シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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家族法 | 2024 | 秋学期複数 | 月2,水5 | 法学部 | 鈴木 博人 | スズキ ヒロヒト | 2年次配当 | 4 |
科目ナンバー
JU-CI2-007L
履修条件・関連科目等
家族法上の制度については憲法訴訟が提起されることがみられるので、憲法の人権論との関連性は大きい。また、民法典第4編、第5編を扱うので、民法の各領域と関連します。そのほか児童福祉法をはじめとした福祉法とは密接に関係しますが、児童福祉法を単独で扱う講座は今のところありません。
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
家族法という名称の法律は日本にはありません(外国法では存在します)。便宜上(理論的正確さをもってではなく)民法典第4編親族と第5編相続をまとめて家族法と称しているだけです。比較法的には、家族法と相続法という二つの分野が本講義の対象です。
本講義が扱う領域には、例えば、夫婦別姓問題、同性カップルの婚姻(いわゆる同性婚)、児童虐待や配偶者間暴力、離婚後共同親権の是非等、社会的に話題になっている問題が含まれています。こうした問題についても(もちろんその他の問題についても)、民法理論に照らしてどのように扱うのか、そして新規立法や裁判所の審判や判決等をどのように位置づけるのかを見ていきます。
コロナウィルス対応で2020年度、2021年度は対面式授業が思うようにできなかったということがあります。他面で、その時の経験は、キャンパスに登校してきて履修者が集まって授業をやるのであれば、オンラインで実施できるのとは別のことを行わなくては意味がないということも気づかせてくれました。黙って聞いて、知識を得るだけならばオンラインで十分ではないかということです。日本の大学の単位制度は、もともと予習・復習を学生各自が行うことを前提にして授業時間設定がなされています。そこで、学生が「一人でできるもん!」という類のことは、manaba等を通じて学習資料を指示し、それを踏まえて、講義では教室に集まってではなければできないこと—質疑応答とか事例分析など—を行うことを予定しています。「予定」ということの意味は、この形の授業は、履修学生もその気にならなけれはできないということです。「一人でできることなんか一つもないもん!」とか、「聞くだけがいいもん!」ということであれば、ここで示した講義方法は途中で変更せざるをえなくなります。
科目目的
近代市民社会法の基礎法である民法の全体構造を理解し、その中での家族法(日本での親族法)の独自性、同じく相続法の独自性を理解することを目指します。市民社会の構造を反映した民法理解を基礎にして、家族法、相続法上の問題の理解を深めることを目的にします。
到達目標
近代市民社会法の基礎法である民法の全体構造を理解し、その中での家族法(日本での親族法)の独自性、同じく相続法の独自性を理解することを目指します。市民社会の構造を反映した民法理解を基礎にして、家族法、相続法上の問題の理解を深めることを目的にします。
授業計画と内容
第1回:市民社会法の基礎法としての民法の体系の中での家族法・相続法の位置づけー1年次での民法学習の成果の確認も含めて
第2回:家族法・相続法と憲法ー家族法・相続法上の制度を争うとき、家制度との関連も含めて
第3回:家事事件の特色と家庭裁判所
第4回:身分行為と意思:婚姻の成立、離婚、養子縁組の成立、離縁を題材にして(戸籍法も含む)(前半)
第5回:身分行為と意思:婚姻の成立、離婚、養子縁組の成立、離縁を題材にして(戸籍法も含む)(後半)
第6回:婚姻の無効と取消し(婚姻障害)
第7回:夫婦間の貞操義務をめぐる問題
第8回:家族の財産関係:夫婦の財産関係を中心に、相続権問題の一部も含めて
第9回:法定離婚原因:破綻主義と有責配偶者からの離婚請求
第10回:婚約と事実婚をめぐる伝統的問題と新しい問題
第11回:関係法としての親子法(1):嫡出親子関係をめぐる問題
第12回:関係法としての親子法(2):嫡出親子関係をめぐる問題・続
第13回:関係法としての親子法(3):生殖補助技術をめぐる問題
第14回:親権をめぐって(親の権利と親権)
第15回:親の離婚と子ども:共同親権、面会交流、養育費(前半)
第16回:親の離婚と子ども:共同親権、面会交流、養育費(後半)
第17回:親の離婚と子ども:子の引渡し
第18回:親の権利と子どもの福祉と国家介入:児童虐待を中心にして、児童福祉法も含む
第19回:養子制度(1):普通養子制度をめぐる問題、成年養子、連れ子養子
第20回:養子制度(2):特別養子制度、比較法的に見て特異な日本の養子制度
第21回:未成年後見制度
第22回:相続人の確定
第23回:遺言-死者の意思はどこまで通るのか?
第24回:相続回復請求権の性格-誰のための制度なのか?
第25回:遺贈をめぐる問題
第26回:遺産分割をめぐる問題
第27回:遺留分制度・配偶者をめぐる制度
第28回:家族法・相続法の構造の確認
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 100 | 本講義で扱った内容をきちんと理解しているか、答案の構成、文章表現、専門用語の正しい使用の仕方、題意の正確な把握とそれに基づく論点の把握、問いに対して解答しているかといったことを中心的にみます。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
学期末試験については、試験採点終了後に、問題の題意、題意に従って論じられるべきポイント等についての解説をmanabaにアップします。
アクティブ・ラーニングの実施内容
PBL(課題解決型学習)
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
学習資料としてのレジュメや論文等は、授業中に配布したり、manabaにアップします。
教科書ではありませんが、利用頻度が高いのは、水野紀子・大村敦志編『民法判例百選Ⅲ 親族・相続[第3版]』有斐閣 2023年です。
参考書(教科書)として各出版社から発売されているものを挙げておきます。それぞれの特色は開講時にガイダンスしますので、自分で使いやすいと思ったものを使ってください。順不同での列挙です。
ただし、家族法領域では法改正が相次いで行われており、改正に参考書の改訂が追い付いていない状況も見られます。開講時にそのような状況も踏まえて参考書については紹介、解説します。
①高橋朋子・床谷文雄・棚村政行『民法7 親族・相続 第7版』有斐閣、2023年、有斐閣アルマspecialized
②常岡史子『家族法』新世社、2020年、ライブラリ今日の法律学8
③二宮周平『家族法 第5版』新世社、2019年、新法学ライブラリ9
④窪田充見『家族法 民法を学ぶ 第4版』、2019年