シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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憲法2(統治) | 2024 | 春学期複数 | 火6,木3 | 法学部 | 松原 光宏 | マツバラ ミツヒロ | 2年次配当 | 4 |
科目ナンバー
JU-PU2-002L
履修条件・関連科目等
憲法1を終え、並行する形で民法・刑法を受講することが望ましい。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
憲法学、主として憲法解釈学の講義を行う。実定憲法の規定は極めて簡潔な文言によっており、憲法解釈は、日本国憲法の条文の他、制定史、体系性、目的、更にはドグマーティク(解釈理論)、判例、法律、実践的理由等、様々な論拠を手がかりに遂行されている。教室では、支配的なドグマーティク(解釈理論)について説明したうえ、憲法判例百選1/2、重要判例百選、最新判例報道を利用し、最高裁の憲法的思考を分析することに、かなりの時間をあてる。憲法は「実際上、最終的な解釈権をもつ機関が解釈するとおりに妥当する」、R.スメントという著名なドイツ公法学者の言葉は、現代でも妥当するからである。
憲法学は憲法解釈学に尽きるものではなく、憲法についての歴史、哲学、社会学を展開する余地も重要性もある。教室では、学問としての憲法がどのようなものであるか、立ち入って考える機会もあるだろう。また新聞報道を利用し、永田町のみならず、ヨーロッパやアメリカで展開される憲法政治について法的に分析する時間も設けたい。
科目目的
この教室では、
(1)憲法全般に通じる、憲法解釈の基本原理を、その歴史的基礎にさかのぼって理解すること
(2)相互に複雑に入り組んだ統治機構のメカニズムについて、(憲法一部で勉強した)基本権論との関係を理解しつつ、その鳥瞰図を体得すること
以上の二つを、最大の目標とします。
「統治は難しい」、「抽象度が高く、一人で勉強しても理解出来ない」と、よく言われています。興味深いエピソードを交えつつ、講義を進めるつもりです。とりわけ統治組織法の理解に役立つ情報が、日々の新聞紙面(政治・経済・社会面)を賑わしていることを、この機会に知って頂きたいと思います。
また、紛争地域からの難民流入と国家の主権、憲法裁判所への政治介入等、ポーランドやチェコに見られる法治国家の危機、極右勢力の台頭とポピュリズム、超国家連合と国家主権への回帰(Brexit)、新型コロナウィルスパンデミックに対応する公衆衛生行政と基本的人権の規制等、現代国家が抱えている憲法問題には、実はかなりの共通性がみられる。合わせて教室にて考えたい。
到達目標
憲法全体の仕上げとして、憲法的な思考を体得して貰いたい。
授業計画と内容
憲法第二部は、憲法総論・統治組織法の概要の二つからなります。
まずは、憲法総論として、
(1)立憲主義:法の支配の原理
(2)立憲主義:法治国家原理①(歴史的展開、形式的法治国と実質的法治国)
(3)立憲主義:法治国家原理②(権力分立制、法治行政、法律による裁判)
(4)立憲主義:法治国家原理と民主制原理の関係
(5)立憲主義:法治国家原理と社会国家原理の関係
(6)民主制原理:統治制度についての一般国家学(基本概念の整理)
(7)民主制原理:国民主権原理①(主観概念を中心とした歴史的展開)
(8)民主制原理:国民主権原理②(デモクラシーとの関係)
(9)民主制原理:政治制度としての民主制
(10)民主制原理:選挙に関する憲法原則①(普通選挙原則)
(11)民主制原理:選挙に関する憲法原則②(平等選挙原則)
(12)民主制原理:選挙に関する憲法原則③(秘密・直接・自由選挙原則)
次に、統治組織法の概要については、
(13)議会と内閣の基本的な関係①:議院内閣制
(14)議会と内閣の基本的な関係②:各国の国制の相互比較
(15)議会制①:議会の国家作用①(法律制定権)
(16)議会制②:議会の国家作用②(条約承認権・内閣総理大臣の指名)
(17)議会制③:議会の国家作用③(財政統制に関わる作用)
(18)議会制④:活動方式(会期制)・議会組織法の綱要・各議院の権能
(19)議会制⑤:国会議員の地位・特権・権能
(20)内閣の組織と権限 ①(内閣の地位)
(21)内閣の組織と権限 ②(行政及び執政の概念)
(22)裁判所:司法権の範囲と限界①(司法権の意義)
(23)裁判所:司法権の範囲と限界②(司法権の限界・違憲審査制の目的)
(24)裁判所:司法権の独立
(25)憲法訴訟の基礎理論①(憲法訴訟の類型)
(26)憲法訴訟の基礎理論②(憲法訴訟の対象)
(27)憲法訴訟の基礎理論③(憲法判断の方法とその効果)
(28)憲法解釈学の任務と課題
以上の通りである。
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
テクスト・判例集による予習のほか、新聞、とりわけ一〜三面を毎日読み、憲法政治の実態を知ることは、憲法二部の理解にとって非常にプラス、憲法政治への実態的関心なくしては、この分野の理解は不可能だといっても言い過ぎではありません。また、今後の読者数の増減にかかわらず、新聞を批判的に読むことは教養層の条件であり、こうした側面の学習も望みます。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 100 | 学期末の試験を評価基準とします。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
クリッカー/タブレット端末
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
オンライン配布の講義案に即して授業は行われる。教室ではスライドも併用するが、デジタル参考資料も活用する。
予習用教科書としては、、長谷部恭男・憲法講話第二版(2022・有斐閣)、判例集としては、長谷部・石川・宍戸編・憲法判例百選I/II(有斐閣)第七版(2019)を使用する予定である。但し、変更の可能性もあるため、初回の説明を聞いた後に、購入して下さい(注意!)。
なお、参考書として、小山・駒村編・論点探究憲法第二版(弘文堂)、長尾一紘・やさしい憲法(実務教育)、宍戸常寿編著・憲法演習ノート(弘文堂)をあげておく。このほか、講義中に適宜言及する。