シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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刑法各論 | 2024 | 秋学期複数 | 火4,木1 | 法学部 | 只木 誠 | タダキ マコト | 2年次配当 | 4 |
科目ナンバー
JU-CR2-002L,JU-CR3-002L
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
刑法各論の授業においては、殺人罪や窃盗罪などいわゆる「個人的法益に対する罪」から入って、放火罪や文書偽造罪などの「社会的法益に対する罪」、公務執行妨害罪や収賄罪などの「国家的法益に対する罪」へと順に取り上げていく予定である。もちろんすべての犯罪規程を総花的に俯瞰するのではなく、解釈論上重要な論点を含んでいる諸問題(生命・身体に対する罪、財産に対する罪など)については掘り下げてこれを検討し、これによって「考える各論」となるような講義にしたい。
なお、授業では、生命・身体に対する罪に関連するテーマとして、遺伝子診断、ヒト胚の保護、安楽死などの「生命倫理と刑法」にまつわる問題についても検討を加え、また、経済犯罪、コンピュータ犯罪、薬物犯罪など、今日的な諸問題についてもできるだけ取り上げていく予定である。さらに、判例研究、比較法的考察にも配慮し、随時時事問題なども折り込みつつ、情報の羅列に終始するのではなく、刑法的な思考に親しみ、自分で考え、現代社会における刑法(特別刑法を含む)の役割を理解しつつ自分なりの結論を導くことができるような授業としたいと考えている。
大教室での講義であることから、一方通行の講義とならぬよう、こちらから受講生諸君に問いかけて回答を促したり、逆に色々な質問もおおいに受けてそれに答えるといった具合に、双方向的で活発な、一緒に考える授業となるよう努めたい。
科目目的
この講義では、刑法各論、すなわち刑法典の各則規定中の主要な犯罪類型につき、その成立要件を検討する。具体的には、刑法典に規定されている主要な各犯罪の主体・客体、犯罪行為について、その保護法益との関係、あるいは刑法の社会的機能に照らしてどのように解釈すべきかを受講生と一緒に考察していく。
到達目標
授業においては、各犯罪にかかる従来の判例および通説的見解を考察することを基礎として、そのよって立つ理念や視座への理解を深め、また、新たな解釈の可能性をも探っていく。体系的な思考を尊重しつつ、問題的な思考を身につけることが肝要であり、それによって、刑法各論上の主要な問題点についての正しい理解のもと、自説を導くことができるようになることが目標である。
授業計画と内容
1.〈序〉刑法各論の概要
〈生命に対する罪1〉
-「人」の意義:人の始期と終期
2.〈生命に対する罪2〉
-殺人罪、自殺関与罪・同意殺人罪
3.〈生命に対する罪3〉
-堕胎罪、胎児の保護、胎児性傷害
4.〈生命に対する罪4〉
-遺棄罪、保護責任者遺棄罪
5.〈身体に対する罪1〉
-傷害罪、傷害致死罪、暴行罪
6.〈身体に対する罪2〉
-現場助勢罪、同時傷害の特例、凶器準備集合罪・同結集罪、業務上過失傷害罪、
危険運転致死傷罪、自動車運転死傷行為処罰法
7.〈自由に対する罪1〉
-逮捕・監禁罪、脅迫罪、略取・誘拐罪
8.〈自由に対する罪2〉
-性的自由に対する罪、住居侵入罪
9.〈秘密・名誉に対する罪1〉
-秘密に対する罪、名誉毀損罪(1)
10.〈秘密・名誉に対する罪2〉
-名誉毀損罪(2)、侮辱罪
11.〈信用・業務に対する罪〉
ー信用毀損罪、業務妨害罪
12.〈財産に対する罪1〉
-財産犯総論:財産に対する罪の分類、財物・財産上の利益の意義、
13.〈財産に対する罪2〉
-財産犯の保護法益、不法領得の意思、窃盗罪(1)
14.〈財産に対する罪3〉
-窃盗罪(2)、不動産侵奪罪、親族間の犯罪に関する特例
15.〈財産に対する罪4〉
-強盗罪、強盗予備罪
16.〈財産に対する罪5〉
-事後強盗罪、昏酔強盗罪、強盗致死傷罪、強盗・強制性交等罪
17.〈財産に対する罪6〉
-詐欺罪(1)
18.〈財産に対する罪7〉
-詐欺罪(2)、2項詐欺罪
19.〈財産に対する罪8〉
-準詐欺罪、電子計算機使用詐欺罪、恐喝罪
20.〈財産に対する罪9〉
-横領罪(1)
21.〈財産に対する罪10〉
-横領罪(2)、業務上横領罪
22.〈財産に対する罪11〉
-背任罪
23.〈財産に対する罪12〉
-盗品等関与罪、毀棄・隠匿の罪
24.〈社会的法益に対する罪1〉
-放火罪
25.〈社会的法益に対する罪2〉
-文書偽造罪(1)
26.〈社会的法益に対する罪3〉
-文書偽造罪(2)、有価証券偽造罪、支払用カード電磁的記録に関する罪
27.〈国家的法益に対する罪1〉
-公務執行妨害罪、司法に対する罪
28.〈国家的法益に対する罪2〉
-賄賂の罪
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
毎回授業前に次の学修内容につき教科書・参考書等で予習を行い、授業後には学修内容を復習すること。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 30 | 事例問題について、「問題点の抽出」「規範の定立」「あてはめ」が出来ていること。 |
その他 | 70 | 毎回小テストを実施し、それをもって平常点・出席点とし、合格している場合には加点する。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける/その他
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
オフィスアワーを設けて学生の質問に答えるという形でフィードバックを行う。
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
【テキスト】
授業では只木作成のPPTを使用する予定であるが、授業の一層の理解のためにも教科書は必須である。開講時に、いくつかの教科書を、その特徴を示しつつ紹介する予定であるので、受講者各人において自分の判断で自分にあった教科書を準備してほしい。授業の内容に沿ったテキストとしては只木誠『コンパクト刑法各論』(新世社、2022年)が初学者にとってわかりやすいが、なお、受験準備等ですでに教科書をもっているという場合には、それを活用することでかまわない。
【参考書】
井田・鈴木・髙橋・只木・曲田・安井著『刑法ポケット判例集』』(弘文堂、2019年)
只木誠編著『刑法演習ノート 刑法を楽しむ21問[第3版]』(弘文堂、2022年)
佐伯・橋爪編『刑法判例百選Ⅱ各論[第8版]』(有斐閣、2021年)
その他特記事項
■授業の工夫■
受講生諸君と作り上げる活気ある授業とするため、また、授業内容の定着をはかるため、双方向的な授業の実践を目指していきたい。受講生諸君には、主体的に授業へ参加してほしい。