シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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基礎ミクロ経済学 | 2024 | 後期複数 | 月1,木3 | 経済学部 | 細矢 祐誉 | ホソヤ ユウキ | 1年次配当 | 4 |
科目ナンバー
EC-TE1-02XX
履修条件・関連科目等
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
<学位授与方針と当該授業科目の関連>
この科目は、現実把握力(経済学の専門知識及び社会・人文・自然科学の知識教養に裏付けられた広い視野に立った柔軟な知性に基づき、現実の経済現象を的確に把握することができる)の修得に関わる科目です。
<概要>
現代の経済理論の主要二分野のひとつである、ミクロ経済学の基礎理論を学ぶ。特に、部分均衡理論と一般均衡理論の基礎を学び、消費と生産がどのように決まるか、それらを受けて価格がどう決定するかを見る。また、それらのモデルでは取りこぼすいわゆる市場の失敗に触れる。
科目目的
ミクロ経済学の基礎理論である一般均衡理論の考え方を一通り学び、また、応用として部分均衡分析を導出する。また、厚生経済学の基本定理と市場の失敗についてそれぞれ学ぶ。市場の失敗の話を適切に理解するために、ゲームの理論と呼ばれる数学の一分野を学び、それを用いて独占・寡占や情報の非対称性の理論の基礎を学ぶ。
<科目共通目的>
市場経済を構成する消費者と生産者の需要・供給行動および市場における価格の資源配分機能を理解する。
到達目標
ミクロ経済学は経済理論の基礎に該当する分野であり、もうひとつの大分野であるマクロ経済学においても「基礎」と見なされることが多い分野である。経済学の応用分野でも、産業組織論や金融論にはミクロ経済学の理論を念頭に置いた議論が多く、非常に多くの派生効果が見込まれる。本講義の目標は、それら派生分野での議論に参加できるための基礎学力を身につけることである。
<科目共通目標>
需要と供給の理論が現実の経済問題に対し果たす役割を学習することを目標にする。
授業計画と内容
第一回 ガイダンス(シラバスに基づき講義計画を説明する)
第二回 ミクロ経済学の系統と歴史
第三回 部分均衡(1):基本的な考え方、その背景
第四回 部分均衡(2):余剰分析の仕方と安定性分析
第五回 部分均衡(3):部分均衡モデルの問題点と一般均衡の導入
第六回 消費者理論(1):消費者の基本的なモデル化、効用最大化問題
第七回 消費者理論(2):数学的準備、微分と最適化理論
第八回 消費者理論(3):数学的準備、偏微分とラグランジュ未定乗数法
第九回 消費者理論(4):ラグランジュ未定乗数法の経済学的意味
第十回 消費者理論(5):序数的効用の理論
第十一回 消費者理論(6):代替・補完
第十二回 生産者理論(1):一生産要素モデルの生産者理論
第十三回 生産者理論(2):二生産要素モデルの生産者理論と費用最小化問題
第十四回 生産者理論(3):短期と長期の区分、固定費用
第十五回 生産者理論(4):短期と長期の理論の関係
第十六回 均衡理論(1):均衡価格の定義
第十七回 均衡理論(2):純粋交換経済とエッジワース・ボックス
第十八回 均衡理論(3):パレート最適と契約曲線
第十九回 均衡理論(4):厚生経済学の基本定理
第二十回 均衡理論(5):生産を入れた均衡理論
第二十一回 均衡理論(6):一般均衡下の余剰分析
第二十二回 均衡理論(7):準線形経済と消費者
第二十三回 市場の失敗(1):概論および独占の問題の基礎
第二十四回 市場の失敗(2):複占とクールノー・ゲーム
第二十五回 市場の失敗(3):適応動学
第二十六回 市場の失敗(4):ベルトラン・ゲームとシュタッケルベルク・ゲーム
第二十七回 市場の失敗(5):外部性と公共財
第二十八回 まとめ
授業時間外の学修の内容
指定したテキストやレジュメを事前に読み込むこと
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
ミクロ経済学の理論を議論するに当たっては、微分の規則を理解することが必要不可欠である。講義内において多少、これについての講義を行うが、正直に言うと、まったく内容としては不十分である。学生諸君には、自主的な数学のトレーニングを要求する。現代の経済理論は数式によって構築されているため、数学のトレーニングを行うことは本授業だけでなく、他の授業を受ける際にも必ず力になるであろう。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 90 | 期末試験の結果でほぼすべてが決まる。 |
平常点 | 10 | 状況に応じて小テスト等を行う可能性がある。 |
成績評価の方法・基準(備考)
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキスト:
奥野正寛『ミクロ経済学』東京大学出版会(2008) ISBN:978-4130421270
参考文献:
武藤滋夫『ゲーム理論入門』日経文庫(2001) ISBN:978-4532108298
テキストは予習復習と、やむを得ず授業を休んだ場合の自習用であると位置づけられている。参考文献は関係があるが授業では完全には扱いきれない部分を扱った書籍である。この本は新書サイズで値段も高くないので、学生諸君には購入を強くお勧めする。
その他特記事項
講師は、大学生はすでに大人であると考えている。大人というものは、自己管理を自己責任で行えるものである。また大人というものは、努力ではなく、成果で評価されるものである。
したがって講師は、大学生に対しては自己管理と成果を出すことを要求する。たとえば、講師は出席者への出席に対する点の付与などを行わない。この種の点は、出席という努力に対する対価であるが、講師は大学生は大人なので努力に対価は支払われるべきではないと考えている。勉強し、成績という成果を得てもらいたい。
<関連科目>基礎マクロ経済学、中級ミクロ経済学、公共経済学、財政学、金融論、国際経済学、労働経済学などの近代経済学関連の各科目
『ミクロ経済学・マクロ経済学より構成される近代経済学は緻密な論理構造をもち、現実の複雑多様な経済問題に対応する為の基礎原理を提供するものです。ミクロ経済学は多面的・有機的な現実の経済局面を抽象化し、本質的に重要な部分を納得的に説明できるものであり、上記関連科目を含む多くの応用分野における理論的支柱の一つです。近代経済学を勉強する上で、マクロ経済学と同様に、重要な基礎科目です。抽象度の高いミクロ経済学の理論体系を理解するには、その内容を系統的に学ぶことが必要であり、授業への継続的な出席、真摯な態度での聴講および不断の学習が不可欠です。』