアカウント名(自分で表示しているニックネームではなく)を記載しておいて下さい。なんらかの事情によりこうした通信体制構築が難しい方は、極力代替方法にて対応しますので、可能な代替案をご記載下さい。
参考URL
ゼミツイッターアカウント https://twitter.com/endomiyamaru
ゼミの過去の論文集 https://miyamaru.r.chuo-u.ac.jp
教員へのメール送信 https://c-research.chuo-u.ac.jp/html/100002899_ja.html