シラバス
授業科目名 | 年度 | 学期 | 開講曜日・時限 | 学部・研究科など | 担当教員 | 教員カナ氏名 | 配当年次 | 単位数 |
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社会政策 | 2024 | 後期複数 | 月4,木2 | 経済学部 | 小尾 晴美 | オビ ハルミ | 2年次配当 | 4 |
科目ナンバー
EC-SL2-05XX
履修条件・関連科目等
労働と社会保障にかかわる問題に関心のある学生を歓迎します。
※2024年度は抽選科目となりますが、教員としては授業内容により関心の高い学生に受講してほしいので、ある程度授業に出席していないと単位が取れないような難易度の試験を実施することにします。
履修条件は特に設けておりませんが、以下の関連科目を履修されるとより理解が深まります。
関連科目
労使関係論、社会福祉論、社会保障論、ジェンダーと労働、日本経済史、マルクス経済学
授業で使用する言語
日本語
授業で使用する言語(その他の言語)
授業の概要
<学位授与方針と当該授業科目の関連>
この科目は、現実把握力(経済学の専門知識及び社会・人文・自然科学の知識教養に裏付けられた広い視野に立った柔軟な知性に基づき、現実の経済現象を的確に把握することができる)の修得に関わる科目です。
<概要>
社会政策とは、資本主義社会において私たちが働き、生活していく中で直面するリスクに対応できるよう、政府が整備してきた諸政策である。私達が生きる資本主義社会では、自分で働いて賃金を得て生活を成り立たせるのが基本である。しかし、働く中でハラスメントや解雇など、様々なトラブルに遭遇することがある。また、疾病、怪我、加齢、妊娠・出産、失業等により働いて賃金を得られない事態にしばしば見舞われる。そのような時に、私達の雇用・生活を支えるのが労働者保護法制や社会保障制度などの、様々なセーフティネットである。
本講議の構成は3つのパートに分かれて構成される。第1部では、社会政策の理念を歴史的・理論的に検討する。第2部では、日本における社会政策がどのような歴史を経て現代に至っているか、労働市場や産業構造のあり方との関係を踏まえて、歴史的に検討する。第3部では、社会政策が対象としている、人々の働き方や、生活を営むなかで直面する問題(育児・疾病・介護などとそれに伴う生活困難・貧困)について、日本の現状を理解することを目指す。また、上記の問題に対して、セーフティネットがどのように構築されているのか、考察する。
科目目的
1.社会政策という学問の基本的枠組みを理解し、労働政策と社会保障政策の大まかなシステムを理解すること。
2.日本の雇用と労働市場の特徴、現代日本経済についての構造的特質と問題点を理解し、生活・福祉に関わる問題と、経済的背景との関連性について理解を深めること。
到達目標
3.私たちの人生のそれぞれの局面(育児・疾病・介護)や、福祉を必要とする人々に関わる問題の現状を知り基礎的な知識をつけること。また、社会の中で自分と異なる境遇におかれた人間の多様な生き方や価値観(世代・ジェンダー・障がいなど)に対する理解と共感を持つこと。
授業計画と内容
以下の内容を28回の授業で扱う。
1 イントロダクションー社会政策とはどんな学問か―
2 日本の雇用システムと労働市場の特徴
3 日本の賃金決定のしくみと基準
4 日本の雇用システムと労働市場の特徴まとめ
5 日本の職場と労働時間問題①―過重労働・ハラスメント―
6 日本の職場と労働時間問題②―24時間週7日経済と生活時間問題―
7 日本の職場と女性労働―キャリア形成とワーク・ライフ・バランス―
8 「多様な働き方」と非正規雇用労働①―雇用システムの変化と処遇格差―
9 「多様な働き方」と非正規雇用労働②―ワーキングプアと最低賃金政策―
10 労働組合と労使関係
11 雇用・失業と社会政策
12 【中間まとめ1】質疑応答および第2部社会保障制度のしくみと見取り図
13 子育てと社会政策①―子どもを産み育てる条件の変化と労働政策―
14 子育てと社会政策②―子育てをめぐる社会福祉制度①―
15 高齢者と社会政策①―介護保険と関連サービス―
16 高齢者と社会政策②―公的年金制度と社会政策―
17 医療保障と社会政策
18 生活困窮者を支える社会政策
19 【中間まとめ2】質疑応答および第3部の説明
20 社会政策の理論と歴史①―資本主義の生成と労働問題の発生ー
21 社会政策の理論と歴史②―資本主義の発展と社会政策ー
22 日本的雇用システムと日本の社会政策の形成①―両戦間・戦時期の社会政策―
23 日本的雇用システムと日本の社会政策の形成②―欧米における福祉国家体制・日本国憲法と社会政策―
24 日本的雇用システムと日本の社会政策の形成③―高度成長を支えた「日本的経営」と社会政策―
25 日本的雇用システムと日本の社会政策の変容①―新自由主義と労働・福祉政策の転換―
26 日本的雇用システムと日本の社会政策の変容②―労働政策の転換と「日本的経営」の崩壊―
27 日本的雇用システムと日本の社会政策の変容③―産業構造の変化と社会政策―
28 【講義のまとめ】―資本主義・福祉国家・新自由主義
授業時間外の学修の内容
授業終了後の課題提出
授業時間外の学修の内容(その他の内容等)
日常的に人々の働き方や生活に関する諸問題について関心を持つことを求めます。授業中に配布する資料を予習・復習に役立ててください。
みなさんの復習と教員がみなさんの理解度を把握する目的で、小レポートという名称の論述問題を出題します。授業後に取り組んでもらい、提出していただきます。
授業時間外の学修に必要な時間数/週
・毎週1回の授業が半期(前期または後期)または通年で完結するもの。1週間あたり4時間の学修を基本とします。
・毎週2回の授業が半期(前期または後期)で完結するもの。1週間あたり8時間の学修を基本とします。
成績評価の方法・基準
種別 | 割合(%) | 評価基準 |
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期末試験(到達度確認) | 70 | 授業の理解度を評価する試験を実施します。集合型試験(記述式試験)ないしは期末レポート(記述式試験に近い形式のレポート)となります。 |
レポート | 30 | 複数回の「小レポート」の提出を求めます。授業の理解度を評価します。記述式試験に近い形式のレポートです。採点基準は、期末試験のものと同様です。 |
成績評価の方法・基準(備考)
・定期試験の成績:70%(講義の理解度、論述における論旨を評価する)
・提出物による平常点:30%(講義の中で定期的に出題する小レポートを評価し、加点する。また、Webへのアクセス、参加態度も考慮に入れる)
<本講義では、講義内容の理解度を評価の基準にします。>
・キーワードを理解したうえで、それが論理的に組み立てられて問に答えられているかどうかが論述のポイントです。
・レジュメに書いてある内容・キーワードを基礎にして、いくつかの箇所(回をまたぐことも当然ある)の内容を論理的につなぎ合わせ、ストーリーを作成している文章には高い評価をつけます。
※レジュメ1回分、一か所だけをコピペすれば書けるような問題にはなっていません。
⇒適切なキーワードを使用し、論理的なつながりを持った文章で問に対する答えを構成できているかを採点のポイントとします。
課題や試験のフィードバック方法
授業時間内で講評・解説の時間を設ける
課題や試験のフィードバック方法(その他の内容等)
日常的な授業内容やレポート提出などの質問については、manabaの個別指導コレクションの利用や、小レポート内で受け付けます。レポートの解説や質問の多かった内容については、初回・中間・最終まとめの回で、お答えする機会も設けたいと思います。
アクティブ・ラーニングの実施内容
実施しない
アクティブ・ラーニングの実施内容(その他の内容等)
授業におけるICTの活用方法
実施しない
授業におけるICTの活用方法(その他の内容等)
実務経験のある教員による授業
いいえ
【実務経験有の場合】実務経験の内容
【実務経験有の場合】実務経験に関連する授業内容
テキスト・参考文献等
テキストは用いず、各時限ごとに配布するレジュメ・資料に基づいて講義を進める。
参考文献は、以下の通りだが、授業中に適宜紹介する。
・西村豁通・荒又重雄(1999)『新社会政策を学ぶ 第2版』有斐閣
・濱口桂一郎(2013)『若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす』中公新書ラクレ
・武田晴人(2019)『日本経済史』有斐閣
・石畑良太郎・牧野富男・伍賀一道(2019)『よくわかる社会政策 第3版』ミネルヴァ書房
・永田瞬ほか(2023)『働く人のための人事労務管理』八千代出版
・春田吉備彦ほか(2023)『生きのびるための社会保障入門』堀之内出版
その他特記事項
教員とのコミュニケーションは、授業の前後に直接やりとりを行うことを基本とします。その他、まなばの個別指導を利用するか、メールで連絡の上、オフィスアワーに教員を訪ねていただければと思います(メールアドレスはオフィスアワーの一覧にて確認してください)。