シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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哲学1 | 2024 | 春学期 | 火2 | 法学部 | 黒崎 剛 | クロサキ ツヨシ | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-PE3-007L
履修条件・関連科目等
哲学史や思想史の知識を伝授する授業ではないから、哲学に関心があり、自力で考えるための知識が欲しいという人に向いている。哲学史的知識が欲しい人は、黒崎による「哲学史1」および「哲学史2」が向いている。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
前期では、3つの話題を用意している。すなわち「私の知識とは何のためにあるのか」、「そもそも〈自分〉とはどういうものか」、「自由に振る舞うとはどういうことか」である。この3つを通して、哲学の大課題の一つである「自己」について考えてみる。
科目目的
本能で生きる動物とは違って、意識と自我をもった我々が、自覚的に自然、社会と関わって生きていく際に発生する問題が哲学ではどのように取り扱われたのかを、近代的個人のあり方の焦点を当て、テーマ別に解説する。「哲学」と呼ばれる思考法が近代市民社会のどんな問題を解決しようとしていたのかの大要を理解することが目標である。そこから自分が生きていくうえで参考になることを汲み取ってくれればよい。
到達目標
当該問題について自分なりの考えをもてるようにする。
授業計画と内容
第1回 オリエンテーション
第2回 知識は何のためにあるのか①――まず「対象を知ること」と「自己を知ること」とが同一性の連関のうちにあるという理論的側面を考察する。
第3回 知識は何のためにあるのか②――知識をもつ意味が、知識の教えるように「振る舞う」ことによってはじめて実現するのであって、記憶としての知識には意味がないという実践的側面を考察する。
第4回 知識は何のためにあるのか③――知識とは「対象とは自己である」という境地にたつ主体の知として完成することを考察する。
第5回 「自分」をもつとはどういうことか①――「私」とは一体何なのか。私が私であるためにはどうすればいいのか。この問題に対し「近代的自我」の構造をもって回答する。
第6回 「自分」をもつとはどういうことか②――自我とは他者との関係のなかにあってはじめて存在する。「自立的に生きること」と「関係のなかで生きること」の統一という自我のこの矛盾したあり方について、近代ドイツ哲学の自我論を参考にしながら考察する。
第7回 「自分」をもつとはどういうことか③――「自分を持つ」ということ、関係のなかにありながら関係を越える「主体性」とはどういうことかを明らかにする。
第8回 自由論①――自由にふるまう、とはどういうことかを明らかにするために、自由の原理的あり方として、人間と自然との関係について一般的に考えてみる。
第9回 自由論②――近代的自由の定式としての「自己決定としての自由」を、J.S.ミルの『自由論』を参考にして解説する。
第10回 自由論③――自己決定としての自由を超えようとする「自律」的自由意志論を、カントの実践哲学を参考にして考察する。
第11回 自由論④――人間の自由の実現は道徳性によってではなく、人間性を抑圧されない社会の形成によって実現されるという、近代の社会哲学の主張(ヘーゲル哲学)を紹介し、人間的自由論は、社会論であるということを理解してもらう。
第12回 自由論⑤――人間的自由と「労働」との関係を考察し、自由という課題が人間が労働するという事実に基づくことを考える。(「哲学2」への移行)。
第13回 まとめ――近代的市民の課題としての「自己」と「自由」
第14回 質疑応答
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
事前にレジュメがmanabaに掲載してある場合、あるいは前回授業時に配布してある場合には、それに目を通しておき、当日の話の要点がどこにあるのか、見通しをつけておくこと。興味をもった対象については、授業の後で関連する図書を探し、読んでみること。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 70 | 学期末試験としてレポートを課す。学習した内容を理解し、自分なりの解答が書けるかを評価基準とする。 |
平常点 | 30 | 出席(音声授業聴取回数)と受講態度。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
PC等は、オンライン授業になった場合にのみ使用する。
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト プリントを使用
参考書 教場で紹介するが、例としては、デカルト『方法序説』、J.S.ミル『自由論』、カント『実践理性批判』など。