シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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憲法2(統治) | 2024 | 春学期複数 | 月2,水5 | 法学部 | 武市 周作 | タケチ シュウサク | 2年次配当 | 4 |
科目ナンバー
JU-PU2-002L
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
この授業は講義形式で行います。講義では、PowerPointのスライドを用い、スライドの配布版を事前にmanabaにアップロードします。毎回、自身で授業で扱う範囲についてテキスト・参考書・判例集等に目を通しておくのが望ましいです。
この講義では、日本国憲法の統治機構について学びます。具体的なテーマは、統治機構原理、国会、政党、選挙、内閣、財政、地方自治、裁判所、憲法訴訟、戦争放棄、天皇、憲法改正などが挙げられます。憲法の勉強では、人権に目が向きがちですが、統治機構は国家のあり方そのものであり、歴史的にみても憲法の核心ともいえます。また、基本権保障を確実に担保するためにも、統治機構は重要な意味を持ちます。特に、裁判所・憲法訴訟については、人権判例の理解にも欠かすことができません。
統治機構はなかなか理解しづらいという声も少なくありませんが、ニュースや資料などを多用して理解しやすいようにしていきたいと考えています。受講生諸君も日頃から政治に関するニュースに関心をもっておいてください。
科目目的
国会や内閣などについては、小中高でも学んでおり、制度は理解していると思いがちです。しかし法学部で学ぶ憲法では、次の3点を学ばなければならず、とりもなおさずそれが本講義の目的・内容です。
①各機関の歴史的展開や諸外国制度との比較
②統治機構原理
③現実の運用
①議会を例にとっても、国によって生成・発展は異なり、それゆえ憲法が規定する議会像は異なります。日本の国会を理解するにあたって、その歴史的な展開や諸外国との比較は重要な役割を担います。憲法訴訟などでも、諸外国の制度・運用との比較は重要な意味をもちます。
②統治機構を理解するにあたって統治機構原理の理解は欠かすことができません。「三権分立」「民主主義」などは当たり前のように用いられていますが、その理解は様々にあります。その理解の違いが憲法解釈の対立(学説の対立)にも現れますので学ぶことは欠かせません。それらを網羅的に理解するのは難しいですが、代表的なものについては言及していきたいと思います。
③制度を理解すればそれで終わるわけではありません。現実にどのような運用がなされているかを分析して、立憲主義(この理解にも争いがあるところです)に基づいた政治が行われているかを考えていくことが大切です。また、現実に裁判所はどのような判例を出してきたのか、また戦争放棄がどのように実現され、有事法制がどのようになっており、それが憲法からみてどのように評価できるのか。そういったことを理解してはじめて統治機構を理解することができます。憲法Ⅱでは、憲法Ⅰよりは扱う判例数は減りますが、裁判所・憲法訴訟ではとりわけ判例検討の機会も増えますし、憲法Ⅰで学んだ判例を再検討する場面もあります。憲法Ⅰの知識も確認しておくようにしてください。
到達目標
(1) 制度の背景にある統治機構原理について十分に理解する。
(2) 統治機構制度の歴史的展開を知り、諸外国の制度との比較をする。
(3) 現実の運用を知り、それについて憲法の視点から評価を下す。
授業計画と内容
第1回 統治機構原理(1):権力分立、法の支配
第2回 統治機構原理(2):民主主義、国民主権
第3回 国会(1):全国民の代表機関としての国会、選挙制度・政党
第4回 国会(2):唯一の立法機関としての国会
第5回 国会(3):国権の最高機関としての国会
第6回 内閣(1):内閣の組織、内閣総理大臣、行政各部
第7回 内閣(2):行政権
第8回 内閣(3):内閣の権能
第9回 財政:財政立憲主義、租税法律主義
第10回 裁判所(1):裁判所の組織、司法権の独立
第11回 裁判所(2):裁判を受ける権利、国家賠償請求権、刑事手続の保障
第12回 裁判所(3):司法権の概念
第13回 裁判所(4):司法権の範囲
第14回 憲法訴訟(1):違憲審査権の目的、性格
第15回 憲法訴訟(2):違憲審査の対象
第16回 憲法訴訟(3):違憲審査の方法
第17回 憲法訴訟(4):違憲判決の効力
第18回 憲法訴訟(5):違憲審査権と民主主義
第19回 地方自治(1):地方公共団体の種類、道州制、都構想
第20回 地方自治(2):条例制定権の範囲
第21回 戦争の放棄(1):戦争の放棄の思想
第22回 戦争の放棄(2):有事法制、自衛隊の実情
第23回 戦争の放棄(3):駐留米軍と憲法9条
第24回 象徴天皇制(1):天皇制、皇室典範
第25回 象徴天皇制(2):退位、譲位
第26回 憲法改正(1):憲法改正と憲法変遷
第27回 憲法改正(2):憲法改正の限界、緊急事態と憲法
第28回 憲法まとめ:憲法とはなにか
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
毎回、次回扱う範囲を指定するので、テキストや学習用判例集などの該当範囲に目を通して、疑問点や自身の考えを持っておくことが大切です。特に判例集は、講義中に参照する機会が多いので、必ず用意して授業に臨むこと。授業で扱える判例には限界があるので、特に資格試験等を考える受講生は、関連判例にも目を配ること(これについては講義で言及します)。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 100 | 「到達目標」がどの程度達成できているかを基準に判断します。具体的なルーブリックは最初の講義で説明する予定です。 |
成績評価の方法・基準(備考)
(1)論述試験:基礎知識、題意把握、学説・判例の理解、考察力、表現力、論文構成を採点の基本とします。
(2)授業後などにresponを用いた課題を課すことがあります。これについては、解答は任意として、内容に応じて評価し、加算点として扱います(1回上限5点)。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間に限らず、manabaでフィードバックを行う
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
クリッカー
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
データベースの活用
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
【テキスト】
(1)安西文雄・巻美矢紀・宍戸常寿『憲法学読本〔第3版〕』(有斐閣、2018年)2,970円
(2)長谷部恭男・石川健治・宍戸常寿編『憲法判例百選Ⅰ・Ⅱ』(有斐閣、2019年)各2,530円
※(1)が体系書、(2)が学習用判例集です。定義など教科書の説明に基づくことがあります。(2)は頻繁に参照しますので必須です。「購入したのに使わない」ということはありません。ただし、テキスト通りに進めるわけではありませんし、すべてのページに解説を加えるということではありません。
【その他の学習用判例集・判例演習】
・工藤達朗編『憲法判例インデックス』(商事法務、2014年)3,080円
・橋下基弘『日本国憲法を学ぶ〔第2版〕』(中央経済社、2022年)3,520円
・宍戸常寿・曽我部真裕編『判例プラクティス憲法〔第3版〕』(信山社、2022年)4,740円
・横大道聡編『憲法判例の射程(第2版)』(弘文堂、2020年)2,970円
・大林啓吾・柴田憲司編『憲法判例のエニグマ』(成文堂、2018年)7,150円
・木下昌彦編集代表『精読憲法判例(統治編)』(弘文堂、2021年)4,180円
【テキストの理解を深めるために】
・毛利透・小泉良幸・淺野博宣・松本哲治『憲法Ⅱ人権〔第3版〕』(有斐閣、2022年)3,300円
・長谷部恭男『憲法〔第8版〕』(新世社、2022年)3,795円
・渋谷秀樹・赤坂正浩『憲法2 統治〔第8版〕』(有斐閣、2022年)2,420円
・高橋和之『立憲主義と日本国憲法〔第5版〕』(有斐閣、2020年)3,520円
・芦部信喜『憲法〔第7版〕』(岩波書店、2019年)3,520円
・渡辺康行・宍戸常寿・松本和彦・工藤達朗『憲法Ⅰ 基本権』(日本評論社、2017年)3,520円
・古野豊秋・畑尻剛『新・スタンダード憲法〔第4版補訂版〕』(尚学社、2016年)3,300円
・小山剛・畑尻剛・土屋武『判例から考える憲法』(法学書院、2014年)2,640円
・大石眞・石川健治編『憲法の争点(新・法律学の争点シリーズ3)』(有斐閣、2008年)2,800円(以上、価格情報は税込み)