シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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美術B2 | 2024 | 秋学期 | 火1 | 法学部 | 藤田 一人 | フジタ カズヒト | 3・4年次配当 | 2 |
科目ナンバー
JU-HO3-026L
履修条件・関連科目等
特になし。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
21世紀に入り、現代美術の状況を考えると、従来の欧米主導から世界各地で独自の進展を示すようになってきました。なかでも第2次世界大戦後、逸早く高度経済成長を遂げた日本を初め、20世紀末に経済力を増してきた韓国、台湾、そして今や世界第2位の経済大国となった中国といった東アジア圏の存在感が増しています。古来の東洋的文化観と西洋近代の合理主義、さらに今日の先端の技術を融合させた、東アジアにおける多彩な芸術展開は、個性的な芸術運動や芸術家を輩出し、欧米にも進出して、世界的な影響力を発揮しています。本講義では、日本をはじめ中国、韓国、台湾を含めた東アジアの近・現代美術のあり様を「歴史篇」と「現状検証篇」に分けて検証します。「歴史篇」では、19~20世紀を主に、日中韓の美術史と相互交流に各国の独自性に注目しつつ、政治、経済、社会風俗等も交えて顧みます。「現状検証篇」では、日中韓そして台湾の作家活動や芸術運動はもとより、各国の美術政策、美術教育、美術市場といった、現代美術を取り巻く諸要素も含めて、“いま”を生きる私たちにとっての“美術”“芸術”の意義と可能性についても考えていきます。
科目目的
本授業においては、日本をはじめ中国、韓国そして台湾の近・現代美術の展開と特色を具体的に取り上げていきます。が、それは単なる美術的、文化的知識、教養としてだけではなく、それらを通して、私たちを取り巻く様々な文化状況や文化観について考えるとともに、今日の混沌とした社会の考察力と自己表現力を養うことを目標にします。そのために、学生一人一人が身近で展開されている多彩な芸術活動を独自の視点で捉え、自身はもとより現代社会が抱える様々な課題を探り出すセンスを高めることを目指します。また、一見難解とされる現代美術の表現から、自身の抱える等身大の問題意識を共有しつつ、自己表現へと繋がっていくことも求めます。そのために、各授業内容に即した創作課題や「音楽A2」との交流授業とコラボレーション制作課題も実施して、既成概念に囚われない柔軟な思考と表現力を育むことを目的とします。
到達目標
美術・芸術というと、特別なものと思いがちですが、その実体は私たちが帰属している社会構造の一環であり、その創作表現も日常で展開しているコミュニケーションにおいて自然に展開しています。つまり、美術とは自身の生活そのものであり、それを如何に豊かにしていくのかという模索です。同講義では、私たちに身近な日本と東アジアの美術とその美意識、表現方法、さらに社会的背景を学ぶことで、現代の社会状況を把握し、それを的確かつ柔軟に具現化できる表現力を養うことを目標にします。
授業計画と内容
1. 序章:21世紀に飛躍する東アジア美術
[歴史篇]
2. 東アジアの伝統的美意識
3. 近代化と西洋化
4. 国民絵画(日本画、中国国画、朝鮮画)の成立
5. 日本のアジア侵略と戦時美術
6. 第2次世界大戦後の美術と政治性
7.前衛運動と世界同時代性の美術
8.グローバル時代の民俗性と創造性
[現状検証篇]
9.芸術領域のボーダレスと総合性(「音楽A2」との交流授業)
10. テクノロジーとニューメディアの進展
11. 伝統と現代が交差する工芸・デザイン
12. 東アジア美術の世界進出と国際現代美術展
13. 美術市場の国際化と拡大
14. 終章:東洋的文化観の再認識
授業時間外の学修の内容
授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
予習、復習は特に必要ありません。但し、授業内容に応じて表現課題を随時出していきます。それについては、個々の工夫を凝らした創作表現を試み、次回授業時までにmanabaのレポート欄に提出のこと。また、作品形態よっては授業後に提出を求めることもあります。各課題は後日、授業において纏めて講評する他、レポート欄に個人個人の講評を記しておきます。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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レポート | 60 | 期末レポート(創作課題と解説文章)の独創性、技巧の的確さ、問題提起等、創作作品としての総合的表現力と問題意識を総合的に評価。 |
平常点 | 30 | 各授業の際に課す課題(論評、創作表現)の現状把握の的確さ、表現力を評価。 |
その他 | 10 | 出席と課題提出。 |
成績評価の方法・基準(備考)
基本的に、全授業出席、各授業時の全課題提出、期末課題提出。これらを達成することを基準に“C”評価(22年度以降の入学生は“B”評価)として、それに各授業課題、期末課題の内容で加点していきます。また、期末課題未提出者には、単位は与えられません。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
各授業の課題に関しては、総合的な講評を行い、その際、質問も受け付けます。また、個々の講評に関しては、manabaのレポート欄に記載します。質問も随時受け付けます。
アクティブ・ラーニングの実施内容
実習、フィールドワーク
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
各授業の創作課題に関して、特に「音楽A」との交流授業とコラボレーションに関しては、画材等を持参して、教室等の現場での作品制作があります。
授業におけるICTの活用方法
タブレット端末
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
各授業に関わる美術作品につていは、資料の配布や映写を行いますが、主要なものはmanabaのコースコンテンツにアップしますので、スマホやタブレットで身近に確認しながら、授業を受けることができます。
実務経験のある教員による授業
はい
【実務経験有の場合】実務経験の内容
私自身は、「美術評論家」「美術ジャーナリスト」として、今日様々に展開されている芸術活動や文化行政等を取材し、新聞、雑誌等で批評活動をしています。
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
私の日々の取材体験をもとに、特にカリキュラム後半の「現状検証篇」では、出来る限りリアルタイムの問題を取り上げていくつもりです。また、そうした未だ答えの出ていない問題に対して、授業中に学生諸君の意見を聞くともに、「音楽A2」との交流授業に際しては授業時間内に作品制作も試みます。
テキスト・参考文献等
(テキスト)
既存の教科書は使用せず、授業ごとにレジュメと資料を配布。また、参考文献と一部作品図版はmanabaのコースコンテンツにアップします。
その他特記事項
基本的に上記の計画に従って授業を進めていきますが、美術・芸術に関して注目すべきニュース、話題があれば、随時採り上げていくつもりです。よって、多少授業内容に変更があるかもしれません。また、音楽A2とのコラボレーションの他、積極的に作品創作を取り入れますので、マジックや色鉛筆、ハサミ、糊等の持参を求めることがあります。