シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
美術B1 | 2024 | 春学期 | 火1 | 法学部 | 藤田 一人 | フジタ カズヒト | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-HO3-025L
履修条件・関連科目等
特になし。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
本講義では欧米に端を発し、世界に広まった近・現代美術前衛運動の意義と課題を時代の変遷とともに探っていきます。特に、20世紀の所謂"前衛美術"は、現代社会において、美術が如何に有意義な存在であるかを問い続け、新たな価値観、世界観を模索し続けてきました。それは私達を取り巻く様々な社会状況、知的活動に大きな影響を与えてきました。そして、今日でも絶えず現状に対する幾多の問題意識を投げかけています。授業では19世紀末から21世紀初頭まで、時代をほぼ10年単位に分け、主に欧米における各アートシーンを印象づける作品を取り上げて、各々の特質と多様な評価から、近・現代美術の意義と社会的影響力を検証。さらに、それらを通して、今日に普及、定着した様々な表現手法を実践、応用してみることで、近・現代美術の豊かな表現力と美意識を実感できるように考えています。
科目目的
有史以来、人類の美術表現は政治、経済をはじめ社会構造と深く結びつき、近代以降は一層密接になっています。そうして表現される内容は、“美術”という範疇を超えて、現代的思想・価値観の体現と言っても過言ではありません。そんな美術をしっかりとより身近に享受するためには、日常的で等身大の価値観のもとに捉えることが大切です。本講義ではそうした意識の下に、学生が多様な現代美術に関する見識と鑑賞力を高めるとともに、個々の日常における実践的かつ個性的な表現力、創作力を養うことを目標とします。
到達目標
美術表現とは特別な行為ではありません。物事の説明に際して図示する等、日常的コミュニケーションにおける普通の行為の延長です。20世紀以降の近・現代美術は、そうした等身大の表現行為を原点として、その内容をより深め、洗練させることを目指してきたといえます。同講義の受講生は、近・現代美術の多様多彩な問題意識、表現手法、発想方法を学ぶことで、“いま”の自分の現状、気持ち、そして希望を率直かつ説得力のある表現能力を身に付けることを目標とします。
授業計画と内容
1.序章:前衛美術運動の意義とは何か?
2.1870~1890年代 印象派からポスト印象派へ
3.1900年代 フォーヴィスム、表現主義から「アヴィニョンの娘たち」へ
4.1910年代 キュビスムから未来派、ダダへ
5.1920年代 シュルレアリスムと幾何学的抽象、機能主義
6.1930年代 メキシコ壁画運動・社会派リアリズムとプロレタリア・レアリスム
7.1940年代 第2次世界大戦と戦時美術
8.1950年代 アンフォルメル、抽象表現主義と戦争の傷跡
9.1960年代 ポップ・アートと大衆文化
10.1970年代 ミニマル、コンセプチュアル・アートと前衛美術運動の終焉
11.1980年代 ポスト・モダンとニューペインティング
12.1990年代 ニューメディアの進展とシュミレーショニズム
13.2000年代以降 グローバル化と非欧米圏美術の台頭
14.終章:前衛美術運動を超えて
授業時間外の学修の内容
授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
予習、復習は特に必要ありません。但し、授業内容に応じ作品制作課題を随時出していきます。それについては、個々に工夫を凝らした創作表現を試み、次回授業時までにmanabaのレポート欄に提出のこと。また、作品形態によっては授業後に提出を求めることもあります。各課題は後日、授業において纏めて講評する他、レポート欄に個人個人の講評を記しておきます。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
---|---|---|
レポート | 60 | 期末レポート(創作課題と解説文章)の独創性、技巧の的確さ、問題提起等、創作作品としての総合的表現力と問題意識を総合的に評価。 |
平常点 | 30 | 各授業の際に課す創作課題の表現力とともに、授業で取り上げた歴史的な表現手法、発想方法への理解度を評価。 |
その他 | 10 | 出席と課題提出。 |
成績評価の方法・基準(備考)
基本的に、全授業出席、各授業時の全課題提出、期末課題提出。これらを達成することを基準に“C”評価(22年度以降の入学生は“B”評価)として、それに各授業課題、期末課題の内容で加点していきます。また、期末課題未提出者には、単位は与えられません。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
各課題の総合的な講評は授業で行います。また、個々の講評については、manabaのレポート欄に記載します。質問の随時受け付けます。
アクティブ・ラーニングの実施内容
実習、フィールドワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
各授業の創作表現に関しては、画材等を持参して、教室等の現場での作品制作もあります。
授業におけるICTの活用方法
タブレット端末
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
各授業に関わる美術作品については、資料の配布や映写を行いますが、主要なものはmanabaのコースコンテンツにアップしますので、スマホやタブレットで確認しながら、授業を受けることが可能です。
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
私自身は、「美術評論家」「美術ジャーナリスト」として、今日様々に展開されている芸術活動や文化行政等を取材し、新聞、雑誌等で批評活動をしています。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
特に、1980年代以降の美術状況に関しては、私自身の取材、批評経験を基に、未だ評価が定まってはいなくとも、今日そして未来の私たちを刺激し、影響を与える作品やムーヴメントと取り上げてきます。また、それらに関する学生諸君の意見も求めます。
テキスト・参考文献等
(テキスト)
既存の教科書は使用せず、授業ごとにレジュメと資料を配布。また、参考資料と作品図版の一部はmanabaのコースコンテンツにアップします。
(参考書)
『増補新装 カラー版20世紀の美術』 美術出版社刊 ,700円
その他特記事項
基本的に上記の計画に従って授業を進めていきますが、注目すべき展覧会や美術に関する時事的話題があれば随時採り上げていくつもりです。よって、多少授業内容に変更があるかもしれません。また、授業時の表現課題で、クレヨン、マジック、色鉛筆、ハサミ、糊等の持参を求めることがあります。