シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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専門演習A2/専門演習B2(国際法と正義論) | 2024 | 秋学期 | 木5 | 法学部 | 宮野 洋一 | ミヤノ ヒロカズ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-OL3-016S
履修条件・関連科目等
※1:4年生は、3年生と一緒に常時ゼミに参加できることを条件に応募可
3・4年合同は3年生および新規4年生を対象。
ゼミテーマに関する強い関心を有すること。厳しく、しかし末永くつきあえる楽し
いゼミにしましょう。意欲のある諸君の応募を待っています。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
宮野国際法W(正義論)ゼミでは、国際法を出発点にしつつも、より広く(そして深
く)国際性をもった様々な諸問題に、解決の基礎となる価値に遡って(=正義論的)
にせまります。たとえば 以下のような問題に関心をもったあなた。ウェルカム・ト
ゥ・ミヤノゼミです。(a)やせ細り飢餓におびえる子供の写真をみて何かしなきゃとい
う気になるあなた→ 開発援助ODA やアマーティア・センの正義論、あるいはポッゲ
の『なぜ遠くの貧しい人への義務があるのか~世界的貧困と人権』は如何?(b) パナ
マ文書で注目されたタックス・ヘイブン。税ってそもそもなぜ払うの?それはどのよ
うに使われるのが適切なの?→グローバル・タックス論へ(入門的には『上村(編)『世
界の富を再分配する30 の方法』(2016)。(c)従軍慰安婦問題、法的責任論を避け続け
る日本政府と、「法的」責任の追及のみにこだわる支援団体、NGO、マスコミ→被害者
当人にとってのベストな解決とは?(d)アパルトヘイトや悲惨な内戦のあと、国家を、
社会を、人間関係を立て直すために必要なのは裁きか赦しか?→南アの真実和解委員
会を勉強してみよう。刑法の修復的司法にも通じる話だ。(e) 「日本核武装論」など
というぶっそうな議論もありますが、核攻撃どころか「精密兵器」と称する兵器によ
る「付随的被害」だからしかたない、なんて議論はとんでもないというあなた→国際
司法裁判所の核兵器の合法性に関する勧告的意見の検討へ、あるいは反空爆の思想、
はたまた、「ソフトパワー」論で知られるJ.ナイの『核戦略と倫理』へ。(f)できあが
っている法を解釈適用するだけでなく、もっとあるべき法の形も考えてみたい。→具
体的な問題をえらんで「法制度設計」に必要とされること(正義の要請や効率性など)
を考えてみよう→出発点として平井宜雄『法政策学』へ。 (g) 人権や、援助、武力の
行使といった問題を、単に実定国際法がこうだから、と論じるだけでなく、その基礎
になる価値観や倫理といったレベルでも考えてみたい→井上達夫『世界正義論』や、
ホフマン『国境を越える義務』、ラギーの『正しいビジネス』は如何?これらはほんの
一例。みなさんの関心に合わせて色々な素材をとりあげたいと思います。
科目目的
国際的な問題・紛争で正義論や国際倫理の観点から考察することが重要なものについて、一定の俯瞰図をえることを目的とする。そのため国際法の基礎からはじめて、現実問題と理論枠組み双方を、幅広く議論する中で検討してゆきたい。
到達目標
国際的な連関をもったさまざまな問題や紛争の実態を知ると同時に、それらへの対処や解決を考える際に基礎となりうる正義論・国際倫理の代表的な理論を理解する。そのうえで、自ら選択する問題について、そのような理論を基礎に一定の方向性を持った対処の考え方をゼミ論として提示できるようになることをめざす。
授業計画と内容
正義論<秋学期>
1. 現代国際関係における正義論の問題 ~応用編
2. 人道的介入・戦争の正義~武力行使の正当化問題
3. タックス・ヘイブンとグローバル・タックス
4. 国際人権保障 ~人権の普遍性・特殊性
5. 世界統治機構 ~グローバル・ガバナンス
6. <ゼミ論構想発表> 個人別報告 対象ゼミ生(以下同)A、B、C、D、E
7. ゼミ論 構想発表 個人別報告 F、G、H、I、J.
8. <ゼミ論中間発表> 個人別発表 A、B、C
9. ゼミ論 中間発表 個人別発表 D、E、F
10. ゼミ論 中間発表 個人別発表 G、H、I、J
11. <ゼミ論最終発表> 個人別発表 A、B、C、D
12. ゼミ論 最終発表 個人別発表 E、F、G、H
13. ゼミ論 最終発表 個人別発表 I、J
14. 総まとめ & ゼミ論集編集
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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平常点 | 40 | 毎回のゼミへの参加・貢献(レジュメ・報告担当、司会、記録、議論) |
その他 | 60 | ゼミ論(2万字)の評価による |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
ディスカッション、ディベート/プレゼンテーション
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
(共通テキスト)
・馬渕浩二『貧困の倫理学』(平凡社新書、2015):国際援助というテーマを通じて
主要な論者・立場の基本を学ぶのに最適。
・ミラー(富沢ほか訳)『国際正義とは何か:グローバル化とネーションとしての責
任』(風行社、2011):まずはそれぞれの国家が責任を持つべきで、グローバルな
責任は補完的なものであるべきという立場の代表的論者の議論をじっくりと。
その他特記事項
・国際法の基礎論については「国際法と正義論ゼミ」と「国際法と紛争解決ゼミ」で
合同で行ったり、ビデオをみて議論したりとフレキシブルなゼミ展開をしたい。希望
者(例年ほぼ全員)は両ゼミとも参加可能。
・これまでのゼミの雰囲気や内容を知りたい人は、法学部図書室にある各年版ゼミ論集をみてもらえるといいのですが(各年度版『宮野ゼミ合同論集(国際法W ゼミ)』)