シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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民法総則B・物権総論 | 2024 | 秋学期複数 | 月4,水1 | 法学部 | 遠藤 研一郎、柴原 宏昭 | エンドウ ケンイチロウ、シバハラ ヒロアキ | 1年次配当 | 4 |
科目ナンバー
JU-CI1-002L
履修条件・関連科目等
春学期に【概論、総則A】を履修していることが望ましい。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
この講義は、【民法総則B】(水1・遠藤)と【物権総論】(月4・柴原)同時に進行する2つの講義からなる。
民法は、市民の生活関係を規律する私法の一般法としての地位を有しており、「第1編 総則」には、その民法の内部においても共通する一般規定が定められている。【総則B】の講義では、春学期の【総則A】から引き続き、主な項目として代理・法人・無効と取消し・条件・期限・時効を扱うことになる。なかでも代理と法人は、私法に属する商法と会社法の修得に際しても不可欠なものである。幅広い適用を予定された一般規定としての性格ゆえに、そこで扱う事項はとくに抽象的なものが多く、初学者には親しみにくいものと思われるが、可能なかぎりイメージのしやすいように具体例を用いながら解説を加えていくつもりである。
民法は、この「第1編 総則」に続く「第2編 物権」と「第3編 債権」の前3編によって財産法を構成している。「第2編 物権」には、物の帰属と物に対する支配権の内容とが定められている。【物権総論】の講義では、この「第2編 物権」のうち担保物権を除く領域(1~6章)に関わる問題を扱う。具体的には、物権と債権の差異・不動産物権変動・動産物権変動・占有権と所有権・各種の用益物権が主な項目となる。民法総則で扱う「取得時効」や「取消し」と密接に関連する問題のほかに、相続法に関連する問題も扱うことになる。【総則B】の進行状況、相互の関連と履修の有無に配慮しながら丁寧な講義を心がけるつもりである。
科目目的
民法総則と物権総論に関する基本的な知識の修得と、その知識を運用して具体的な問題に取り組み、妥当な解決策を導き出す能力を養うことを目的とする。
到達目標
(1)民法の全体構造を理解する。
(2)民法総則および物権総論分野の制度・条文を詳しく理解する。
授業計画と内容
以下の計画に従い進行する予定であるが、詳細は開講時にあらためて指示する。日程や進行状況に応じて修正を施すことがある。
【総則B】 ①ガイダンス/ ②代理1(代理の構造)/ ③代理2(無権代理)/④代理3(表見代理)/ ⑤法人1(法人の意義)/ ⑥法人2(一般法人法)/ ⑦無効・取消し/ ⑧条件・期限、期間の計算/ ⑨時効1(取得時効)/ ⑩時効2(消滅時効)/ ⑪時効3(時効通則Ⅰ)/ ⑫時効4(時効通則Ⅱ)/ ⑬発展問題1(総合的問題の検討) 前半/ ⑭発展問題2(総合的問題の検討)後半
【物権総論】 ①ガイダンス・物権法序論/ ②物権の効力(物権的請求権)/ ③物権変動序論/ ④不動産物権変動1(不動産物権変動の公示・二重譲渡の法的構成)/ ⑤不動産物権変動2(登記がなければ対抗できない物権変動(1)取消しと登記)/ ⑥不動産物権変動3(登記がなければ対抗できない物権変動(2)相続と登記)/ ⑦不動産物権変動4(登記がなければ対抗できない物権変動(3)時効取得と登記)/ ⑧不動産物権変動5(登記がなければ対抗できない第三者)/ ⑨動産物権変動・即時取得/ ⑩占有権1(占有制度の意義・占有権の取得と消滅)/ ⑪占有権2(占有権の効力)/ ⑫所有権1(添付)/ ⑬所有権2(共有)/ ⑭用益物権(地上権・永小作権・地役権・入会権)/
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと/授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 100 | 民法総則および物権総論に関する問題を出題する。同範囲の法運用能力が認められた場合、単位を認定する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト・参考文献ともに、開講時に指示する。
その他特記事項
■授業の工夫■
【総則B】と【物権総論】は、ともに「総則」や「総論」という名称から連想されるように、そこで扱う項目は抽象的なものが多くなる。そのため、学生諸君の中には、法学部の講義に生々しい事件を期待していたのにガッカリする者もいるかも知れない。ただ、生の複雑な事件を読み解くに際しても、そこで何が問題になっているのか、どのように問題に取り組めばよいのかを考えるときに必要となる視点は、抽象的な理論を身に付けて初めて定まるものであるし、導き出す解決策もまた、具体的妥当性のほかに、理論に裏打ちされた法的安定性(体系的整合性・論理一貫性)を備えるものでなければ妥当であるとはいえない(さもなければ主張が通らなかった当事者も納得しないだろう)。高校までの授業・教科書とは異なり、民法の条文は簡単なものから難しいものへと配置されているものではないし、ともすると、最初に学ぶ総則や総論がもっとも難解な部分であったりする。最初のうちほど苦労することも多いと思うが、辛抱して講義についてきて欲しい。